肩は犠牲者
今回は肩の痛みについて投稿していきます。
肩は専門用語で「肩関節複合体」と呼ばれ、複数の関節で構成される場所です。
上図にある4つの骨でいくつかの関節を構成し、協調的に動きます。
・肩甲上腕関節 → 肩甲骨と上腕骨で構成される関節。これが多くの方が想像する肩関節です。
・胸鎖関節 → 胸骨と鎖骨で構成される関節。
・肩鎖関節 → 鎖骨と肩甲骨で構成される関節。
・肩甲胸郭関節 → 胸郭(肋骨)と上腕骨で形成される関節。
・第2肩関節 → 肩甲骨の一部と人体組織を機能的関節とした部位。
上記5つの関節が機能的に働き合うことで、大きな可動性を安全に動かすことが可能になります。
この中で痛めやすい関節が「肩甲上腕関節」です。
この関節は構造的には、約90度程度しか動くことが出来ません。
そのため、他の関節たちが柔軟に動くことで、肩の広い運動が達成されます。
この記事のタイトルである「犠牲者」とはどういう意味なのか。
肩甲上腕関節以外の4つの関節のいずれかが柔軟性を失い、肩甲上腕関節への負荷が集中した場合に痛みが生じます。
原因ではないけど、痛みが出てしまう。
これが犠牲者という意味になります。
肩が痛いから肩をなんとかしたい・・・ということで肩のストレッチや筋トレを最初に選択肢がちですが、ケアの段階では最初にチェックする部分は体幹機能です。体幹機能の中でも特に「柔軟性」となります。
そして、肩関節(肩甲上腕関節)は構造的に非常に不安定です。「反復性肩関節脱臼」なんていう疾患もあります。
そもそもの構造が不安定であるため、この関節の負担が大きくなると、「これ以上動いたら危ないよ」という信号が働き、筋緊張が上がります。こうなると肩関節の動きは狭くなります。守ってくれてるんですね。
この守ってくれている状態を「硬い」と表現し、肩甲上腕関節の筋肉に対してストレッチをしてしまうと、痛みが強くなるということが生じます。
肩関節の動きを大きく広くしたい場合は、肩甲上腕関節の筋群ではなく、体幹や肩甲骨の柔軟性から改善していく方法が望ましいです。
体幹・肩甲骨の柔軟性は十分だけど、まだ動きが悪い・スッキリしない、と言った場合は、肩甲上腕関節のストレッチをしましょう。
※肩の痛みを改善したい場合、まずは病院に言って肩の状態を確認してもらってください。
その上で、セルフで行えるトレーニングの優先順位は①体幹機能(柔軟性→安定性) ②肩甲骨機能(柔軟性→安定性) ③肩甲上腕関節機能(安定性)が大まかな流れかと思います。 (もちろん状況によってガラッと変わりますが)
特に、例えば遠征先や仕事終わりのクライミングは注意です。遠征では移動中はほとんど座っていると思います(車だと)。仕事中は一定の姿勢や同じ動作の反復が多いかと思います。
その後は体幹が硬くなっていることが多いと思います。スポーツの得意的な動きと日常生活の動きというのは、かけ離れていることが多いです。
という理由から、登る前は体幹(脊柱)を中心としたウォーミングアップ(動的なもの)を行いましょう。単純に温めるだけではなく「ムーブメントプレパレーション」という、動きの準備をしていくと良いです。
ムーブメントプレパレーションは「日常で使わない可動域・筋を使うエクササイズを疲労が出ない強度で行う」ものです。
肩の痛みの予防だけではなく、パフォーマンスにもつながってきます。
かなり脱線するので、ムーブメントプレパレーションとウォームアップとパフォーマンスについてはまた次の機会に。
肩関節痛は、多くは予防できます。予防しましょう。