合意に基づく非一夫一婦制（ポリアモリー）に対する社会的意識：現状と展望

合意に基づく非一夫一婦制（CNM）に対する社会的意識を調査した本研究では、CNMの定義、普及率、社会的スティグマ、および意識測定の方法論を検討しました。
文献レビューの結果、CNMに対する意識は複雑で、中立からやや否定的な範囲に分布していることが明らかになりました。
社会人口統計学的特徴、パーソナリティ、愛着スタイルなどの要因がCNMの意識を予測することが示されました。
また、CNM意識を測定するための既存の尺度を分析し、その長所と短所を評価しました。
研究の課題として、標準化された測定アプローチの不足、予測妥当性の確立の必要性、および意識と行動のギャップを埋めることの重要性が指摘されました。
今後の研究方向性として、理論的根拠に基づいた研究設計、偏見削減への示唆、および新たな尺度開発の必要性が提案されました。

Rye, B. J. (2024). Review and Critique of the Quantitative Literature Regarding Attitudes toward Consensual Non-Monogamy (CNM). Sexes, 5(2), 120-147.

はじめに

合意に基づく非一夫一婦制の定義

同意に基づく非一夫一婦制（Consensual Non-Monogamy: CNM）とは、参加者全員が同意した上で、非一夫一婦制の交際を行う交際スタイルの総称です。
これには、恋愛関係、性的関係、またはその両方が含まれます。
CNMは、ポリアモリー、スウィング、オープン・リレーションシップなど様々な形態を含みます。
CNMと不倫・不貞行為の重要な違いは、関係外の親密さに関するオープンなコミュニケーションと合意です。

普及率と社会的背景

西洋社会では一夫一婦制が主流ですが、CNMは新しい概念ではありません。
最近の北米の研究によると、CNMの関係への参加率は4％（現在）から20％（生涯）。
さらに、約17％の人がポリアモリー（一夫多妻制）を望んでおり、12％の人がオープンな関係を理想的な恋愛状態と考えています。
しかし、CNMは依然としてスティグマ化されており、CNMを実践している人々に対して尊重の念を抱いている人はわずか14％しかいません。

スティグマと差別

CNMの実践者は、しばしば偏見や差別に直面します。
ポリアモラスな人のおよそ4分の1が、その関係スタイルによる差別を経験したと報告しています。
このような偏見は、職場、家庭、医療など、生活のさまざまな場面に及びます。
子どもがいるポリアモラスな家族は、特にいじめや法的差別を恐れています。

研究の焦点とギャップ

CNM実践者の経験に関する文献は増えてきていますが、実践者以外のCNMに対する意識はあまり注目されていません。
既存の研究の多くは、社会的認知者の意識を直接評価するのではなく、CNM個人が経験したスティグマに焦点を当てています。
この研究のギャップは、CNMに対する社会の意識をより正確に理解し、肯定的な意識を育むための戦略に情報を提供できる可能性があります。

意識の測定：明示的アプローチと暗黙的アプローチ

CNMに対する意識は、明示的な方法と暗黙的な方法の両方を用いて測定することができます。
明示的な測定法では、意識的な自己申告が必要で、多くの場合、意味差尺度や信念に基づく同意尺度を用います。
一方、暗黙的な測定法では、反応時間ベースの評価を用いて、より自動的で無意識的な意識をとらえます。
CNMの意識に関する文献のほとんどは、明示的な測定法を用いていますが、暗黙的な態度の結果を用いた研究も増えてきています。

CNMに対する意識は肯定的か否定的か？

研究の解釈：微妙な図式