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アダルトチルドレン自助会への想い

「自分でも自助会をやってみたい」
ピアリーダー研修に参加して、そう思った。

私が先日参加したのが、発達障害の自助会向けの研修。
「このまま自分でも、発達障害の自助会を・・・」

そう考えていて、ふとなぜか
「自助会って、発達障害だけじゃないよね」
という考えが浮かんできた。

あれこれアイデアが出てきてしまうというのは、
ADHDの良いところでもあり、悪いところでもある。

私が初めて参加した自助会が、
京都府立大学の横道先生が主催しているものだった。
横道先生は発達障害以外にも、たくさん自助会を主催している。

その中の一つに、アダルトチルドレンの自助会があった。
そちらには参加したことは無いが、なぜか気になってしまう。
横道先生と私は、教団こそ違っていても、
宗教二世という点では共通している。

アダルトチルドレンの自助会に少しでも興味を持ってもらえたらと思い、
私がやってみたいと思うまでの経緯をまとめてみた。

まさか自分が

一般にアダルトチルドレンとは、幼少期の親のアルコールやギャンブル依存症であったり、虐待や育児放棄が原因で心にトラウマを背負った人とされている。

うちの親は、酒におぼれているわけでも、
ギャンブルにのめり込んでいるわけでもなかった。
私自身、体罰を受けた記憶もない。
私には、ごく普通のありふれた家庭にしか見えなかった。

アダルトチルドレンのことを調べていて、
「自分は違うだろう」とばかり思っていた。
さすがに自分が育った家庭は、そこまで崩壊なんてしていないという、
今思えばちょっと能天気な思い込みをしてしまっていたのだ。

ただそれでも、アダルトチルドレンの特徴を調べてみると、
「えっ?これって結構当てはまるよな…」
という部分が出てくる。

・人前で話す時に過度に緊張する
・完璧主義の傾向が強い
・楽しむことや休むことに罪悪感がある
・感情が出ない

昔の自分に当てはまっていたこれらの特徴は、
発達障害で説明することもできる。

ただそれでも、小学校に入る前くらいまでは
普通に感情があった記憶がある。
そう考えると、発達障害だけでは説明しきれない部分があった。

「自分が長い間抱えてきたこの症状って一体…」

その謎を解くきっかけになったのが、
宗教二世でもある横道先生が
アダルトチルドレンの自助会もやっていたことだったのだ。

宗教熱心な家庭で過ごした過去

自分にとってアダルトチルドレンになってしまう理由——
心当たりがあったのは、宗教熱心な家庭で育ったことだった。

ただ、宗教といっても、
見た目は普通の人と変わらないし、
教団の施設に拘束されているわけではない。
日常生活も周囲の人と同じようにできている。

自分でも、「うちはちょっと変わった宗教を信仰している」
くらいの感覚しかなかった。
だから、あの銃撃事件が起こるまで、
自分の家の宗教は何かおかしいということには、
まったく気がつくことができなかった。

アダルトチルドレンになる原因に一つひとつ当てはめてみると、
驚くほどよく当てはまる。

依存症についていうと、うちの親は両方とも教団の幹部だった。
家の本棚には教団の本がびっしりと置かれており、
集会にも休まず参加する。
教団の指導者の教えにのめり込んでいるという感じで、
宗教活動以外に何か趣味や交流をしているようなところは
ほとんど見たことが無かった。

虐待についても、二世信者である私は、
親から信仰を強制されていた。
学校が休みの週末には、
子どもを対象にした集会に嫌でも参加させられる。
他にも、家族単位で参加する集会もあり、
そちらにも強制参加だ。

さらに、一時的に育児放棄の状態になることもあった。
教団が、とあるイベントで信者を総動員するときには、
幹部であるうちの親は大忙しで、
食事の準備はちゃんとしてもらえない。
家族よりも宗教なのかと、さみしさを感じることもあった。

こんな状態で幼少期を過ごしたわけだから、
メンタル的にどこか問題があるというのも、
今思うと当然のことだった。

アダルトチルドレンから抜け出して

さすがに子どもの頃には、経済的に自立できていないので、
親に頼らざるを得ない。

だが、大学生になってからはアルバイトもするようになり、
自分の稼いだお金で、自分が欲しいものを買えるようになった。
こうして私は、少しずつ自我を取り戻していった。

一番影響が大きかったのが、
独立開業する前に受講した、とある心理学のセミナーだった。
そのセミナーには、いわゆる「コミュ障」で困っている人がたくさん集まっていた。
アダルトチルドレンになると、人間関係の構築が上手くいかないから、
コミュニケーションが苦手になるのも無理はない。
さらに、「いい子でいなさい」と言われて育ち、
ありのままの自分を否定され続けたせいか、
セミナーを受講した当初は、みんなどこかどんよりした感じだった。

それがセミナーの中でお互いにポジティブな言葉をかけあっていくうちに、
どんどんと前向きになっていく。
私も、親から注意されるようなことばかり言われて育ったから、
ポジティブなことを言われるような体験は、あまりなかった。

セミナーを修了したときには、私もすっかりポジティブになっていた。
やっとアダルトチルドレンから抜け出せたのだ。

コミュニケーションが大の苦手という状態からも抜け出せた私は、
しばらくライター兼心理カウンセラーとして活動していた。

そしてつい先日、発達障害者向けの自助会のピアリーダー研修を受け、
ピアリーダーとしての一歩を踏み出した。

ここまでが大まかな流れで、
これからどうしようかと考えているところだ。

自分は宗教二世の当事者でもあるから、
宗教二世の自助会というのもできなくはない。

ただ、宗教は教団が違うと世界観がびっくりするくらい違う。
だから、二世同士が集まって話し合っても、
お互いに何を言ってるのか分からないということが起こり得る。

でも、アダルトチルドレンという切り口なら、
うまく対応できるのではないか。
親の依存症であったり、虐待や育児放棄といった部分は、
重なり合う部分がある。

ピアリーダーの研修を受けたといっても、
実際に自分で自助会を運営できるレベルになるのには、
まだまだこれから。

発達障害の自助会に比べれば
少しマイナーな存在になってしまうかもしれないが、
それでもやってみたい。

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