トレーニングは個別性が大事。
陸上競技で有名な為末さんは、「あるトップ選手の真似をしても、その骨格でその人の人生でない限り、上手くいかない」と話していました。
よく耳にするのは「あの人は登る以外のトレーニングをしなくても登れるから、トレーニングなんて必要ない」とか、「とにかく登っていれば強くなるから、登ろう」、「トップクライマーがやっているトレーニングは有効だからやってみよう」といった声をよく耳にします。
「登っていれば強くなる」これは間違い無いです。クライミングは、技術と同程度にフィジカルの要素が強い競技ですので、体力レベルがまだ発展途上の方はクライミング自体が刺激になり、「登っていれば強くなる」ということが生じます。これは「副次的効果」であり、クライミングの練習に付随した体力の向上になります。
そして他者との比較で自分のトレーニングを決めることもあります。これは、あまり効果が得られにくいと考えられます。
トレーニングは何のためにするか?
トレーニングは、いわゆる「フィジカル」「体力」の要素を向上させることを指します。
プラクティス(練習)は、「技術」を養うことを指します。
「あの人は登る以外のトレーニングをしていないから」とあります。もちろん、そのような方もいらっしゃると思います。ただ、これは「その人」なんです。
トレーニングは「課題を登るため」「大会で勝つため」に行うものです。「他人に近づくため」に行うものではないため、そこには注意が必要です。
例えば「プッシュが苦手」「ハイステップが苦手」などあると思います。ここで、なぜ私はこれが出来ないのか?の分析が必要になります。
例えばプッシュであれば、「引く局面からプッシュへの切り替えのフェーズ」が出来ないからかもしれない、「プッシュする筋力」が単純に足りないかもしれない。「ハイステップ」は、そもそも可動域が足りないのかもしれない。「ステップした後の乗り込み」が出来ないなら、深い屈曲位から伸展するための運動感覚が足りないのかもしれない。
ここを解決するのが「トレーニング」です。そして最終的な目標を定めて逆算してプログラムを立てていきます。
YouTubeなどで見るようなトップアスリートのトレーニングは、必ず理由があります。また、そのトレーニングをする前に獲得しなければいけない能力もあり、そのままマネをするのは非常にリスクを伴います。
私の尊敬する河森先生の著書になりますが、今回の内容はここにとてもわかりやすく書かれています。
また、為末さんは「流行と本質」についてもお話しされていました。(動画で見たような気がしたんですが、見つかりませんでした)
「トップアスリートがやっていることは本当に競技的に必要なものなのか」という内容です。
ある程度の競技レベルになると「個性」が必ず生じます。メッシ、Cロナウド、ムバッペなんかは、すごい個性ですよね。
この「個性」はその人の特徴であり、競技の本質とは離れているかもしれない、ということです。あまりにもトップと比較してしまうと、本質からかけ離れた個性が重要になりますので、このような点からも、トレーニングは自分としっかり向き合うことが大事かと思います。
自分自身、様々な方のトレーニング理論や、Treatment phylosophyを学びましたが、「そもそもなぜトレーニングをしなければいけないのか」という疑問に対しての答えは、このお二人の考えが最もフィットしましたので、今回この記事で紹介をさせていただきました。