新型コロナウイルスの感染拡大で円は安全通貨ではなくなった?
※こちらはオンラインセミナー「超実践FX~マネ育トレーニング」の講演内容をベースにしています。
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新型コロナウイルスの感染拡大で円は安全資産ではなくなったという話は本当ですか?
そもそも日本が安全資産として位置付けられているのは、安定した国だからというのはもちろんのこと、「世界最大の対外債権国」であるからと言われています。
これは言い換えれば「日本は世界で一番外貨建ての資産を保有している国だから」という事です。
巨大な対外純資産の存在は為替の観点から見ると、「いざとなれば売る外貨をたくさん持っている」という事になり、それゆえに「通貨価値が大暴落するようなことはない」(いざとなれば対外資産を手放せば、通貨価値が暴落することはない)という理解に繋がるのです。
このところの為替相場は新型コロナウイルスの感染拡大懸念への影響で円が乱高下しています。
当初は「感染拡大の経済への影響は限定的なものに留まる」との見方から、S&P500とナスダックが最高値を更新するなど、市場はやや楽観ムードでした。
しかし、日本国内で新型コロナウイルスの感染が拡大し、経済への影響が懸念されると、円が急速に売られ昨年4月以来となる112円台までドル高・円安が進行する展開となりました。
ただ、その後は感染が中国やその周辺国にとどまらず、欧州や中東にまで拡大してきたことで、不安が高まると今度は円が買われました。
日本国にリスクが及ぶと円売りに傾いたものの、リスクが世界全体に広がると円は逆に買われた事からも、安全資産としての評価は生きているようです。
これまでは「有事の円買い」といって、何かあれば円が買われることが一般的でしたが、この常識が少しずつ変わって来ているのかもしれません。
新型コロナウイルスの感染拡大は今後のマーケットにどう影響するでしょう?
感染が中国やその周辺国に留まっている時は楽観的な見方から米ドル高・米株高・米債安で推移していましたが、世界各地でさらに感染が広がったことで、世界レベルのリスクに評価が変わりました。
これにより一気に米国株が急落し、利回りも最低水準まで低下しました。
それでも米ドルが下げ渋っているのは、基軸通貨でもあり流動性が高い安全資産であるために、米ドルに資金が流入しているからでしょう。
ただ、リスク回避の局面で日本円・米ドルの双方が強いという事はその他の通貨が弱いという事になります。
特に株安に敏感な資源国通貨や新興国通貨の下落には警戒が必要でしょう。
現時点で収束時期や被害の規模がどの程度まで広がるか見通しは難しいですが、これらを判断材料に今後のシナリオを考えてみてもいいかもしれません。
おわりに
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