5mmの事など・・昔聴いていた音楽(9)
PILOTと10cc
10代の音楽を好きになり始めた自分は、言ってしまえば「良い音楽イコールThe Beatles」であって、ビートルズに似てると思えば、それは「なかなか良い曲」と言う事になります。そう言う極めて狭い嗜好だった自分の心をストレートに捕まえてくれた音楽、つまり当時の自分的には「ビートルズっぽい音楽」、特に気に入っていた2組のバンド“PILOT”“10cc”の、特に印象深かった曲を挙げます。
PILOT
先ずはPILOT
スコットランドの4人組。既にビートルズが存在しない時代だけどビートルズの新曲みたいなものを求めていた自分にはPILOTの曲はそれに近いような興奮を与えてくれました。
David Patonの声は所々Paul McCartneyのようでもあり、3分ほどにまとめられたコンパクトでキャッチーな曲、ビートルズ的だけどより若々しさに満ちた演奏・・“ビートルズが解散までにやってきた円熟を若さで再現”とでも言うのか、とても明るく爽やかで、飾り気もなく素朴で実直な、そんな音楽に対する姿勢が好感が持てました。勿論当時の自分はただただ「ええがな」のみではありますが。
Magic
この曲を初めて聴いたのは恐らく土曜日のFMだったと思います、し、当時PILOTは日本ではメディアも熱心に宣伝していたような記憶があります。TVの番組「ポップス・イン・ピクチャー」などでも頻繁にプロモビデオが流されていました。ポップでキャッチー、爽快感のある音楽性と、欧米人としてはなんとなく華奢な感じのルックスは日本に於いては特に女性からの人気が高かったと思います。所謂、アイドル的な感じです。
(当時の男連中の多くには、男臭いハードロックが人気が高かったと思います。)
兎にも角にもここまで爽やかで力強い曲を聴いたことがなかった、と言う印象。力強い中に漂う哀愁は、アメリカンポップス的なコード進行とメロディと、何よりもDavid Patonのフレッシュなボーカルによって助長されています。変化に富んだリズムアレンジ、力強いE.ギターとブラスセクション、優しいストリングス、約3分の中に様々な感情を持たせてくれる、とにかく人懐っこい曲。恐らくだけど、ここ数年話題になっていた日本のCity Popと呼ばれる音楽の先祖であるような気もします。
そして、かなり余談ではありますが・・・リーダーのDavid Patonとまさかこの約50年後に一緒にアルバムを作るなどと、当時は考えることも出来なかったことです。こんな名も無い日本の音楽家を受けて入れてくれた寛容なDavid Paton氏に感謝。
Canada
この曲は3枚目のアルバム「Morin Hights」に収録。
個人的な印象としての話ですが、パイロットは2枚目のアルバムまではとても順調で、アルバム、シングル共にセールスも好調、当然自分も大好きでした。しかし、3枚目がリリースされた事はあまり告知されず(あくまで印象です)、しばらく「パイロットの新曲、早く出ないかな」と思っていたものです。しかしある日TVの番組(ドキュメンタリーかなにか)のバックでこの曲が流れ「おっ!なんやこの曲は!」と思い同時に「パイロットに似てる」と思ったのです。と言うのも、それまで持ってたパイロットのイメージと音の感じが違ってたので。ボーカルはDavidのような声ではあるけど、ヘヴィなドラム、ギターの音もよりハードな感じ、だけど、実は自分の中では「パイロットがこうなったら良いかも」と思ってた音でもあったので、この曲を聴いた時は「パイロットなら良いな」と思いながら、その後レコード店に行って調べてみたら、パイロットの3枚目の、知らなかったアルバムがあり、曲目を見たら「Canada」と言う曲があったので(英語が聞き取れない自分でも“カーナダー”はなんとなくわかった)、確信して、迷わず購入!アルバム全体もすごく良かったのです。個人的な好みとしては1番好きなアルバム。客観的には2枚目が1番よく出来たアルバムだと思いますが。
Pilotはこの路線で続けて欲しいと思っていましたが、そうはならず4枚目は再びアランパーソンズのプロデュースによる作品でした。しかし、その「Two`s A Croud」も素晴らしいアルバムでした。1、2枚目のようなフレッシュさはやや影を潜めましたが、大変味わい深いパイロット独自の世界で、DavidとIanの2人だけになっていたけども、今後の彼らのプロの裏方としての確かな仕事を予感させるクオリティの高いものでした。
Get Up And Go
「Two`s A Cloud」のオープニング曲。この曲もFMで聴きました。「本日はパイロットのニューアルバム“新たなる離陸”を特集致します」とのアナウンスで始まり一曲目にこの曲でしたが、イントロから「あ、この曲は好きだ」と思いました。そして、
この文を書いてている今2024年6月に改めて聴いて思うのはこれはPILOTが作った曲の中でも特に最高の部類なのでは無いかと言う事です。
5mmの事など・・昔聴いていた音楽(10)に続く