運はどう呼び込むのか?
たけしさんがどういった状況だったか忘れたが「漫才師ってのは舞台のセンターに向かうときに今日は誰も笑わないかもしれないっていう恐怖をいつまでも持ってるもんだ」と言ったことがある。元気が出るテレビをやっている頃だろうから絶頂期の頃である。後年ツービートがテレビに出る前、浅草の舞台で玄人受けはするけどお客は少なくたった2人のお客でやることなんてザラだったということを知った。もうすでに「赤信号みんなで渡れば怖くない!」とか毒舌漫才は完成していたにも関わらずだ。
笑いってそのくらい微妙なものだ。そんな浅草で燻っている時に「マンザイブーム」が吉本を中心に大阪からやって来て東京から出るコンビがいなくて引っ張り出されてそして何回目かの「THE MANZAI」の生放送の回に”テレビじゃ無理だろう”と言っていたネタを思い切りぶつけて一夜にして、マンザイブーム=ツービートにしてしまった。さらにその数日後に初めてのピンでやる仕事「ビートたけしのオールナイトニッポン」で芸能界のトップに駆け上がったのだ。信じられないことだがこのオールナイトニッポンが始まるまで”ビートたけし”は認識されていなくて「ツービートの小さい方、よく喋る方」だったのだ。
もちろんとんでもない才能があった。努力もしただろう。しかしそれと同時に「時」という運を味方につけたのだ。
運と努力と才能。どれが一番大切だと思う?という芸能界クイズがある。答えは全部だ。どれひとつ欠けても芸能界で成功はない。
欽ちゃんが自宅でたくさんの金魚を飼っていたことも有名だ。
なぜか?
仕事で当たる、つまり番組が視聴率を取るのは「運」だから。
だから番組が当たるってのは「運」を大量に使う。だからそのツケが家族に来る。だからそれが来てもいいように家族を増やす。だから大量の金魚を飼った。大量に飼っているから毎朝何匹かは浮かんでいる。それを見て「まだ番組は当たり続ける」と安心する。
電波少年が当たったのもかなりいろんな「運」が重なったからだった。
そして電波少年はリスクだらけの番組だった。アポなしロケに週に何十本も行く。いつも誰かは海外でヒッチハイク貧乏旅行をしている。または無人島にいる。または何日も飯が食えないでいる。毎日毎時毎分毎秒、何か事故やトラブルが起きてもおかしくないそんんな日々を10年以上も過ごした。
ある時にある法則に気がついた。トラブルはあちこちで同じ時に起こる。こっちのロケでパキスタンでトラブル。するとまもなく別のカンボジアの無人島でトラブル。部屋にこもっているロケのはずが週刊誌がそれを嗅ぎつけたという連絡が入る。そんなトラブルは平均的に起こるのではなくてまとめて起こる。そんなことが何回もあって僕はこうすることにした。
何かトラブルがどこかで起きたら他の現場に一斉連絡。「今は絶対に無理するな!慎重になれ!ステイだ!」普段だったら何でもないことが事故やトラブルにつながる。
逆に思いもよらぬ成功が舞い込むことがある。例えばパレスチナでアラファト議長に会えたりする時だ。こんな時はイケイケでかなりのリスクの高いロケでも失敗することはない。他の現場にも今は全部ゴーだ!と指示を出す。
良いことも悪いこともまとめてやってくる。
それは運のいい時、悪い時があるから。
いい時に行け!悪い時は静かにしていろ。
今、運の風は順風か逆風か?それを感じる力が必要だ。
そしてそれを自分の味方にする方法も。