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銀行員から独立してみて

銀行員からの独立

銀行を辞めてから3年が経過し、現在も幸いなことに事業を継続できていることから独立から今に至るまでを振り返ってみたいと思う。
本記事を書くキッカケとして「独立して、その後どうか」と聞かれることが多いことが理由だ。質問を受ければ、その場で上手くいっていることはもちろんのこと、失敗したことや苦労したことについても回答をしている。
もしかしたら、現在銀行で勤務している一部の方は実は独立に興味をもっていて銀行員から独立したケースを知りたいと思っているのではないかと考え、今までの経験を纏めることにした。

世間や銀行で現在働いている方から「銀行は斜陽産業だから」との話を聞くことが多い。置かれている現状に不安を抱えている理由が業界が斜陽になっていることなのであれば、将来に備えるため何か次の策を練っておいた方が良いのでないか、ということが独立に関心をもつ一因なのかもしれない。
世間が持つ斜陽のイメージの理由としては街中にある銀行店舗の「閉鎖や統廃合」が原因になっているように思われる。実際にはデジタル化が進み以前ほど銀行の店舗へ訪問して手続きを行う人が減っていることが理由であるように思われる。
また、銀行の業態の変化もあり以前は支店において融資業務を含め幅広く業務を行っていたが現在では預金業務はデジタルにシフトし投資信託や生命保険などの販売やコンサルに力を入れている。したがって外からも目立つ建物1階のいわゆる「路面店」である必要がなくなってきている。むしろ人目に付かずゆっくりと話ができる閉鎖的な空間の方が良い。高い家賃を払ってまで路面店を続ける合理的理由が無くなってきている。

銀行員の給料は他の業種と比べても高額であり、福利厚生や休暇なども多い。以前は休みも取りにくく遅くまで仕事をするのが当たり前であり教育の観点や目標達成の観点から今でいうパワハラなども普通であった。私も20代や30代の頃においては上司や先輩によく怒られていた。当時は非常に嫌な思いもしたが、振り返って考えれば目標達成は給料を得るためには当然であるし、長時間仕事にあたることで仕事の基礎の部分を叩き込むことができたように思う。
昨今は、その頃から比べれば随分と働きやすい環境であり時間的にも精神的にも恵まれているように思う。
私がなぜ独立したのかといえば不動産鑑定士を取得した若いころから、いずれ機会があれば独立をしようと考えが頭の片隅にずっとあったからだ。
会社を辞めるにあたって人事との面談を行った際に銀行を辞めて独立するケースがあるか聞いたが、同業他社への転職や公務員への転職、家業を継ぐため、などが大半で独立するケースは少ないと聞いた。
実際に元銀行員の方に会う機会があっても、独立している人は少ないように感じる。当社は私一人で業務を行っている零細企業であるし、規模の大きい業務に取り組んでいるわけでは無い。
無謀にも一人で起業したケースとして関心があれば多少は参考になるかもしれない。

独立直後

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