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「これ描いて死ね」への感謝。20250119
とよ田みのる先生の「これ描いて死ね」が、第70回 小学館漫画賞を受賞した。
同作の一巻が出たころ、私はnoteに想いを綴っている。本当に、この作品には救われているのだ。
漫画が大好きな私だが、0から物語を考えたり、絵を描いたりするのは得意ではない。だから、高校生の頃に思い描いた夢は漫画編集者だった。
大学もそれを軸に進路を選び、滑りに滑ったものの、一応はメディアと名のつく学科に潜り込んだ。
しかし、ゼミや就活指導塾的なところで揉まれに揉まれ、完全に迷子になったまま就活を迎えた私は、ハスに構えて大手3社の面接に望んだ。ほかの出版社もいくつか受けたが、営業をやりたいとのたまったりなんだり、迷走して完全敗走。結果、まったく別業界に就職し、数年の暗黒時代を過ごすこととなる(やや睡眠障害のようにもなり薬を飲んでいたこともある)。
巡り巡って今、一応は出版社に勤めているが、いわゆる連載漫画の編集は経験できていない。いつのまにか31歳になり、本職にするにはタイムオーバー感もある。
「これ描いて死ね」に出会ったのは、たしか2022年のことだ。もう漫画の編集者にはなれないだろうなと諦めかけ、大好きな漫画を読む意味を見失いつつあった。というより、心から楽しめなくなっていた。
毎月数万円近く漫画にお金を使っているが、結局夢果たせせぬのならなんの意味があるのだろう、と。
今考えれば、漫画は楽しいものなのだから、読んで満足できていればいいのだが、当時はそうもいかなかった。
しかし、ふと表紙に惹かれて手に取った「これ描いて死ね」の主人公・安海に打ちのめされる。
漫画の面白さ、美しさ、価値。作中で描かれるすべてが、私の中になだれ込む感覚がした。
「漫画は嘘じゃないよ」とまっすぐな顔で話す彼女に、気づけば涙しながら頷いていたのだ。
そう、漫画は嘘ではない。私の中のあらゆるところに、読んできた漫画が潜んでいる。いや、むしろ血肉を形成していると言ってもいい。
そんな「これ描いて死ね」が、世の中にどんどん評価されていくことが嬉しい。マンガ大賞2023を受賞したときも、自分のことのように嬉しかった。
未読の方は死ぬ前に読んでほしいし、ファンは神保町の書泉グランデに行ってほしい。あそこの階段は素晴らしい。
最後に改めて「これ描いて死ね」に、とよ田先生に感謝したい。ありがとうございます。おかげで、今の仕事も楽しくやれています。