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推しが引退してから1年経過したわけですが

どうも、プロレスとか役者さんポートレートを撮っているたかはしです。

あなたには「推し」はいますでしょうか。
私にはいました。
過去形です。

2020年9月18日、コロナウィルス蔓延による混乱した情勢の中、1度の延期を経て、プロレス史上でも類を見ない引退を迎えた選手がいました。

そのファイトスタイルや熱量に惹かれて熱心に応援していたわけですが、いつか終わりは来るもの。
彼女の去ったプロレス界は、私にとっては違う景色のそれでした。

これは、あまりにも長かった1年という期間を経て、「推し」という概念が消失してしまった人間の物語。

〇引退直後
引退興行があってから、金銭面で苦しい期間が長く続きました。
プロレス観戦そのものに行く頻度が下がることに。

結果として、別の選手へ乗り換えるような薄情な行いをすることなく過ごしました。
その期間およそ10ヶ月。
浮気心を出すことはなかったですが、それまでの熱量を失うには十分すぎる期間でした。

○観戦に行ったとき
2ヶ月に1回くらいの頻度で辛うじて観戦してたのですが、どうにもアツくなりきれない。
ご時世的に声が出せないというのもありますが、「熱烈に惹かれてしまう」という感覚に至らないのです。

理由は色々あるとは思っていて。
燃え尽き症候群だったり、満足しちゃってたり。
彼女の引退試合の投稿が、私のプロレス写真で一番いいねを貰えていて、目標を達成してしまったもので。

あとは、私にとっての理想の選手という像そのものが、彼女のファイトスタイルでありメンタリティであったので。
歴史に名を残す名選手というわけではなかったですが、他の選手で同じファイトスタイルや技構成を採用している人がいないのです。

ある意味で「写真を撮るために観戦する」「純粋にプロレスを楽しむ」というスタンスで会場にいた気がします。

○プロレス写真の変化
以前に記事にもしたのですが、プロレス写真に求められるスキルというのは少々特殊なものがあります。
一朝一夕にいい写真が撮れるとも限らず、当然ブランクがあれば少なからず影響が出るものです。

引退興行あとは、ブランクによる影響を考慮して、以前とは異なる姿勢で望むようにしました。
以前は技の迫力やストーリー性が伝わるように、今は選手の肌感や表情の良さを表現できるように心がけるようになりました。

なにより、以前よりも挑戦をするようになりました。
引退興行、引退興行に向けた興行では、失敗が許されない状況でしたので「失敗しないように」と積み上げた知識とスキルの範囲内で撮影していました。
しかしプレッシャーから解放されたので、「こんな構図で撮ったらどうなるだろう」「あの人の写真を再現するとしたら」というような思考で試行するようになりました。

○振り返ると
私の写真スキルを上達させた要素として、プロレスは欠かせないです。
何より「長浜浩江を、HIRO'eを、誰よりも素晴らしく撮る」が目標としてあったわけですので、数値で測れない面では定性的ではあるものの目指す道は確かだったのです。

その道すがらで様々な経験を積みましたし、様々な挑戦をしましたし。
プロレスそのものを楽しくさせてもらいましたし、写真の魅力を実感させてもらいましたし、写真への熱意を醸成させてもらいました。

あとは「推し」という概念に触れた経験はとても大きかったように思います。
強烈な熱量でもって誰かを応援すること、その素晴らしさを多くの人に知ってもらおうとすること、日常の気持ち面で豊かになること。
自分自身への影響とともに、周りの方がどういう感情で向き合っているのかが理解できたことは、プロレス以外に演劇に関わる上でも大切な要素です。

プロレス観戦や撮影を充実させてくれた影響にとどまらず、今の私を構成する大きな要素、これからの私をいい方向に導いてくれる要素を、彼女に作り上げてもらったように思います。

○最後に
引退してしまって、以前のように「〇〇に行けば会える」ということは叶わなくなりました。
しかし度々SNSに流れてくる近況を見るに、充実した生活を遅れていることを嬉しく思う日々です。

悲しさが無いといえば嘘になりますが、もらったものの大きさや彼女の充実を考えると、明るい気持ちでいられています。
自分の中で貰ったものが生きていますから。

柔道整復師としての夢が実現する日を楽しみにして。
私もプロレス観戦、そして写真を楽しんでより良いものにしていきたいと思います。

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たかはしあさぎ
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