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埼玉県公立高校の志願倍率の気になるポイント(その2)ーー杉戸高校
杉戸高校の倍率上昇の理由を考えてみた ——公立らしさ全開のブレイクスルー戦略
埼玉県の公立高校「杉戸高校」の倍率が上昇している。では、その理由は何なのか?勝手に考察してみた。
私が見るところ、どうやら杉戸高校は「公立らしさ」を最大限に活かしながら、これまでの高校PRの常識を覆すような戦略をとっているように感じる。そのポイントをいくつか挙げてみたい。
1. 素朴なSNS運用で伝わる「公立らしさ」
杉戸高校のSNSは、決して派手なエフェクトやデザインで飾られたものではない。むしろ、素朴。投稿内容も奇をてらったものではない。ただ「学校の様子を知ってもらいたい」という純粋な気持ちが伝わるものばかりだ。
洗練された広告的な投稿ではなく、日々の学校生活を淡々と発信し続けるスタイル。それが「公立らしい」と感じさせ、親近感を持たせることにつながったのではないか。
2. 「全部入り」の公立高校らしさを強調
私立高校は特色を前面に押し出すことが多い。例えば「進学特化」「スポーツ特化」など、強みを明確に打ち出すのが戦略の基本だ。
一方、公立高校は「一通りのことを学ぶ」のが特徴。受験対策、部活動、学校行事、地域とのつながり——何か一つに特化するのではなく、「全部入り」なのが公立高校の良さだ。杉戸高校は、その公立らしさを上手に打ち出すことに成功しているように思う。
「一見無駄に見えること」も、「全部経験できることこそが強み」と伝えることで、幅広い層の受験生に刺さったのかもしれない。
3. 地域とのつながりを前面に出す戦略
公立高校は基本的に閉鎖的なイメージがある。「地元の学校」「外部の人が関わる機会が少ない」という印象を持っている人も多いだろう。
しかし、杉戸高校はそのイメージを覆した。たとえば、東武動物公園との連携もその一例だ。さらに驚いたのは、学校説明会に外部の人間を入れたこと。
通常、学校説明会は「自校をアピールする場」であり、外部の人間が入ることはあまりない。しかし、杉戸高校は説明会に「地域貢献事業」の時間を設けることで、外部からの視点を取り入れた。この試みは、受験生や保護者に対して「開かれた学校」という印象を与え、志願者の増加につながった可能性がある。
結論:ブレイクスルーだらけの戦略が刺さった?
杉戸高校の施策を改めて振り返ると、従来の「高校PR」の常識とは真逆の戦略を取っていることがわかる。
SNSは派手な演出をせず、素朴さを貫く
「公立らしさ」を逆に強調し、特色として打ち出す
外部との連携を積極的に取り入れ、「開かれた学校」を印象づける
公立高校だからこそできる、ある意味での「ブレイクスルー」。その発想が、受験生や保護者に届いたのかもしれない。今後もこのユニークな戦略がどう進化していくのか、注目していきたい。
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