銀行口座を開く
アメリカに到着した翌日のクリスマスディナーの後、語学学校が始まるまでの間の記憶は、結構曖昧だが、アメリカの生活に慣れるために、叔母たちが市内をあちこち案内してくれたのは覚えている。
その中で、叔母が私を銀行に連れていってくれた。私のアメリカでの銀行口座を開くためだ。高校を卒業したてで、社会人としての経験が全くなかったので、自分で銀行口座を開いたことは日本にいたときにもなかった。
叔母が連れていってくれたのは、NationsBank(現在のBank of America)という銀行で、アメリカではメジャーな銀行の一つだった。
作った口座の種類は、Checking Accountというものだった。そこに、100ドルをDepositとして入れてもらい、叔母に通訳してもらいながら、色々と説明を受けた。口座に100ドル残っている限り月額手数料が無料になる仕組みらしかった。100ドルを切ってしまうと、料金が発生するということのようだ。
そして、チェックブックというものをもらった。チェックつまり小切手の冊子だ。日本では、当時も今も、小切手というものを利用したことはないが、アメリカでは公共料金の支払いや、知人や家族にお金を渡すときにも、現金ではなくチェックを使うことがよくある。この後、アメリカで10年以上暮らすことになるが、数百枚のチェックを書いたと思う。
チェックを書くとき必要になるのは、Signatureだ。チェックブックの発行と同時に自分のSignatureを決めた。漢字で書いた方が真似されにくいので安全だという話を後で聞いたが、そのバンククラークからは、日本語だと自分が理解できないから、アルファベットで書いてください、と言われた。筆記体のローマ字で丁寧に署名した。
その後、署名を真似されないように自分なりに特徴付けをしたのだが、そこまで厳密に守る必要もないようだ。実際、1本の線を署名にしている人が存在するようだが、それを真似たとしても、不正があれば大抵バレるらしい。その人の場合、線の長さが自分のものとは異なると主張して、ことなきを得たのだとか。
チェックのカード版であるデビットカードもこの時にもらったと思うが、あまり使った記憶がない。
そんなこんなで、アメリカでの生活基盤を作っていくのだった。
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