【自分らしく生きる哲学】
「哲学って結局どう使うんだよ」
最近になっておぼろげですがその答えが見えてきたと思い、これを書こうと思いました。1つ前のnoteにも書きましたが、哲学とは目的地に行くための地図です。道しるべです。これがなければゴールに辿り着けない、物語が始まらないって位重要な役割を担っています。そんな哲学の具体的な使い方を今回は見ていきましょう
「哲学が用いられている具体例~創作への応用~」
今一度『ONE PIECE』の主人公ルフィはどんな人間なのかというのを確認するところから始めましょう。ルフィの特徴として挙げられるのは
・仲間を大切にする
・自由にやりたいことをやる
・困っている人がいたら助けがち
・束縛を嫌う
等があると思います。
実はこれらはある1つの哲学が彼の中にあり、それがあるがゆえに彼を彼足らしめています。
そう、彼の哲学とは、
「海賊王に俺はなる!」
という信条です。
正確にはこれに加えて、彼の命の恩人であり海賊の厳しさを教えてくれたシャンクスの生き様が大きな影響を与えています。
詳しい説明は省きますが、シャンクスという人間が持つ「友達を傷つける奴は許さない」という心意気に影響されて、ルフィは彼をも越える海賊=海賊王になるという哲学を形成します。これがあるからONE PIECEという物語は始まります。言うなればこの哲学がルフィの行動理由をも決定付けてしまいます。例としてはくだらない喧嘩は買わない。人々の自由を奪う天竜人と対立するといった具合です。
この物語上でのキャラクターへの哲学付与は、ルフィに限らず重要なキャラクターには必ず与えられます。ゾロだと「世界一の大剣豪になる」という哲学が与えられ、それゆえに彼は背中に傷を受けることを恥だとし、船上でも常にトレーニングに励みます。サンジの場合だと「オールブルーを見つける」と「レディのために生まれてきた」という二つの哲学があります。サンジは麦わらの一味のコックであり、オールブルーを見つけるために一緒に旅をしています。彼は、自分の手は調理のためにある、ゆえに戦闘においては足技しか使わない、と明言しています。これは彼の哲学がそうさせるからです。また、たとえ女性が相手でも絶対に手を挙げることはありません。それゆえ度々ボコボコにされるのですがお構いなしです。極めつけは、同じ仲間のウソップに対して、同じクルーメンバーのナミがピンチの時に、「ナミさんのためなら俺はお前が死んでもいい」と言っています(笑)。このように哲学は物語上での人格形成に非常に重要な役割を果たすのです。この設定があやふやだとキャラ自体にブレが生じ、魅力あるキャラクターではなくなってしまいます。逆にキャラ設定の段階時に、哲学をはっきり持たせてやるとそれにしたがってキャラたちが勝手に動いてくれて、物語がどんどん面白くなっていきます。
「哲学が用いられている具体例~現実世界での適用~」
今度は現実世界のある場面で哲学が及ぼしている影響を考えていきます。
今回例に挙げるのは、武道の1つであるスポーツ、剣道についてです。剣道はその字のごとく剣の道を極めることを目標に日々精進します。ですが、真の目的は別にあります。剣道とはその真の目的を達成するために編み出された哲学なのです。その目的とは、
「剣道とは、剣の修練による人間形成の道である」
です。
これは剣道の昇級試験、昇段試験に挑むときに覚えないといけない、『剣道の訓(おしえ)』という剣道のルールや用語が網羅されている本の中に書いてある言葉です。僕も昇級試験の時に覚えましたが、上の言葉はこの本の一番最初に書いてあります。つまり剣道という哲学の根本を成している考えです。剣道とは剣の道を極めることで、相手への敬意、自身の身体能力の向上、健全な精神を育むためにあるのです。それを会得するために、先人たちが編み出してきた方法論や考えが作法や技となり、この本に書かれているのです。
実際に現場でどのように活用されているのか。先ほど昇級試験を受けたと書きましたが、僕は中学時代剣道部に所属してました。当時はカッコいいからという単純かつ軽薄な判断で入部を決めましたが、それの内実は過酷でした。上記の言葉のように、剣道は人間形成の道なので、それに背くような行為は厳しく叱られます。例えば、竹刀で遊ぶ、竹刀を跨ぐ、先輩や先生には挨拶をする、試合を見るときは終始正座などです。これらは剣道という哲学が、人間形成の妨げになるとして禁止しているものたちです。部活中にこれらを犯したとなると、先生から烈火のごとく怒られたものです。ただ単純に剣道の技術を磨くのであれば、これらが禁止になることはなかったかもしれません。ですが、剣道の一番の重要事項は、確かな人間力を培うことにあります。人の竹刀を跨いだり、目上の人に挨拶をしないのでは、相手への敬意を忘れることになり、人間形成の足かせとなります。このことから、剣道はその指導者に求められものの条項に、確かな人格者であることが掲げられています。ただ強いだけでは上に行くことができない。剣道とはそれほど過酷な哲学を体現した競技なのです。
「あなたの美学があなたの哲学です」
これまで創作物と現実世界、二つの場面で哲学が用いられている具体例を説明してきました。では、あなたがこれらを見て自身の哲学を人生に打ち立てたいと思ったらどうすべきなのでしょうか。その答えは、
「あなたの感性が何を望んでいるか」
にあります。
ここでは美学と書きましたが、美学もまた哲学です。それは自分の人生にどんな美意識をもつかということです。誰しもが一度は考えたことがあるのではないでしょうか。自分がどう生きていきたいのかって。ハローキティで有名なサンリオの社長はサンリオを作った理由として、世界中の企業が手を取り合えるようにしたい。そのためにサンリオをいくらでも使ってくれ。僕らがその橋渡しになる。という信念を語っています。同じ社長だと、ZOZOTOWNの前澤社長の夢は世界平和だそうです。そのために服という身近なものから幸せを作っていこうと思い、ZOZOTOWNを立ち上げたそうです。このように哲学は、全ての物語の始まりです。それは何も小難しいことではないのです。ただ自分が何に美徳を感じているか、何を実現したいのか。それを自覚するだけで誰しもが哲学を持つことができます。そして、自身の哲学を持つことができればぶれないキャラをもつ唯一無二のあなたへと昇華することができるのです。