国宝消滅―イギリス人アナリストが警告する「文化」と「経済」の危機(デービッド・アトキンソン 著)
著者は、日本の建物文化財の修復などを手がける小西美術工藝社社長だが元はゴールドマン・サックスなどの投資会社でアナリストとしてキャリアの持ち主。それだけに分析の切り口は鋭い切り口で容赦がない。例えば、職人として一人前になるのに10年かかるからなり手がいないというが、企業でも専門性の高いプロフェッショナルとして一人前になるには10年ぐらいの業務経験は必要という。そこ特殊性は無い。求人と育成のプロセスでの努力が足りないと断じる。二条城の入場城が和菓子一個より安い。菓子一個と同等の価値を京都を代表する文化財を知る体験価値で訴求する事ができないと考えていると指摘する。徹底したリアリストの視点で経済合理性のロジックで突いてくる。経済合理性が全てではないが思いっきり振り切った考え方に触れることで見えてくる風景もあるだろう。
国宝消滅―イギリス人アナリストが警告する「文化」と「経済」の危機(デービッド・アトキンソン 著)