5mmの事など・・昔聴いてた音楽(6)
10代の頃聴いていた音楽・・先ずはビートルズ(6)
アルバム毎に好きな曲、思い出深い曲をあげていきます。
音楽用語など専門的な表現にならざるを得ない部分、ご容赦ください。
・Yellow Submarine
映画「イエローサブマリン」はその映像にはとても惹かれたのだけど、音楽に関しては既に知っているものがほとんど、新曲に関しても基本ボツ曲ばかり。ジョージマーティンの音楽もじっくり聴けば味わい深いけどここで取り上げるほどの思い入れは無いのです。従って、このアルバムにはそれほど好きな曲、思い出深い曲、エピソードは無く今回はスルーとさせていただきます。
・Abbey Road
ビートルズ実質上のラストアルバムは、60年代の代表選手だった彼らが70年代の音を予言したかのような内容と感じます。
・Come Together
兎にも角にもBassとDrumですね。よくぞこのベースラインとドラムのフレーズを考えついたものだ、と思ったのですが、これはジョンがチャック・ベリーの「You cant catch me」そっくりな陽気な曲を持ってきたのでポールが「ちょ待てよ」とせめてテンポ、リズムを全然違うものにしないとイカンと言う事でこの素晴らしいアレンジを考えたとの事。
この曲を初めて聴いたのは「みのもんたのカムトゥゲザー」と言うラジオ番組でオープニングテーマとしてこの曲が流れてたのですが、当時は、“なんだか大人っぽい怪しい感じだけどすごく惹かれる曲やなぁ”と言う印象でした。ジョンが他人のものにとても酷似した曲を持ってきたおかげでこのアレンジが登場したと言うのも面白い話です。
・Something
この曲のなんとも崇高な空気感が素晴らしいです。ビリープレストンのオルガン、いい仕事してます。ジョージのボーカルといい、ギターソロといい本当に「よくぞここまで成長したなぁ」と言う感じ、とでも言うのでしょうか。ポールの饒舌なベースも素晴らしい。このアルバムのポールのベースは常に軽く歪んでて、以前より増して地を這いながらも、相変わらずのミュートサウンドでゴム毬のような弾力で存在感が凄いです。加えてジョージマーティンのストリングスがまた素晴らしい。
作曲のセオリーのひとつに「メロディでクリシェラインを重複しない」と言うのがあります。例えばこの曲の歌頭のようにC-CM7-C7-F(ド-シ-♭シ-ラ)と言うラインがある時はメロディはそれを避けるべし、と言う事ですが、この曲は見事にクリシェラインそのままのメロディなんですね。なのに美しい。結果オーライです。
・You Never Give Me Your Money
その後のBand on the runのような曲に繋がるポール独自の組曲形式のポップソング。
中学の同級生で「一緒にバンドをやろう」と言ってたヤツの家でこのアルバムをよく聴かせてもらいましたが、特にこの曲が印象に残りました。当時はレコードを買わないと聴けなかったのでレコードを持ってなかった自分は頻繁にその同級生の家にお邪魔して聴かせてもらいました。記憶によると、彼の部屋の壁の両端にぶら下げた(棚に乗せた?)スピーカーはビートルズのステレオミックスをより強調していて、(今の人の耳には歪かもしれないけど)自分にはやたらカッコよく思えたのです。曲調が変わる度に変わるポールのボーカルスタイル、エンディングの「1234567,All good children go to heaven」に呼応するベースの16分音符連打にも痺れました。
・Let It Be
このアルバムを聴くと、いかにも「アルバムアビーロードで燃え尽きたバンドのデガラシ」のように聴こえるんだけど、皆さんご存知の通りこの後にアビーロードが録音され、実はその後のアルバムのことも話し合っていた、と言う噂。70年代にもビートルズがいたらどんな作品を出してたのか?コンサートはやったのか?まあ結局解散したんだろうな、など色々考えてしまいます。
兎も角、デガラシなどと言ってしまいましたが、愛すべき曲が少なからず入ったアルバムではあります。ライブなレコーディングを多く採用したせいでビートルズの演奏のうまさも再認識できるアルバムですね。
・Two Of Us
なんと言ってもこのシンプルさ、演奏してて気持ちの良い曲です。アコギ2本のストロークが気持ちいいですね。そしてジョージによるテレキャスター(ギター)のベースがセンスいいです。わかりやすいボーカルハーモニー。この曲を演奏したことがある人は少なからずポールのパートを取り合いになった経験あり?
ドラムはドラムセットというよりもパーカッション的な発想の演奏でユニークです。
・Dig A Pony
イントロの「デン!」と言う音で一旦演奏をやめるところに興奮したものです。今でも楽しい気持ちになります。ジョージのテレキャスター、素晴らしく良い音しています。そして、とてもこの時期のジョンらしい曲です。AメロのF#mがすごくジョン。その後のBmの後のG7もすごくジョンです。やはりアメリカンポップスを基盤にしたシンプルなものですが、すごく個性的です。この曲もまたポールのハモリが美味しいですね。このアルバムの他の曲にも言えることですが、曲自体はシンプルに聴こえるのにドラムのアレンジがかなり変わっている、と。この曲もとても変わっています。やはり、パーカッション的な発想に思えます。
・Let It Be
リアルタイムではないですが、まだビートルズの残り香プンプンだった(と思う)70年代前半に中学生だった自分のクラスでは“エルピー、エルピー”と鼻歌を歌う同級生がいたと言う記憶があります。
・・・なんとも言えない崇高な雰囲気は恐らく当時のポールがゴスペル音楽を意識していた(そんな気がする)からでしょうか?それでいてとてもわかりやすくキャッチーな曲。ポール自身とても自信があった曲でしょう。ただ「あるがままに・・」と繰り返される教示は個人的には正直、説教臭くうるさく感じてしまったりもしています。
兎も角、この曲は構成が素晴らしいですね。特に、サビから荘厳なオルガンの後、歪んだギターのソロ(これまたペンタトニックの応酬で説教くさい)、の部分は実にドラマチックです。エンディングに向かうサビの繰り返しもまた聴いている人を信者にしてしまうパワーがあります。そしてピアノ、ちゃんと習ってこなかった人にもちょっと練習すれば弾けてしまう簡単さも素晴らしい。とにかくよくできた曲です。
・I`ve Got a Feeling
なんと言ってもポールのボーカルが素晴らしいですね。この時期のポールの声は絶好調で神がかっているともいえるほどです。ボーカルがすごくソウルフルだけど曲自体はなんだか牧歌的です。フォークソングと昔ながらのロックンロールが合体したような曲。
ジョンとの掛け合いも良いですね。最近(2024)のリンゴのインタビューでも「あの頃4人の仲は良くなかった。けど、カウント出して演奏を始めればなんの問題もなかった」と。当時、世界で知らない人はいないと言えるほどのビートルズの4人でしたが、彼らを取り巻く環境、感情を理解できる人は彼ら4人以外いなかったでしょう。10代の頃から一緒で家族よりも長い時間を過ごしてきた彼らにしか分からない関係。外から見れば喧嘩中でも演奏が始まれば昔の4人に戻る・・・そんな瞬間がこの曲のジョンとの掛け合いにも見え隠れしてるような。
・Get Back
この曲もまた不思議な曲です。先ず、ドラムのパターンは何故、いつこれを思いついたのか?ドキュメンタリー「Get Back」に映し出されてなかったアレンジの最終決定の瞬間、是非見たかったです。やっている事そのものは別に難しく無いですが、難しく無く誰にでもできそうな事だけに、これを思いついた、チョイスしたセンスがすごいのですよね。ビリープレストンを入れて5人で演奏してるのにとてもスッキリと整理されたアンサンブル。一人ひとりが淡々と余分なことをせずに役割をこなす、素晴らしくクールな演奏。素晴らしいです。やるだけなら高い技術を必要としないおかげで多くのアマチュアミュージシャンが演奏したことでしょう。自分も当然例に漏れず。でも、この雰囲気は出ない。やはりポールのボーカルが素晴らしいですね。
10代の頃聴いていた音楽・・先ずはビートルズ(7)に続く