18.upcurved
信仰度★☆☆☆☆
【upcurved】
上に向かって曲がるさま
『日本語World Net(英和)』より
表情というものは想像以上に雄弁です。
「目が死んでいる」
教会に勤め始めて間もない頃、誰かとすれ違う度に「どうしたの?目死んでるよ」
「おい、目死んでるけど大丈夫か」と言われ続けた経験があります。
果たして何か心病んでいたか、嫌なことがあったのか?
身に覚えはありません。
とはいえ、何人もの人に「目が死んでいる」と表現されたのですから、きっとやべぇ表情をしていたのだと思います。
最初は本音のままに「別に大丈夫ですよ」と返していましたが、言われすぎてさすがに気になってきました。
いつしか、「目が死んでいる」と言われることが悩みの種となりました。
意識すべきは目ではなく口元
そこである日じっくりと鏡を見つめました。いつもの自分が映っていました。しばらく向き合い、死んでるらしい目をどうしたら良いか考えました。
でも目をどうこうするのって案外難しい。妙案は浮かびません。
鏡の前でいろんな顔を作ってみました。(誰かに見られていたら危険です)
そこで一つ気づきました。表情を作っているのは目でなくて口元だと。
目をどんなに動かそうとしても表情はあまり変わりませんが、口元を上げるだけで、自然と目尻が細くなって、にこやかな表情になります。
私の目が「死んでいる」のも、目そのものが死んでいるということではなくて、口元が下がっているせいだと確認しました。
私はにこやかな表情の作り方を今まで、怠ってきていた、いや、知らなかったのですね。
そこからは練習の日々です。毎日鏡と向き合って、グニっと口角を上げます。歩いていても気づいた時にグニっと上げます。人と会う前もグニっと上げます。
これ、やりすぎ注意です。練習の風景を見られたらただニヤついている、別の意味でのヤベェ奴です。
練習を始めると、普段の私の口元が無意識に下がっていることに気がつきました。自然と仏頂面だったのです。なんともったいないことをしていたのでしょうか。
その度にグニっとして、気が緩むとまた口元が落ちている。またグニっと上げる。この繰り返しです。
口角を意識して上げていたら起こった変化
1カ月ほど経った頃一つの変化がありました。私の口から出る言葉が、わずかではありますが、自分でも分かるくらいにポジティブな言葉に変わっていきました。
「嬉しい」とか「ありがたい」とか「すごいなぁ」とか、そういう言葉がすんなり出てくる、そんなイメージです。
もう少し言うと、今まで心では感じながらも言葉にならずに消えていっていた喜びが、出口を見つけて出てきてくれた感覚です。
気づいた喜びは口に出すことで、より深く味えるのだなと思いました。
まぁ、ポジティブな言葉が増えたと言っても、実際には数%程度かもしれませんし、ただの思い込みの可能性もありますが、それでも私はなかなかに味をしめて、以来、この試みを思い出しては実行しています。
努力は目的から逆算して次元を一つ下げたところから
私は表情、特に口角を上げることをちょっぴり意識するプチ生活改革をしました。すると結果として、日常発する言葉が好転するという、おまけを頂いた形となりました。
これもし、表情ではなく言葉遣いを変えるという目的でやっていたら、言葉は変わらなかったのじゃなかろうかと思うのです。
この経験は私にある仮説を浮かばせました。それは、何かを良い方向に変えたければ、それより一つ低次元のものから始めたら良いのでは、ということです。
言葉を変えたければ、まず表情から
行動を変えたければ、嘘でもいいから言葉から
習慣を変えたければ、思い立ったその日の行動から
このような逆算をして、無理なく努力を重ねていくことで、
やがては変わった習慣が、心を変え、いつしか人の運命も変えていくのでは、、って似たような言葉が確かありましたね。
私の主観的な仮説なので、も少し長い目で検証を重ねていきたいと思います。