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BCC d5 『細雪』谷崎潤一郎

谷崎潤一郎と川端康成、この二人に女の子を描かせたらもう、大変なことになる。二大変態近代文学者。よくぞこんな細かいとこまで見てるな、と女性でも驚くほど女性の描写が細かい。
 

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桜は京都でないと、見た気がせぇへん。
私も幸子姉ちゃんが言うてること、すごいわかるわ。
 
「常例としては、土曜日の午後から出かけて、南禅寺の瓢亭で早めに夜食をしたため、これも毎年欠かしたことのない都踊を見物してから帰りに祇園の夜桜を見、その晩は麩屋町の旅館に泊って、明くる日嵯峨から嵐山へ行き、中の島の掛茶屋あたりで持ってきた弁当の折を開き、午後には市中へ戻って来て、平安神宮の神苑の花を見る。(中略)彼女たちがいつも平安神宮行きを最後の日に残して置くのは、この神苑の花が洛中に於ける最も美しい、最も見事な花であるからで、円山公園の枝垂れ桜がすでに年老い、年々に色褪せて行く今日では、まことに此処の花を措いて京洛の春を代表するものはないと云ってよい」

瓢亭、都踊からの祇園の夜桜、嵯峨嵐山と平安神宮。全く同じには真似できひんけど、私も祥風楼(学生時代のバイト先)からの祇園の夜桜、清風荘でのお茶会、平安神宮。これが春の小旅行コース。

もちろん男の人と行ってもいいけど、それでも、仲の良い女の子と一緒に行けたらどんなにか楽しいやろ。
男にはない可愛さ、優しさ、柔らかさ。それを谷崎と川端はよぉわかってる。ほんまにすごいと思うわ。
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谷崎の繊細な描写に、森里陶楽さんの繊細なお茶碗を。

大学生のとき、ほしいな、でも高いな……と逡巡して何度も道具屋さんに通い詰めた、思い出のお茶碗。

おまけに、今日のテイクアウト・焼鯖棒寿司。
京都で修行された料理人さんのお店を千駄木に見つけた。「旬菜しとり」さん。

はよ京都行きたいわ。
≪終わり≫

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