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実際に手がけたイラスト修正の過程をご紹介します
過去に手がけたお仕事で、イラスト発注からラフスケッチ、彩色仕上げまでの過程をご紹介します。今回はIT関連の研究機関の広報誌で『個人情報』をテーマにした冊子表紙のイラストです。当初クライアントからの詳細な内容の提示はなく、テーマから自由発想して絵を組み立てるところからスタートしました。
■まずは1回目
まず「個人情報」という事で、個々の人間をロボットの魚に例えてその中身(骨)が覗き窓になって見えているロボット魚をいっぱい泳がせてみました。(ラフ1)
![](https://assets.st-note.com/img/1731302420-XrUYIWsDZmOxRe5yuE9qKL73.jpg)
作者的には、なかなかいいアイデアだと自負をしたイラスト案でした。(ちなみに担当デザイナーサイドでも好評でした)
■そして修正依頼
ところが、クライアントチェックで先方の意向と合わず「こんな感じにしてほしい」という指示の簡単なアイデアラフが送られてきました。ロボットの頭の上に個人情報を表すアイテムが飛んでいるという内容。かなり具体的な表現です。そのアイデアに沿って、形を組み上げたものがこちら(ラフ2)です。
![](https://assets.st-note.com/img/1731302485-iGZs0Q2T6guMAn4U3vjbYIdS.jpg)
■さらに修正
クライアントから送られたラフとおりの絵柄だったのですが、実際に描いた状況を見ると具体的な次なるイメージが浮かんでくる事がよくあります。仕事を発注される方は、当然絵を描く事に慣れた方ではない場合があるので、こういった状況にも真摯に対応しなければいけません。さらに説明的になり絵柄が複雑になってくることは否めませんが与えられている要素で何とかまとめて行きます。(ラフ3)
![](https://assets.st-note.com/img/1731302589-ohgwtC64plMdnFL5QecrAiq8.jpg)
■わかりやすく
やはり複雑になりすぎた要素を減らしたいというオファーが来ました。掃除機を上にずらして、吸い込み部を分かりやすくします。(ラフ4)
![](https://assets.st-note.com/img/1731302644-N8W9Oaw1QGkEZF3zqgBu5IJ6.jpg)
■個々の関係を考えて
網の形状を掃除機が吸い込んでいる状況が分かりやすいようにしてほしいとのオファー、さらに内容上つじつまが合わない要素(音符や男女記号)を削除するというオファーがきます。(ラフ5)
![](https://assets.st-note.com/img/1731302687-DRaW5z9Bp4AFrIdtuj7SXyxw.jpg)
■最終ラフ
最後に、個人情報アイテムの微調整をへてOKを頂き彩色作業に移ります。(ラフ6)
![](https://assets.st-note.com/img/1731302734-LvXQyujYBoNnO1U0SsRTegGF.jpg)
■彩色作業
各要素の吸い込まれているような動きなどに配慮しつつ彩色しました。複雑な絵柄なので、見づらくならないように注意を払いました。
![](https://assets.st-note.com/img/1731302791-BuI6Amz21FRXa8yGiS43PEUh.jpg)
■完成イラストの修正
細心の注意を払い描いたつもりでしたが、やはり個人情報のアイテムが目立たないとの事。ロボットの濃度を極力薄くする指示が来ました。絵柄的には、手前のロボットは見せ場なので薄くすると絵が間延びしてしまいます。アイテムを目立たせる事と絵柄の見栄えの微妙なバランスを考えながらロボット濃度を下げます。全体を薄くしてしまうと形にメリハリがなくなってしまうので部分的に濃度を調整しながらバランスを取って行きます。ただ言われたとおりに修正するのではなく意向を反映しながら絵を作って行く事が大切です。
![](https://assets.st-note.com/img/1731302843-G3DBcWwd07YaA2suZKzXe4SC.jpg)
■自分なりに考える
かなりの回数に渡り修正要求が来た大変苦しい仕事でしたが、先方の細部にわたるこだわりはこのイラストレーションの依頼にかける熱意の現れだと理解し、最大限努力しました。 最終的な仕上がりには、ご満足を頂いているものと思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1731302970-h9d2GJmAqPR8KfMw0j5LY6XN.jpg)
毎回ここまでの修正がある訳ではありません。一発でOKを頂ける場合の方が多いですが(笑 でも、伝えたいメッセージを分かりやすくということは、どんな状況においても忘れてはいけないと意識して描いています。
描き手の立場からする「ととりあえず描かせてみて後で調整しよう」的なスタンスの依頼・進行は、本意ではありませんが、クライアントの意向に粘り強く向き合い、より満足をいただける内容に仕上げていく事は重要であると思います。その事によって得られる信頼というものは、何者にも代え難いと思いますし実際この案件は、長きにわたり定期的にご依頼を頂く事になり、今回ご紹介をしたような過度な修正も少なくなっていきました。
イラストを描く方にも発注する立場の方にも、何かのご参考になれれば幸いです。
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