先進事例で学ぶ 地域経済論×中小企業論 (長山宗広著)
コロナ禍の影響で東京の人口転入転出が2020年5月に9年ぶりにマイナス、つまり転出超過となった。大都市から地方移住や企業の地方移転のケースも生まれてくる中、東京一極集中の是正に繋がるかも知れない。本書が出版されたのはまさにコロナ禍の端緒の頃、2020年4月というのは偶然だが必然を感じる。時代の転換点において、地域経済論と中小企業論の学際領域での事例研究はこれからの経済、企業のあり方に示唆を与えてくれる。取りあげているケースは北海道十勝地方の食の産業集積、岩手県森岡の南部鉄器、福井県鯖江市の眼鏡産業集積など、10のケースを事例を分析している。多くの事例の特徴は産業集積、クラスターの形成が重要な要素になっていることが分かる。フィールドスタディに基づく分析は読み応えがある。