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展示初心者のとき知りたかった、準備のこと|写真展の準備と失敗の事例集

写真展に初めて出展した2023年。
いくつも展示をまわり、3度展示に参加して、少しではありますが知識が入ってきました。

初心者の時困ったことランキング第一位「展示をするにあたっての情報が散逸してて、何を準備すればいいのか分からない」
そんな当時の自分に対する手向けと、知人へシェアする目的で、一度自分がわかっていることをまとめようと。
特に失敗事例はネット上でも見つけにくいので、重点的に。

これから展示を目指そうという方に向けて書くので、有料記事にはせず無料で全編見られるようにします。
ガッツリ書いたので、気に入ったらサポートしてね。
私が報われます。
もしくは「この記事を参考に展示参加したよ」という紹介記事を書いてくださいよろしくお願いします(懇願)。

年に何回も出展したり、展示で仲間作って情報収集とか、そういうステージの人間ではないので「(ネットミーム的なアレで)完全に理解した」な体でご覧ください。
1万字を超える記事になりましたので、必要な箇所だけ読むことを推奨。


出展するグループ展の選び方

何よりも大事な要素。
ここで50%決まると言っても過言ではない。

グループ展には大きく4象限あると考えています。
ジャンル(スナップ、風景、ポートレートなど)と、テーマ(夏の思い出、闇など)の有無の組み合わせ。
そのほかにも審査や申し込みの条件があるか否かとか、自治体か法人か個人かで変わってきますが、今回は単純化します。

今回取り扱うのは①と②

どの写真展も存在はしていて、一番多いのは②の象限だという印象です。
特にポートレートの展示だと、特定のテーマや特定のモデルさんに限定した写真展が多く開催されています。
番号を付けていない展示もあって、例えば「ジャンルありテーマなし」は同じ撮影ジャンル仲間での開催、「ジャンルなしテーマあり」は写真教室の生徒さんの発表展とか。

私が参加したのは①と②。
撮影会や写真教室に参加しない私にはその二つが参加しやすいという理由。
それぞれ良し悪しはあるので、経験から書いてみると。

①ジャンルなしテーマなし

11月に参加したUNTITLEDが該当。
メリット:幅広いジャンルの作品が集まるので、観覧者の客層もおのずと広くなる。普段リーチできない方へもアプローチできるし、展示手法の勉強にもなる。自由に展示ができる。
デメリット:ジャンルごとに人気や注目度に差が出てしまう。マイノリティ側に回ると居心地が悪くなる恐れはある(会場の空気と自身のコミュ力次第)。自分でテーマ設定が必要(なくてもOK)。

②ジャンルありテーマあり

8月に参加したポートレートグループ展が該当。
メリット:会場に来るのはそのジャンルに興味がある人なので、自分の作品に興味を持ってもらえる率は高くなる。交流するにも共通の話題が多い。テーマが提示されているので合う作品を作ればOK。
デメリット:アプローチ出来る客層は限定される。表現できることの幅が狭いので、普段考えていることから軌道修正が必要になる場合がある。

私の場合、特定のテーマと表現したいことが合致するか、それとも合わせに行くのか、という考慮がそれなりに負担だなと感じています。
私の考察テーマがたいてい自分自身、モデルさんへ提供できるもの、モデルさんに興味を持ってもらうこと、写真とアート、のあたりなので、多くのケースで合わないのです。

ここは好みですし、テーマありの場合テーマの内容も選考基準になりますので、さらに考えることが多くなります。

展示の方法と予算(A4×4枚の場合)

展示の方法と予算額(A4プリント4枚、計5,000円を含む)を書いていきます。
参加費用は別途です。

〇額装(予算:15,000円~)

いちばん伝統的な手法。
額の種類、マット(プリントの外周を覆う材)の色や材質、プリントの用紙など、こだわるとキリがない沼。
個人的には憧れの展示が額装だったし、絵画展の雰囲気に一番触れているので額装でいきたい派。
格式があるし、よほどカジュアルな展示でない限りは場違いになりにくい手法。

ちなみに額は金額が青天井なので注意。
こだわり出すと沼です。

〇パネル(予算:6,000円~)

リーズナブルでありながらさまになる、展示初心者でもとっつきやすい手法。
のり付きスチレンボード(通称ハレパネ)にプリントを貼って壁に固定する方法。

工夫の余地としてはパネルの厚みや色、プリントと配置、と額装と比較すると自由度自体は下がるものの、複数枚重ねて壁から浮かせるなど工夫はできる。
難点はプリントが再利用しにくい(額装だと取り出してファイリングできる)。

ネットだとセット売りが中心なので、バラでほしい人はホームセンターや画材屋さんに行くことをおススメします。
私は新宿の世界堂で買っています。

〇プリントのまま(予算:5,000円)

プリントを虫ピンやひっつき虫で壁にそのまま固定する方法。
個人的には、プリントに穴開けるという点に抵抗があってやってないですが、最も費用を抑えられるのが強み。
虫ピンだと穴が開くし、ひっつき虫ならシミが残るかも。

〇それ以外の特殊な手法

見たことがあるのは、アクリルパネル、木製パネル、カンヴァスに貼付、タペストリーなどなど。
目を惹くけど費用としては高額になりがちな上に、その手法に合ったプリントや色味の調整、もっというと”なぜその手法なのか”というコンテクストが求められたりと勇気いるかも。
ただアートの側面で言えば、コンテクストがあるからこそ成立するという考えもできるので、挑戦としてはありかも。

一例としてカメラのキタムラのウォールデコ。

〇インスタレーション

写真そのものだけでなく、作品での主張を立体的に表現する方法。
一番の難点は、費用もスペースも制作時間も必要である上に、一度限りで終わってしまう点。
ただ現代アートの観点からいうと、インスタレーションを用いた展示でないとインパクトは弱くなっているのかな、と外野から見てると思います。

額装について

私自身、選択肢を色々試したうえでの見解というわけではなく。
「とりあえずやってみたうえで、そこまで不満がない」くらいの方法を、現段階の知見で書いてみます。

〇プリント

ナカイ写真工房さんにお願いしています。

以前ポートレートの写真展に伺った際、ブースを構えてプリントのサンプルを並べていたのを見て知りました。
私の(ないけど)作風的にはマット系で光沢や反射を消したかったので、ここのラスター紙でいってみようと至っています。

いつもの指定は、プロラスター紙、フチなし印刷、色調補正無し、A4で1,320円/枚+配送料
年に数回も出さないし、基本一発OK出すからプリンターを運用する費用と比較すると安くなるかな、くらい。

使っている感覚としては、ラスターだとやわらかい表現にすごくあっていて、解像感がほどよく出るなという印象。
バキバキに解像させたい風景写真に合っているかは不明。
私が出したい青色がいい感じに出るので、今のところ不満なく利用しております。
あと何より注文から到着までが1週間以内だったりとすごく助かる。

〇額

初めての展示はレンタル額を利用したのですが、傷が気になったこと、オプションを指定したのにマットが付属しないトラブルがあったことから、今回は購入で行きました。
再利用すれば元取れますし。

今回購入したのは、ハクバの軽量額。
1点2,400円。

フチが狭いのと、比較的安価なのが決め手。
作品自体が色々手の込んだ作品であれば、もっと豪奢な額を新宿世界堂とかで買った方がいいんでしょうけども。
とりあえずは無難になんでも飾れる額。

近頃はスクエアの額が流行の兆しを見せているように思います。
比率は様々あるので、展示を観て自分の好みや作品との相性を比べてみることをオススメします。

〇マット

上の額にはマットがついてくるのですが、結構安っぽいこと、中抜き寸法がもうすこし大きい方がいいこと、から注文することにしました。
ちなみにマットは基本オーダーメイドになります。

今回利用したのは、マルニ額縁画材店さん。

ざっと調べてみて、ネットオーダーに対応していること、ある程度規模のある企業であること、比較的安価、など浅く分かることで判断しました。
用意している材料とかの他社との違いについては深く見ていません。

今回は外寸法388x303mm、窓寸法287x200mm、マーメイド2mm厚。
1枚484円+送料。
窓寸法は、プリントのサイズに対して縦横ともに5mm小さくしてあります(マットにプリントを張り付けるための余白が必要)
ちょっとだけコストアップしますが、こちらも丁寧に扱えば再利用できるのでままえやろ。
後述しますが、サイズについては入念に検討する必要があります。

ステートメント、キャプション

個人的にはすごく大事にしている点。
何せ文章書きであることがアイデンティティの一つだし、写真と文章とが組み合わさって作品になるというのが私の写真観なので。

こちらも参考にしている資料があって、トモコスガさんの有料note記事は読んでおくと失敗を防げます。
あと安い。

私が目指すステートメントは、写真を観る補助線を示すこと。
「こう観てくださいね~」というよりは、写真単体だけでは伝わらない思いや主張、そういったものを提示することで、ステートメントを読む前後で写真の観方が変わるようなステートメントを目指しています。

ただ世の中には「写真には言葉なんかいらない、なくても伝わるようにするのが写真家だ」という主張があるのも確か。
それは写真観の違いであって、私にとってはnoteで書いているような日々の思考から拾い上げた思いなんかを具現化することも必要だったりするのです。

何より、ほかのフォトグラファーさんと比較すると、圧倒的な文章量を書いていることも確かなのです。
このリードを生かすも殺すも自分次第。
続けているということは財産ですから、活かさないということは考えられません。

今回の展示では、共通のテーマである「あるがまま」「pictureとしての写真」について述べました。
キーワードをもとに写真を観て、改めて鑑賞者さん自身がどうモデルさんを観ていたのかを反芻する機会になったらいいなと思い作成しています。

額装~設置

〇額装

まず必要なのは手袋です。
作品に指紋や油を付けないためにも必ず購入しましょう。
他の方の作品を扱う際にも必須なので、あって損はないです。

私はハンズで買っています。

もろもろそろったタイミングで額装です。
まず、固定するための器具ないしテープが必要になります。
私は下のテープを新宿世界堂本店で購入しています。

これのほかにコーナーポケットとなるようなテープが売っていたり。
費用が安いので私はこれでいいかなと思っています。
なお、このテープはそれなりに粘着力が強いので、写真やマットを再利用前提で進めている方は粘着力を様子見することを勧めます。

固定ですが、マットと写真を合わせて、裏側からテープで四隅を止めます。
正味落ちたり動いたり浮いたりしなければいいので、展示だけ乗り切ればいいのならアバウトでOK。
下のものは天側がマットに対してギリギリまで攻めた位置に止めたかったので、天側だけ辺も固定しています。

写真の裏側から四隅と天側を止めてます

そして写真の向きに合わせて付属のヒモを装着。
ヒモの結び方はよく分からなかったので、とりあえず外れないようにだけ。
両側から通した紐に何週かくくり、蝶結びを2重でしています。
この紐にピクチャーレールか釘を引っ掛けます。

紐の結び方はテキトー

これら一通り終えた形がこちら。

額装を終えた形
前面のアクリル板は搬送中に傷がつかないよう付けますが
設置時には写真の後ろに回します

〇設置

時期をすっ飛ばして当日。
いざ設置です。

まず確認するのは、設置する高さ。
一般的に立って鑑賞する場合には、床面から1400~1500mの高さが良いとされています。
また、車いすなどの方に対しては1050~1150mmとされています。
観てもらいたい方に合わせた高さを中心にレイアウトを組みましょう。

しかしうまくはいきません。
UNTITLED2024で借りている部屋の場合、設置場所によってはフレームが邪魔で制限されてしまうのです。
私の場合、下端の木枠が基準、そこから上方向に設置物を伸ばさざるを得なかったため、かなり高い位置に設置しています(写真参照)。
こういった不測の事態があるので、図面は引かずにアバウトで脳内にレイアウトを組むようにしています。

下端の木枠が設置の基準点になって、上の二葉は180cmくらいの高さに
釘打ち2点で固定しています

額装の固定は、ピクチャーレールか釘がオーソドックス。
ピクチャーレールは天井から吊るされたワイヤーの端にフックが付いている器具で吊るすタイプ。
メリットとしては設置が楽なことと、重量があっても対応可能なこと。
デメリットは私は後ろにワイヤーが見えてしまうこと。

釘は壁に1~2点釘を打って、そこに先ほどのヒモをひっかける形です。
メリットは後ろがスッキリすることと、水平の調整が比較的簡単なこと。
デメリットはハンマーを使うので怪我のリスクがあることと、ある程度技術や知識が必要なことでしょうか。
私は後ろに何か見えているのが嫌なので、釘で設置しています(写真は釘2点止め)。
釘は2点打った方が水平の調整がしやすかったです。

〇設置に使う道具

・手袋
作品を扱うときに必須。

・ネイルハンマー
釘打ちに使います。
ネイルが付いているものの方が、釘を抜く際にも使えるので便利。
ダイソーで買えます。

・メジャー
各種距離を測りたいときに。

・水準器、水平器
水平を測りたいときに。

・カッター、ハサミ、定規、カッターマット
いろんな場面で使うので持っておいたほうがいい。
特にカッターは切れ味のいいものを。

〇その他細かい点

細かいことを言うと、額に付属していた前面のアクリルパネルは写真の後ろに回しています
紙を選んで質感をこだわっているのに、アクリルパネルがあると活かしきれないのです。
また光が反射して見えにくなります。
そしてこれが一番の理由ですが、写真を観たいのに自分自身や現実世界が見えてしまうのって私としては許せないのです。
こだわり。

もう一点付け加えると、壁から額が浮かないよう調整しています。
これができるのが釘のメリットのひとつ。

紐が引っかかるギリギリまで釘を打ち込んで、額が倒れこむ幅を狭くするという考え。
一つ反省があるとすると、釘を上方向に斜めに打ち込むと、より密着するかもななんて考えてますがちゃんと知識のある方に教えてもらったほうが絶対にいい。

もしくはコスト上がるけど壁掛けフックを購入するといいかも。

モデルさんの名前とSNSリンクを記載したパネルを用意。
こちらはセブンイレブンのコピー機でプリントして、ハレパネに貼っています。
細かいですが、背面のハレパネを斜めにカットしてパネルが見えにくいよう加工しています。
ただし加工の難易度は高めの印象で、最終的にヤスリをかけるなど手間はかかるので、ある程度で妥協は必要だと思います。

コンビニプリントでもまあまあ品質悪くない
うまく切れなくて段差が出来てる……
フチを斜めにカット+1000番手の紙ヤスリで整え
これがむずかしい……

ハレパネは私も練習中なので、外部サイトを参考に切ってみてください。

https://www.trade-sign.com/magazine/942/

斜め切りについてはプロの技をご覧ください。

また今回はルール上在廊できる時間が限られていたので、感想ノートと名刺を置ける棚(?)を設置。
ダイソーで110円。

もうちょっとしっかりした物が欲しい場合、もしくはフォトブックなど大きなものを設置したい場合は、レコードラックなんかがいいかも。

あってよかったもの

〇フォトブック

これは前回のUNTITLED参加記事にも書いた内容。

じっくりご覧いただいている方にお話を訊いてみたいというのが、展示する身としての気心です。
ただし最初からグイグイ行くのはアパレルショップで入店直後にダッシュしてくる店員くらい迷惑なので(個人の感想です)、フォトブックを手に取って見終わった後がベストだと考えています。
あとは名刺を取ってくれたり、SNSのQRを読んでくれたりとかありますが。

私はしまうまプリントのフォトブックを利用していますが、品質は価格相応と言った感じ。

高品質を求めるなら、富士フイルムをはじめとした品質が売りのサービスを利用することをおススメします。

〇ステートメント

被写体そのものが貴重性が高かったり、インパクトが強いような作品であれば不要かもしれません。
しかし私みたいに裏側で色々こねくり回している人間は、ステートメントがあることで変わってきます。

特に写真の見方がわからない方に対しては、どう観たらいいのかという補助線の役割を果たしてくれます
私個人のケースで言うと、役者さんのファンの方が来てくださったとき、「確かに書いてあるような印象を受けるし、自分も同じようなことを思っていて共感できた」と感想を頂けました。
写真に言葉は不要だ、という論も確かにではあるのですが、伝わりにくいことは言葉にしてみることが鑑賞体験を向上させるのかも、と。

〇名刺

出展者どうしの挨拶、展示に興味を持ってくださった方への挨拶など、様々な場面でお渡しします。
なくても直接的に不利益になることはないですが、「すみません名刺なくて……」と何度も言うよりは作っておいた方がいいかと。

あとは展示スペース内に持ち帰ってもらう用に置いておくのもアリ。
どれくらいの人が興味を持ってくれたのかわかりやすい。
品質がまぁまぁでいいならラクスルで十分だと思います。

〇感想ノート

主観ですが、ポートレートの展示で多く見かける文化。
感想を書くノートを設置しておく。
これだけなのですが、在廊していない時間に訪れてくれた方との交流や、特に関心を持ってくださった方との繋がりを作るのにめちゃくちゃ役に立ってくれました。

あと個人的な取り組みというか何というか、出展している時に感想ノートを設置している方には感想を(書けるなら)書くようにしています。
交流するのに一番印象に残るのが、ノートに何か書いてもらうことなので。
自分を知ってもらいたいなら、まず自分が他人に興味を持つ、これ大事。

準備や設営で注意する点

〇設置エリアの寸法

作品のサイズに対して、設置エリアの寸法が十分にあるかは事前に検討すべき事項です。
当たり前ですが。

特に組みで写真を飾る場合、縦と横でサイズが異なるので、向きによってはエリアをはみ出しかねないです。
私はA4で4枚組と事前に決めていたので、はみ出さないよう広めのスペースで申し込みしています。

事前に設置エリアのレイアウトがわかっているのであれば、設置図面を描くことをおススメします(私は都合上書かないですが…)。
特に設置を依頼する場合には必須となりますので、図面作成の手引きを参考に。

〇固定方法の制限

会場によって、固定方法に制限がある場合があります。
私の知る限りだと、虫ピン限定という会場がありました。
そうすると額装ができないことになります。

またピクチャーレールがない会場もあったりします。
釘でカバーできればいいですが、その分作業負荷としては増加します。
展示したい方法に合わせて検討が必要です。

〇照明の調整

初めての方は特にですが、照明が調整できる、という点を見落としがちです。
写真の観た目は照明でガラッと変わります。
美術館の場合、照明の専門担当、ないし専門業者さんがいるくらい重要なファクターです。

会場に備え付けられている照明しか(基本的に)使えませんが、展示する人数によっては、照明が足りなくなることも考えられます。
まず自分が必要な分を確保して、周囲の方のサポートもして、不公平感がないように立ち回ることが大切です。

また注意点として、照明の色温度が一般的な家屋の照明と異なります。
体感、色温度が低い(オレンジ気味)の光源なので、自分の部屋で見た時よりも暖かい印象を受けることになります。
色温度の高めな質感を出したい方は注意が必要です。

失敗事例

〇フォトブック

UNTITLED2024ではいろいろ注意して進めていたので、明確に大きな失敗はこの1点でした。
フォトブック入稿に使用したデータの解像度が足りておらず、すごく残念な質感のフォトブックになってしまいました。

印刷所指定のツールで、写真をそのまま使って入稿すればよかったのですが。
モデルさんの名前やSNSリンクを挿入するには編集済みの画像を使用する必要があり、それを作成したタイミングで解像度の指定を誤った、というのが事の詳細。
なさけない限り。。。

数多くの役者さんにお力添えいただいたにも拘わらず、大変もう訳ない限り。
今回のフォトブックは再度作り直して、今後の展示で設置する予定です。
600dpiにして作成したら足りるのか、もっと必要なのか…と思案して実験を繰り返すしかないのでむずかしい。

〇マットのサイズ

マットの項で書きましたが、マットのサイズで一度失敗をしています。
額の寸法に対して、長手方向に5mm、短手方向に2mmほど小さかったのです。
寸法の参考にしたのは購入時についていたマットの寸法ですので、間違いではないはずだった…

私の最大の過ちは、試しをせずに4つ一気に注文してしまった点。
これを読んだ方は、なにごとも初めてのことは試しで購入してみることをオススメします。

ちなみに再度注文した際は、ギチギチにフィットするジャストサイズでしたよかった。

〇レンタル額

これは前回のUNTITLEDでのこと。
額の購入がはばかられた私は、額のレンタルサービスを利用しました。
しかし知識がなかった私は、額にマットがついてこないことを知りませんでした

いや、一部ちがう。
レンタル時のオプションに「マットをつける」というオーダーをしたにもかかわらず、会社側の案内が不親切でマットがない状態で渡されたのでした。
これが悲劇の始まり。

急いで購入したマットはサイズが合わず、どうにかこうにか無理やり額に固定、するとおかしな形で仕上がっていました。
しかもレンタル額だから傷がついている。
もう色々ストレスがたまりすぎて、次回は買おうと決心したのでした。
レンタル額を利用する場合は、入念に下調べをすること、そして早めに借りて準備の猶予期間を持つことをオススメします。

〇人が来ないとキツい

観てもらってナンボですから。
アクセスが悪い、そもそも知名度がない、などさまざまな理由から来場される方が少ないと、参加した金額に見合わない結果になります。

自分自身でのプロモーションも大事ですが、それも限界があります。
参加する展示の運営スタンスであったり、参加者さんの知名度であったり、そういったものを打算的に勘定することも、損失を抑えるうえで大切です。

グループ展示に参加するメリット、目的

〇対面で感想が聴ける

これに尽きます。
プリントはSNSと違って~とも言えるんですけど、かなり主観的なので割愛。

SNSで以前から知っている人はもちろん、初対面の方からも聴けると「自分の写真は人に伝わるんだな」と実感できますし。
何より第一印象としての写真に惹かれてくれるという点において、生の感想は他に代えがたいのです。
SNSで拡散されたわけでも、自分から見に行ったでもなく、視界の端に入った写真が魅力的に映った、と考えると感動もひとしお

〇関係者に感謝される

展示を作るにあたって、様々な方の力を借りる必要があります。
私の場合は役者さん、風景なら自治体の方や地元の方。
会場の管理者さん、フォロワーさん、などなど。

実際参加してみるとわかりますが、自分一人の力で成り立っていることって、ごくわずかです。
関係者さんに感謝しつつ、感謝される、そういった関係の構築に一役買ってくれるのも展示のいいところでしょう。

〇何かを売り込む

これは目的の方。
展示するなら、何かを売り込むという考えを持つといいと考えています。

私の場合、モデルである表現者さんのフォロワーを増やすことが第一の目的です。
そのうえで、自分の表現や考え方、作風を観てもらって、新たにモデルさんになってくれる方を見つけ出すことも目的にしています。
当然知名度は上がりますが、私自身の知名度が上がっても天井が知れているので、周縁への影響をどこまで波及させられるかが主眼です。

後述しますが、展示に参加するにもデメリットがあります。
避けては通れない部分が大いにあるので、とにかく自分の目的を見失わないことに注力する姿勢は大事です。

〇作品を売る

これはいずれやりたいと思いつつ出来ていないこと。
展示の目的に販売を据えることは、ひとつ上達を目指すうえで重要です。
そもそも展示自体、販売のためのイベントという側面があるのですから。

いくらなら買ってもらえるのか、買ってもらうにはどういった作品にすべきか、どう売り出すか、どんな形態にするか。
そんな思考を回すことで需要にマッチした作品にできますし、逆に自分の個性を存分に発揮することでコアなファンを獲得する起点にもなります。
あとは作品を持ち帰ってもらうって幸せですし。

グループ展示に参加するうえで気を付けること

いいことはいくらでも語れるけど、主観的でN=1の話。
でもネガティブな話は恐らく共通していると思うので。

〇対人トラブルは避けられない

これにつきます。
運営さんがいかに人格者であろうとも、人のいい参加者さんに囲まれようとも、誰かしらトラブルの種にはなるのです。
ましてや自分が絡まないところで火の手が上がっているなんてことも含めると、トラブルなく終わることの方が稀なんじゃないでしょうか。

少なくとも「自分が加害者にならないよう、細心の注意を払う」くらいしかできません。
幸いにも私は注意されたことはないのですが……および知らぬところで後ろ指さされているかもと考えると胃が痛くなるのも事実。
ストレスとしては増えます。

〇参加者間で格差が発生することもある

決して悪いことではないのですが。
SNS上で有名な人、何かしら実績を残した人、トーク力の強い人、多くの人が気になるジャンルや被写体、など展示の中で目立つ人が出てきます。
そうでない側に回ると、ときにみじめな思いをします。

なにも「こいつをハブいてやろう」なんて考えを持っているわけでもなく、人間は興味を抱く対象にしか興味を抱きません
インフルエンサーさんと繋がりたい人、自分のジャンルの仲間を増やしたい人、仕事の獲得含め金銭的な目的がある人、などなど。
誰が悪いのでもなく、単に自分がその場においてそういうポジションであったという結果でしかありません。
それをスムーズに受け入れられないと、無関係な人々にヘイトを向けてしまうことになりかねないので、リスクがあると思ったら引き返しましょう。

〇費用に見合うリターンは出るとは限らない

展示に参加して得られるもののうち、安定しているのは新しい人脈とフォロワー。
そこから一歩踏み込んで、新規顧客ないし新規の取引先を獲得できるか否かは、自身のコミュニケーション、そして運に左右されます

費用については上述の通り、安くない金額になります。
少なくとも実利としてその金額に見合うリターンを獲得することは容易ではありません。
展示に参加する目的に「一発逆転」みたいな野望をもつのは厳しいです。
より実利を目指すなら、ちゃんとしたギャラリーに拾ってもらえるよう活動する方が確実でしょう。

〇写真そのものの価値、自分自身の価値に貴賤はないと考える

上述したように、自信を失うようなイベントが様々発生しうるのです。
悪意のないものがほとんどなのにも関わらず。
そこで気を付けるのは、あなたが写真を撮る資格がないとか、掛けているお金の大小の問題だとか、技術的に劣っているとか、あまり考えないこと。

例えば東京カメラ部など、技術的に優れた人を集めたコミュニティに入りたいと考えているのであれば、話は別かもしれません。
でも市井の写真愛好家のうち参加資格を得られるのってほんの一握りで、かつ一言に写真と言っても評価のフィールドは星の数ほどあります。
東京カメラ部だって、マグナム・フォトに入れなかった人々と揶揄してしまうことだって出来るわけで。

あなたが写真に取り組む姿勢は、法を犯したり、意図して誰かを不幸にしたり、そういった面がないのなら素晴らしいことです。
そこに貴賤はありません。
その場で観てもらえなかったとしても、場や状況が異なれば違った結果にもなったはずです。

自分が納得いくまで技術を磨いて臨むだけであって、格別あなたが劣っているということはない、と念頭に置いて参加することをおすすめします。

おわりに:次はグループ展の作り方記事

ここまでご覧いただきありがとうございました。
通しで読んだ方はすごい。
かいつまんで読んでくれた方にも幸せが訪れますように

本当に浅い経験で書いたので、熟練者の方からすると足りていない点があると思います。
ぜひ引用するなりして補足してください。
また、これを読んで展示出してみたよ~というレポも楽しみにしています。

冒頭でも触れましたが、12,000字を超えるボリュームとなりました。
本当は分割して記事にすることもできたのですが、情報が散逸することと、何週にもわたってHow To記事が並ぶのは見栄えが悪かったので。
数字よりも、読者さんの実利です。

この記事を通じて展示デビューしたよ、な声が聴けるのが目標。
普段はSNSに投稿しかしないな、という方の背中を押せたらハッピーです。

さて、まだ発表はできないのですが、おいおいグループ展を開催予定でいます。
その際にこの記事を参加者さんにご覧いただく想定です。
果たして効力を発揮するのかという測定の場です。
お楽しみに。

それでは、よい写真ライフを。

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たかはしあさぎ
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