29.スメル
信仰度★★☆☆☆
【スメル:smell】
1.におい
2.嗅覚
『英辞郎 on the WEB』より
夕方、カレーの匂いがどこからともなく漂ってきて、実家の母親のあのセリフ思い出す。
あるいは、昔の恋人が使用していたシャンプーの匂いを偶然嗅いで、胸がギュッとなる。
においが特定の記憶を鮮明に呼び起こすトリガーになることはしばしばあるようです。
それは、嗅いを脳に伝達する仕組みが他の知覚と違うことに原因があるとされています。そんな特殊な知覚「嗅覚」の話です。
さてこのにおい、匂い、臭い。
嗅ぐ時も嗅がれる時も、それが意図して行われることは、必ずしも多くありません。
良い匂いにせよ、悪い臭いにせよ、勝手ににおってくる、あるいは意図せずにおわせてしまう、こういうことが多いですね。
「見ざる聞かざる言わざる」
自分にとって都合の悪いことを不用意に見たり聞いたり言ったりすることを戒める言葉です。
ですが、におわざるや嗅がざるという猿はいないのです。
それはきっとにおいが隠し切れないものであり、どうしようもなく嗅ぎ取ってしまうものだから。
さらに面白いことに、自分が普段どんなにおいを放っているのか、基本的に私たちは無自覚です。自分のおいに嫌悪を抱き続けて生きている人はいないでしょう。
それは、実際のにをいに限らず、醸し出す雰囲気という意味においても同じこと。
いったい自分がどんなにおいを出して生きているのか。それは自分が日々何を見、何を聞かされ、それを心にどう映しているかに思いを致すことで、振り返ることができそうです。
ありがたい、嬉しい、で生きている方は、やはりいいにおい、心地よい雰囲気をまとっています。
自分が発する「におい」を建設的に指摘してくれる数少ない恩人たちを是非とも失わずにいたいですね。