共生経済が始まる 世界恐慌を生き抜く道(内橋 克人著)
この本が出版されたのは2009年。阪神淡路大震災とリーマンショックの影を残している時代、5年半にわたる小泉政権が終えた頃に書かれた物だ。取りあげている行政、金融、経済、社会は当時の状況がベースとなっているが、示している方向は今、まさに動きつつある変化の中での社会の方向性を示してくれている。
内橋氏は、理想の経済として「分断・対立・競争を原理」とした競争セクター万能の「市場原理至上主義」を越えて、「連帯・参加・協同を原理」とする「共生セクター」が力を持ち、資源循環型社会を実現すべきと説いている。
未来を見据えた警鐘は人々に届くまで時間がかかる。その間、日本では、東日本大震災などの震災、多くの豪雨災害、そしてコロナ禍が社会を襲っている。 厳しい状況の中内橋氏が示した「連帯・参加・協同を原理」は伏流水として流れ、現在に社会に表れているように思える。