なますのイリュージョン 「 バインミー☆サンドイッチ」高田馬場
高田馬場駅というと、早稲田口のBIGBOX高田馬場を中心とした雑多な町並みでおなじみではないか。ここから一駅で新大久保。街角を見下ろす学生ローンの看板に何とも言えない気持ちになる。借金できる場所があることで助かっている学生もいるかもしれないですね。生きていくってタイヘンです。
いつもは早稲田口とは反対にある戸山口を西側に出て、線路沿いに歩いていく。音楽の専門学校を見かけたら、一筋さらに西に入ったところ、小さなビルの一階にバインミー☆サンドイッチという手作り風のお店がある。
バインミーサンドイッチ、すっかりおなじみになったが、タピオカミルクティーほどのムーブメントは起きていない気がする。その理由は簡単。作り置き容易なタピオカに比べて、バインミーは日持ちしにくいのだ(自分調べ)。だから、高田馬場の裏手にあるこの場所で、知名度の低かったバインミー店を軌道に乗せたのはすごいことだと思う。
こちらのお店では、まず、名物の店主に券売機で買ったサンドイッチの券を手渡し、引き換えにもらう番号札を受け取る。バインミーが出来上がると番号を呼び出してくれる仕組みだ。店先がものすごく狭いので、最初はちょっとドキドキする。
「おまたせしましたー、10番札お持ちの方ー、」
店主は細身の高齢女性だが、なかなかタフな雰囲気だ。聞けばこの店で使うフランスパンは、すべて店で手作りしているという。紙にくるまれたバインミーを受け取れば、店先のベンチで頂くこともできる。
ベトナムサンドイッチ初心者の方には、ベトナムハム&ペーストをどうぞ。これを一口齧れば、ベトナムサンドイッチの何たるかがすぐにわかる。アジアグルメのすっぱうまさ。心地よい野菜の歯ごたえ。
私はいつも、「ベジ&チーズ、なます追加で」
その名のとおり、フランスパンにアボガドや野菜、チーズを挟んで、マヨネーズを効かせた一品。もともと、甘酢仕立ての紅白なますが入っているのだが、このなますを大盛り、盛りにもって、はい、いただきます。
そう、なますだ。甘くてすっぱくて、要は大根と人参だ。どうして多くの人がバインミーに心奪われるのか。フランスパンに紅白なますという、衝撃的なコンビネーションからの、おいしくいただけるイリュージョン。
まだ食べたことのないみなさん、バインミーのなますは、あなたがお正月に頂く、「あの」紅白なますとそう変わらないものなんですよ。なますとアボガドとマヨネーズ…そして、ほんとうにこれがフランスパンに合うのです。
一つ難を言えば、バインミーは時間がたつとバゲットが水分を吸ってしまい、美味しくなくなる。店主から受け取ったなら、少しでも早く食べていただきたい。
そして、はじめてたべるバインミーがこの店のバインミーだと、どうなるか?ほかのお店でバインミーを齧ったならば
(!…あんまりおいしくない…)
となります。リピート必須のなますサンドイッチを一度はどうぞ。