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伝えきれていない専門学科の魅力を今こそ

2025年度入試向けた第1回進路希望調査の結果が発表された。
普通科については速報という形で動画を作成しYoutubeで発信をさせていただいたが、今回はその専門学科編である。
専門学科については、動画にして発信できるほど詳しくはない。よってあれこれ思考の寄り道ができる文章の形でまとめていきたいと思う。
なお、本稿は私個人の私見が多分に含まれていることをあらかじめご了承いただきたい。

◆専門学科はこれから?


今回の進路希望調査は10/1現在で行われたものなので、この先に変動があるとはよく言われることだが、これは専門学科についても当てはまると思う。
中学生の皆さんは、基本的に専門学科を知らない。普通科であれば何となく今の学習の延長だろうという見当はつく。そういったことから、最初から専門学科を選択する人はまれで、最初はほぼ普通科を考えることから始まる。

ただ、受験が本格化してくる中で、何かのきっかけで専門学科を知り、専門学科への進学を考える人がいることも確かである。
専門学科を知るきっかけが積極的な理由の場合もあれば、消極的理由の場合もあるが、中学生の皆さんが専門学科を知るのは、意外と遅いというのが本当のところだろう。

当方も塾で進路指導をしていて、最初から専門学科を勧めることは稀だ。当人の希望がない限り、初めはやはり普通科を勧めることがほとんどである。
その意味では、専門学科が伸びてくるとすれば、これからとも言えるのではないだろうか。

◆発信力が積極的選択を生む


普通科以上に学校・学科選択で大きな力を持つのは、各学校からの発信だと考えられる。前出の通り、普通科での学習内容は中学生でも想像がつく。しかし、専門学科は専門的過ぎるがゆえに、中学生にはどんなことを学ぶのかがイメージしづらい。それがゆえに求められるのは情報発信だ。

今回の進路希望調査で倍率が出ているところは、Instagramをはじめとした情報発信が盛んなところが多いように感じる。
今年度、専門学科でのInstagramで特に印象に残ったのは杉戸農業高校だ。
田植えから稲刈り、動物の世話や食品づくり。多彩な動画がInstagramのフィードやストーリー上に並ぶ。
考えてみれば、専門学科のほうが動きのある授業が多いのでInstagramでの発信には向いている。そこをうまくとらえたからか、2学科で1倍を超えるなど、杉戸農業高校を積極的に選択している人が多くいることが伺える。

個人的には春日部工業高校の機械科の電車班のInstagramも面白い。
私が鉄オタということもあるのだろうが、Instagramを見ていてとてもうらやましかった。鉄道ファンならばあこがれる風景がInstagramの先に見ることができたからである。こういった人を取り込んだからか、春日部工業高校の機械科も1.47倍という倍率を出している。

実は私たち塾の現場も中学生と同じである。
私たちも中学校の先生も大半が普通科出身。それゆえに専門学科については知らないことが多い。するとどうしても本人の適性とは別に普通科を勧めてしまうことが多いだろう。そのほうが見当もつくし安心だからだ。
そのあたりのギャップを埋めていくものがあるすれば、塾説やInstagramなどを用いた情報発信なのだろう。
そのあたりについては、過去に書いた記事があるので、そちらをご参照いただきたい。

◆普通科近接学科でも同じ

理数科や外国語科、人文科など、普通科と学ぶ内容が近接している学科も同じことが言えるのではないだろうか。
それを感じたのは、昨年度の越谷北高校の塾説へ行った時だ。
その時はちょうど、理数科の1年生が理数探究の課題決めや実習をしていた。もちろんしっかりと取り組んでいるのだが、どこかその中に、楽しんで学んでいる、面白そうに学んでいるという姿を見た気がした。
理数科というと、まじめにガリガリ勉強ばかりしているというイメージしかなかったが、決してそうではなく、本当に学びを楽しんでいる生徒さんたち、そんな生徒さんたちの姿を見て、なんだかほっこりとしたのを覚えている。

このように普通科の近接学科でも知らないことばかりである。
進路指導をする立場として自分の無知は恥じるべきだが、やはり私のような無知をなくすためにも、より情報の発信をお願いしたいところだ。
それは他の人文科、外国語科、国際文化科、そして総合学科も同じである。

総合学科についていえば、選択ができるという話はよく聞くが、これをきちんと説明できる人はどれくらいいるのだろうか。この「選択ができる」を「楽ができる」と勘違いして進学を考えてしまっている、そんな受験生がいないか心配である。
この総合学科の「選択ができる」については、学校説明会で生徒や保護者の皆さんには説明をされていると思うが、進路指導の現場である中学校や私たち塾にも、情報を発信してほしいと思う今日この頃である。

◆本当に学びたい人はそれでも専門学科に行く

これは伝聞なので正確ではないかもしれないが、とある専門高校に、学校選択問題レベルの高校を目指せる生徒さんが入学したという話を聞いた。
Instagramなどを積極的に活用していたこの高校は、こういった生徒さんを引き寄せたことになる。
本当に学びたいことを見つけた子どもたちほど強いものはない。
ときには大人のいうことを振り切ってでも、自分が行きたいところへ行くこともある。
昨年の浦和商業、今年の大宮工業の塾説を通して専門学科が生徒さんたちを引き寄せられる魅力があることを十分に感じることができた。
ただその魅力はまだまだ伝わっていないように思う。これからも各高校には、専門学科ならではの魅力を発信し続けてほしいと思う。

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根岸孝之
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