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【ちょこっとTRIP】日帰りフィンランド?埼玉で北欧気分!
今年はこれまでになく旅の予定が立たなかった1年(コロナ禍を除いて)。稀に見る円安ということだけでなく、欧州へ向かうには引き続き北極圏ルートで迂回が必要だし、更に、迂回ルートを避けられることで便利だった中東経由も、危険地域がどんどん拡大しているという現実。そんな中で旅を楽しもうとしたら、どうしても国内にしか目が行かないですよね。
ということで、『1日空くかも?』と判ったらすかさず自分にご褒美!この時も『この日空く!行っちゃおう!』ということで、前々から気になっていたフィンランド(そして北欧)を楽しめる埼玉の奥地へ、遠いけど日帰りで行ってみました!
“なんちゃって”じゃない北欧 in 埼玉
Metsä(メッツァ:フィンランド語で“森”)があるのは、埼玉県の秩父の手前、飯能市。1941年(昭和16年)に完成した宮沢湖という人造湖を中心にした東京ドーム4個分という広大なエリアに、『メッツァビレッジ』という食やアウトドアの様々な体験を通じて北欧のライフスタイルを感じられる入場無料の施設と、ムーミンと仲間たちに会える有料の『ムーミンバレーパーク』から構成されている複合施設。
公式ウェブサイトはじめ、様々な旅行サイトにも『開園時間は10時』と書いてあるのですが、実はこれがトリッキー!確かに各施設のオープンは10時ですが、メッツァというエリア自体の『開場』は9時半!追い込みで情報収集をしていた前日、たまたまこの件を知り、9時半に現地へ着くよう急遽、電車を早めて行きました!ほぼ9時半ぴったりに現地に着いたところ、まぁ~結構な人数が既に集まっていましたよ。皆さん知っているんですねぇ。だからおとな女子の皆さん、情報収集は“これでもかっ!”というくらい、執拗にやって損はないのです(笑)。
そして、事前にウェブサイトで施設マップを眺めていたため『広いんだな~』と解ってはいたものの、Metsätie(メッツァティエ)というエリアの入口から、主要な施設が点在する湖畔までが非常に遠い!ここに辿り着くまでに、森ひとつ抜けて行く感じ。歩くことを覚悟で高機能スニーカーで行きましたが、それでも帰りは脚パンパンでしたから。
360°ぐるっと自然
そして、湖に辿り着いてからがまた遠い。湖畔に沿うよう伸びている道を、まずは『ムーミンバレーパーク』へ。その入口までが遠い。湖畔の道をひたすら歩きます。だだっ広い自然の中に作られているこちらの施設は、景色を眺めながら歩くだけでも楽しいっちゃ楽しいのですがね。道幅も広いので、ゆったりした空気感の中、ウォーキングを楽しめます。
それにしても、メッツァティエには開場を待つ人が沢山いたのに、気付いたら人影は結構まばら。どうやらリピーターの方が多いみたいで、皆さん各々が目指すところへ散り散りになって行った様です。
そして、歩いていて気付いたのですが、ムーミンについて実はあまり深く知らないかも?小さい頃にTVアニメを見たくらいで、主要なキャラクターしか知らないし、全体的なストーリーも良く知らないかも?
Moominvalley Park
メッツァティエから徒歩15分ほど、やっとムーミンバレーパークの入口に到着。10時の開園まで10分以上ありますが、20人ほど既に並んでいました。チケットは、オンラインで事前購入しておくと◎。入場待ちの列が別になっています。並んでいる人々を観察してみると、圧倒的におとな女子率高い!尚且つ、おひとり様率も高い!これは意外でしたね~。お陰で、私も悪目立ちすることなく1日を過ごせましたよ。
ムーミンバレーパークには、はじまりの入り江、ムーミン谷、コケムス、おさびし山の4つのエリアで構成されています。TravellinGorgeous®チャンネルVol.117でご覧ください。一番の目玉はやはり、ムーミン屋敷でしょう。こちらは一度に入場可能な人数が決められているため、平日でも並ぶとのことで、並ばず見学したい場合は一番先に行くべき場所。
ムーミン屋敷を見て気付いたこと
“ムーミンパパが設計図を書いて自分で建てた理想の家”は3F建てかと思いきや、地下階もあるので4フロアなんですね。ロフト風の屋根裏部屋もあるから、実は4.5階建て?細部までしっかりとムーミンの世界を再現してあります。ムーミンママ(が誂えたという設定)のインテリアの端々には、北欧の暮らしのエッセンスが散りばめられているんです。じっくり見たいところなんですが、1回の入場人数と各フロアでの見学時間が決められているため、結構急かされ駆け足見学!隅々まで実に精密に造られていますから、しっかり見ようと思ったら1回では全て見切れないですよ。再度並び直して、2回見に行く必要があるかも。
ムーミン屋敷を建築として見た場合、平米数から考えると狭小住宅なのに、部屋数は多いし、各階とも天井が高いので広く感じます。設計的に優秀な家かもしれない?これは狭小地で一戸建てを考えている人には、参考になるかも(笑)。ただ、トイレと浴室が無いんですよね~。湖遊びでお風呂は代用しているとか?バストイレは地階に組み込めば、行けるかな?設計士さんの意見をぜひ聞いてみたいところ。
そして今回、んん?と引っ掛かった点がありました。ムーミンの世界では、とても家庭的な良妻賢母のムーミンママ、夢見がちで子供っぽい面があるムーミンパパ、という様にキャラクターが設定されています。50代後半のオトナになった今、よくよく考えると、『ムーミンパパって結構なモラハラ夫では?』というエピソードも多い。これはTVアニメの中でも十分描かれていたので、ご存じの方も少なくないはず。今回、ムーミンの世界観に改めて触れたことで、アレ?と思ったのですが。
北欧諸国は、ジェンダー格差が低いことが知られていますよね?特にムーミンの国:フィンランドは、世界中で2番目にジェンダーギャップ指数が低い国。それなのにムーミンの物語では、ムーミンママを始めとする女性たちは、夫や男性リーダーに従うというか振り回される専業主婦系。作者のトーベ・ヤンソンが書き始めた1945年当時は、フィンランドや北欧でも男性優位の社会だったということなんでしょうね。まさか、ムーミンバレーパークに来てこんな気付きがあるなんて、ねぇ。テーマパークに遊びに来ることだって、おとな目線で見てみたら立派な社会科見学、学びの旅になるという訳ですよ。
TRIP感満載!映え演出
メッツァ全体が東京ドーム4つ分、その半分を占めるムーミンバレーパークは東京ドーム2つ分の広さ。所々でシャボン玉や霧が出る仕掛けがあります。これが結構大量に出る!特に霧は道幅全体に行き渡り、行く先の視界を遮るほど出る!ここまで霧が出る演出は、珍しいんじゃないでしょうか?
この日は夏日ぶり返しの晴天でしたが、曇天の薄ら寒い日に霧が出たら、まさに北欧の片隅にありそうな風景になると思います。いやいや、施設内の動線と、その場の景色が本当に良くマッチング出来ています。設計に当たってロケハンとか、最終チェックとか、きちんと確認したのだろうなぁと。
“コケムス”エリアで口もTRIP
てっきり『苔生す』かと思いきや、フィンランド語で『体験』を意味する言葉:“Kokemus/コケムス”。3F建ての中に、ムーミンの世界を体験できるアレコレがギュッと詰まっています。
せっかく来たからには、ランチもムーミンバレーパーク内で!1Fにあるムーミン谷の食堂では、北欧の家庭料理を提供しています。北欧と言えばパンケーキを思い浮かべる方が多いでしょうが、世界的に知られているユニークな名前のレシピも多いんですよ。今回は『ヤーコブさんの空飛ぶシチュー』を頂きました。
英語で 『Flying Jacob(空飛ぶヤコブ)』 と呼ばれるチキンとバナナのチリクリームシチューは、航空会社に勤めるヤーコブさんが、奥さんが外出している時、子どものために作った料理が起源。チキンとベーコン、バナナ、ピーナッツ、それを生クリームとチリソースで煮たシチュー的な一品です。一瞬、えっ?と思いますが、甘味と辛味が意外とマッチしていて美味しい~。
他にも面白い名前の家庭料理が多い北欧。あまり詳しくない人でも『Jansson's Temptation(ヤンソンの誘惑)』という料理名は、聞いたことがあるのでは?こちらは、ジャガイモとアンチョビのグラタンです。菜食主義者のヤンソンさんが、この美味しそうな料理を見て激しく心が揺れ、戒律を破ってこっそり食べてしまったという逸話を始め、命名の由来はいくつもある様ですが。
ムーミンバレーパークは通り抜けできないので、一番奥(スナフキンが居る場所)まで行ったら、折り返してまたひたすら歩くことになります!
Metsä Village
ムーミンバレーパークの反対側にあるのが、入場無料のメッツァビレッジ。公式ウェブサイトでは『北欧のライフスタイル体験施設』となっています。北欧ブランド雑貨や工芸品などのショッピングを楽しめるマーケット棟、北欧料理などを堪能できるレストラン棟、ピクニックエリアにレンタルボート、ドッグランなど、こちらだけでも様々な施設があります。
北欧好き&北欧雑貨好きにも◎だし、基本的にドッグフレンドリーなので、愛犬同行で入れるお店も多く、毎日の散歩がココだというマダムもお見受けしましたよ。
ムーミンバレーパークもそうでしたが、小さなお子様連ればかりかと思いきや、トラベリンゴージャス世代&先輩おとな女子が圧倒的多し。逆に、この徹底的に拘った北欧感は、子供よりも大人向きだと思います。北欧へ旅行した方にも、合格点を貰える雰囲気&景色だと思いますよ~。
おススメのアクセス
行きは絶対に池袋駅を8時30分発のちちぶ7号(特急Laview)をおススメ!飯能駅に9時13分着。ちょうど9時20分のメッツァ行き路線バスに乗り込めます。9時半の開場時刻にちょうど着く感じの素晴らしい時間割り。
特急Laviewは、世界で活躍する建築家:妹島和世氏が車両開発デザインを担当しているだけあって、車内が全てオシャレ!パノラマ列車並みに大きな窓に、レモンイエローのふかふか快適シート。床もカーペット貼りなんですよ。列車内も非日常感たっぷり。
帰りはバスと西武線の時刻表をじっくり見て、自分の都合で選びましょう。季節によりますが、夜にはライトアップや花火が上がったり、北欧諸国の大使館と連携したイベントが開催されていたりするので、閉園時間までたっぷり楽しんでも良いかも。
個人的に、寒い季節に再訪してみたい!間違いなく、ここは埼玉のフィンランド!
おまけ:実はカオスなムーミン原作
熱烈ファンじゃなかったので、初めて知るムーミンあれこれが多く、おまけに刺激的な事が多かったこと!ほんの一例ですが…
ニョロニョロは感情がなく、口もきけないし耳も聞こえない
ニョロニョロは雷で充電して生きていて、常に奇数で行動する(最低3匹が1ユニット)
ニョロニョロは世界中を彷徨う“終わりのない旅”に出ていて、年に1回だけ(6月)はなれ小島に大集合する(その後、世界中にまた散らばっていく)
ニョロニョロは、夏至の前夜に種をまくと生えてくる
リトルミィとスナフキンは異父姉弟!しかもミィが年上
リトルミィには、スナフキンを含め19人も兄弟がいる(※原作では37人らしい?)
ムムリク族のヨクサルと、ミムラ族のミムラ夫人(ミムラママ)のあいだに生まれたスナフキンは、今でいうMIX(ダブル)
ミムラ夫人(ミムラママ)は放任主義、子供たちの面倒は長女のミムラねえさんが見ている
50余年生きてきて、世の中にはまだまだ知らないことが沢山ありますねー!これだから旅は止められないのです!
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