デンマークのスマートシティ: データを活用した人間中心の都市づくり(中島健祐著)
持続可能な経済成長を実現しているデンマークのサスティナブルな都市デザイン、自転車都市、電子政府、スタートアップ企業への支援など社会システムを変えるデザインの実例を豊富なカラー写真とともに紹介してくれている。人口580万人の小国のデンマークが格差の少ない社会デザインをしてきた歴史的背景や本質について知る事ができる。また、デンマークでの電子政府の浸透の歴史やビッグデータを用いたスマートシティのデザインや世界有数の自転車都市のコペンハーゲンや循環型経済を促進しているモデルが分かりやすく紹介している。一方で格差の無い社会が生み出す弊害(害と呼ぶかどうかは評価が別れるが)も示すなどバランスある内容だ。著者の中島健祐氏はデンマーク大使館投資部部門長で、デンマーク外務省投資局に2008年から参画している。本書では、日本とデンマークの両国を知る著者の視点から、スマートシティに関わる両国の関係についても紹介されている。興味深いのは、デンマーク・デザインが様々な面で日本の影響を受けている点である。一方で日本の自治体はデンマークの事例を参考にしていたり、デンマークからの支援を受けている。