見出し画像

あの頃から(いやきっとずっと前から)多分変わらない在り方

背中に2本、包丁を刺される夢を見た。
2本はまるで鞘に収まるかのように深くあたしの背に、
ザクザクと刺し込まれていた。

メゾネットのような部屋と螺旋階段には
無邪気にこどもたちが群れており
あわれなことにあたしは
刺されたのは自分でよかったのだとうめきながら
こんなことはたいしたことではないとでもいうように
菜切り包丁の刺さったまま甲斐甲斐しく動き回り、
出刃包丁の刺さったまま、
無邪気に湧き立つおとなこどもを寝かしつけた。

切れ味が鋭かったせいか、外気に触れない傷口は少しも痛まなかったけれど、
刺さったままの刃を不意に抜かれるのが怖くて誰にも背を向けることができず
いかなる人とも正面から向き合うしかなかった。



これがあたしの在り方か?




遮光カーテンのこちら側薄暗く湿った部屋で目を覚まし想う。


ゆるせない、となけないかなしさについて
きりすてられないかなしさについて



「あたしははじめからなにももってはいなかったしなにもうしなってなんかいない」
呪文のように唱える




あたしの背には傷口などないし、

…羽根すらもついてはいなかったのだから。




そう、最初からただのひと。何様でもなかった。

2005/07/26

18年前に自分が書いていたブログから。
この在り方って多分、
今も本当に変わらない。

いいなと思ったら応援しよう!