父がホテルに予約した
※2014年7月、shortnoteに記載
昔、末期癌の父が『最後に夫婦で旅行がしたい』と合計3回(笑)旅行した。
その時の一つのホテルの話。
予約は全て父が連絡をしていたのですが、そのホテルではどうも新人さんらしい方がたどたどしく電話に出てやりとりをしたそうだ。
【ああ、新人さんなら多少のたどたどしさもあるだろう】てな具合に優しく説明を聞いてこちらの要望なども伝えることにした。
こちらは宿泊をする本人が体調が悪いということや食事の制限などの注意しなければいけないことなどを説明していくのですが、とにかくたどたどしさがあったが応対はとても丁寧で、面倒な要件も復唱して確認をする丁寧さに父も感心しており、当のホテルの方も父と話すうちに安心したのか口調も緊張が少し解けたようだった、と父談。
ホテルまでは最寄り駅からタクシーを使う旨を伝えるとその電話に応対したホテルの方が一言、
『では、ベッドインは何時頃になりますか?』
『へっ?!』
一瞬目が点になったそうだ。
そりゃそうだ。致す前を何故言わねばならん(笑)
電話の受付したその新人さんらしき方、受話器の向こうでジワジワと自分の言った言葉に気づいたようで、
『あっ!
あああ〜っっっ?!!
しっ、失礼しました〜っっ!!ああああ…』
……という慌てふためきっぷりが凄かった、と。
父もとっさのことでさすがにウィットに富んだ返しができなかったことが心底悔やまれたそうな。もう10年くらい昔の話です。
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