男性と女性におけるダークテトラドの時間的展望： サディズムの性差に関する予備的知見
ダークテトラドとは、他者を操作、搾取、危害、軽視する傾向を特徴とする4つの性格特性の集合であり、これらの特性とは、マキャヴェリズム、サイコパシー、ナルシシズム、サディズムの4つです。
これまでの研究では、これらの特性は、現在や過去に集中するなど、時間の捉え方や関係のあり方の違いと関連していることが示されてきました。
しかし、これらの研究のほとんどは、性差やサディズムという特定の特性の役割を無視しています。
今回紹介する研究の目的は、ダークテトラドの特性が時間的展望とどのように関連しているかを男女別に検討し、サディズムの時間的展望に関する初期的洞察をもたらすことです。
方法
本研究には、ダークテトラドの特性と時間的展望を測定するオンラインアンケートに回答した350名（18歳から69歳の男性170名、女性180名）が参加しました。
ダークテトラドの特性はShort Dark TriadとVarieties of Sadistic Tendenciesの直接性サディズム尺度で評価しました。
時間的展望は、過去否定的、過去肯定的、現在快楽主義的、現在運命主義的、未来志向的という5つの次元を測定するZimbardo Time Perspective Inventoryで評価しました。
研究者は相関分析、調整分析、重回帰分析を用いて変数間の関係を検討しました。
結果
その結果、ダークテトラドの特性は主に男女ともに現在志向と関連していたが、性別によって若干の違いがあることが示された。
ナルシシズムは女性において現在快楽主義的観点とより強く関連し、サイコパシーは男性において現在運命主義的観点とより強く関連した。
サディズムは男女間で顕著な違いがみられました。
男性では、サディズムは現在運命主義的観点のみと関連していたのに対し、女性では現在快楽主義的観点と過去否定的観点の両方と関連していた。
考察
本研究は、男女のダークテトラド特性、特にサディズムの時間的展望に関する予備的知見をもたらすものでした。
その結果、サディズムは男性と女性で異なる起源と動機を持っている可能性が示唆されました。
男性では、サディズムは将来に対する絶望感や諦観によって引き起こされるのに対し、女性では、現在における快楽や興奮への欲求と過去に対する憤りや恨みによって引き起こされるのかもしれません。
研究者らは、サンプルの特徴、相関デザイン、邪悪な特性の単一測定評価、早期生活イベントの測定不足など、この研究のいくつかの限界を認めています。
研究者らは、今後の研究では、男女におけるダークテトラド特性の時間的展望をさらに探求するために、より多様で代表的なサンプル、実験的または縦断的デザイン、邪悪な特性の複数尺度、早期生活イベントの尺度を用いるべきであると示唆しました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？