Vol.3:壁の中が真っ黒!?腐る構造を回避せよ/「住の教科書」黄no+e 災害・防災編 第一章 災害に強い建築物の条件
よく住宅メーカーの見学に行くと、こんな画像を見せられることってあります
壁の中がカビだらけ💦
(※壁の中が黒くなっているのは、カビだけじゃない場合もあります!!)
断熱材で隙間が埋まっていない壁の中ですね
これっていくら構造計算して、耐震等級3なんです!!
制震装置ついているから地震が来ても揺れません!!
って言われても、時間が経って壁の中がこのような状態になってしまうと、地震に強いって言えますか?
言えませんよね
災害に強い建築物の条件という話ではありますが、それ以外にも建築物の寿命を延ばす為の知識
そして、木造建築以外でも建築物を災害に強くする為
劣化を防ぐ建築物とは?どんなものかを考えていきましょう。
■建築物の天敵たち
日本の建築において、構造を大別すると
①木造建築
②鉄骨建築
③鉄筋コンクリート建築
④鉄骨鉄筋コンクリート建築
ざっくりこの4種類がメインとなります
ですが、実はこの構造による違いで建築物の天敵というのが大きく変わるわけではないんです
建築物の劣化というのは、何が原因で起きるのかというと
「湿気や結露(水)」
「白蟻(シロアリ)」
「炭酸ガス(CO2)」
この3つが構造に関わってくるんです。
外壁や屋根などもメンテナンスや寿命とかもあるよねって思われるかもしれませんが、それはメンテナンスする物であって結構知られていることだと考えています。
追加するとすれば「紫外線」といったところでしょうか?
ですが、今回はざっくり割愛して「意外と知られていない、考えられていない」ことを中心に記事にしていきます。
壁体内結露(断熱欠損)
冒頭でご紹介した壁の中が黒くなる原因の一つとして
壁の中で結露→カビが発生
という流れになります
結露って聞くと窓の周りをイメージしますが、本当に危険なのは壁の中などの構造内部で発生する結露なんです
では、何故「壁の中で結露→壁体内結露」が発生するのか?
壁体内結露の原因となるのは主にこの2つ
①「壁の中の温度差」
②「壁の作り方(材料・施工方法)」
そもそも、結露っていうのは暖かく湿度が高い空気が冷やされると起きる現象ですね
冷蔵庫から冷たい飲み物を取り出したりすると、表面が結露しますよね
難しい話は置いといて、この原理と同じということになります
建築物の壁の中でもこれと同じ現象が起きているという話なんです
壁の中で温度差が出てしまう原因というのは
「断熱材で隙間を埋められていない」
ということが考えられます
壁の中に断熱材って詰まっているのが普通だと思いますが、断熱材によっては隙間が出来ていることがあります
それがコチラ
こんな感じで下手な断熱施工だとここまで顕著に隙間が産まれます。
でも、壁の中に詰め込んだり、固形の断熱材を床にはめ込んだり、
また、外張り断熱って言って構造に断熱材を釘で貼り付けたり色んな断熱方法があります
壁の中にキチンと隙間なく詰め込んでくれるところはOK
よくダメだって聞くグラスウールって断熱材でもこんな感じは〇
壁の中でもパンパンに詰め込んで、びっしりしてくれてたらOKなんですが
これはアウト
これはちょっとしたことなんですけど、断熱材を止めるのにタッカーで木と接着しているんですが、上部に隙間が既にできてます。
しかも木造だと、木って水分含むと膨張して、乾燥すると若干縮みます
また、人が建築物の中に入ると揺れてしまうし、地震が来たらそれこそ揺れて隙間ができやすくなります
工事した当初は綺麗に隙間がないように見えても、時間が経つと隙間ができてきて、それが原因で壁の中で温度差が発生→結露
なんてことがありえます
その隙間を埋める為に「気密テープ」を使う業者さんもありますが、これも危険!!
えっ?気密テープしてたら大丈夫って聞いたけど?って方いるかもしれませんが、気密テープも施工(やり方)によるということです。
気密テープはあくまでも空気が漏れないようにする為のものであって、断熱材の隙間が空いている状態で気密テープしても意味がないですよね。
どことは書きませんが、この状態は危険かもしれない可能性を秘めています。
断熱材の周りを全て気密テープでふさいでますが、断熱材の隙間は埋められているとは限らないんですよね。
テープには断熱性能があるわけではないので、隙間を埋めるのは「断熱材で隙間を埋める」必要があるわけです。
壁の中の結露は「気密テープ」で防げるわけではありません!!
ここは要注意です。
壁体内結露(湿気対策)
住宅の建築には通気工法という方法で、壁の中に湿気が溜りにくくなるような工法があります。
湿気というのは、ジメジメしているところから乾燥している方へ流れていくので、この通気層があることで湿気が外に逃げていく・・・
という考え方なのですが、この赤丸で囲っている部分の素材によっては無意味なんですよね。
この赤丸で囲っている部分の部材を「耐力面材」と言います。
この部材がもし「ただの木」だったらどうでしょうか?
湿気を吸いますよね?
もしくは、湿気を通しにくい素材だったら、この部分で結露やカビが発生する可能性があります。
それがコチラ
この構造用合板という部材には
「透湿抵抗値が低い=湿気を通しやすい」
ものを使わないと、長期的な目線で見た時に危険です。
こんな壁で家が建っていて、耐震等級3です!!
って自慢できますか?
できないですよね。
家の耐震性だけでなく、このカビは室内の空気を汚染している可能性あります。
耐力面材って何使っているのか!?
そして、その透湿抵抗値は必ず調べましょう。
というか、その建てるメーカーが結露計算している?
ちゃんと選んでいるのか?を聞きましょうね。
(ダイライト、ハイベストウッド、タイガーEXハイパー等は〇なメーカーが多い)
家にも人にも危険が及ぶかもしれません。
また、「防湿シート」を貼り付けたら壁の中の結露は大丈夫って思われている方も多いですが、それも危険です。
「防湿シート」
先ほどの断熱欠損の話と同じでこの状態はアウトなのはわかりますよね。
この隙間の話は上記で書いた通りですが、防湿シートってそもそも湿気を通さない素材なんですが、この防湿シートは大体家の内部側に貼り付けます。
防湿シートの役割としては家の内部の湿気が外に逃げないようにするので、室内の湿度が高い場合は壁紙とか壁紙の裏の石膏ボードが湿気を吸ってしまう可能性もあります。
なので、梅雨時期とかは特に除湿キチンとしないと危ないこともあります。
壁の中のカビ発生を防ぐには
①断熱材で隙間を埋めること
②湿気を逃がすように壁を作ること
この二つが重要です!!
ちなみに、これは木造を例にして話していますが
「鉄骨造」であっても同じことが言えます。
鉄って木よりも熱が伝わりやすいですよね?
なので、キチンとした断熱施工を行っていない場合は「鉄」の構造部分に結露が現れる可能性が非常に高いです。
鉄骨造は外張り断熱が推奨!!
もしくは、完全に鉄骨部分を外部に露出・・・
これはこれで危ないのでよく考えよう
ちなみに、鉄骨造での結露被害はこんな感じです
錆びてますね
カビだらけですね💦
原因はこんな建て方をしているケース
本当に丈夫で長持ちする建築物を建てるって考えなら、最低限結露に関しての考え方がしっかりしていないと駄目だなって記事を書きながら感じました。
床下結露
結露の被害というのは壁の中だけでは済まないんです
主に住宅被害になってしまいますが
床下の結露というのも非常に危険!!
まず、床下結露というのがどんな感じなのか?
水浸しですね💦
この床下結露が原因でこの状態になります
家に良いわけがないですよね
次の話題になりますが、床下がジメジメしていると白蟻の住処にもなりやすくなります
では、床下の結露って、「いつ」「何故」起きるのか?
床下結露が見られるのは、主に夏場が多くなります
湿気が多い時期ですね
地面の中って「16度~17度」ぐらいで1年間常に一定なんです。
(地域によって若干差がある)
冬眠するって、地面の中が暖かいから土の中に潜るんですよね。
ですが、その16度~17度というのが基礎に伝わると、べた基礎の表面って冷たいって感じるはずです。
床下は何となく夏場でも涼しいなってイメージありませんか?
その床下に「高温多湿」の空気を入り込んだらどうなるでしょうか?
結露起こしますよね?
ここで、温度差が原因の結露が発生してしまうんです。
夏型の結露→床下での結露発生につながります。
対策としては「換気を確実に行うこと」
もしくは、全館空調で基礎断熱して床下も空調を効かせるなどが有効です。
住宅の話になってしまいますが
「いやいや、最近の家の作り方なら換気キチンとできるし大丈夫でしょ~」
って声が聞こえてきそうです。
基礎パッキン工法っていうんですけどね、昔の家と比べて換気量が増えているという方法ではあります。
ですが、実際結露起きているんですよね
基礎パッキン工法っていうのはあくまでも「自然換気」という方法で、風が流れやすくはしてますが、気圧や温度などの自然的条件で計算通りにいかない換気方法になっています。
パッキンうっすら見えてますよね
今、戸建てに住まれている方は夏場床下覗いてみるようにしてください
結露していたら「強制換気」させる機器の設置をおすすめします
住宅営業マンでも知らない人がいる床下結露
本当に恐ろしいですが、恐ろしいのは木材を腐らせるだけではなく
「白蟻」を呼び寄せる原因にもつながってしまうんです。
白蟻(シロアリ)
建築物全般の天敵である白蟻
白蟻は木しか食べない!!鉄骨やコンクリートは大丈夫!!って思われますよね?
関係ありません!!
どの建物でも白蟻の被害というはあり得るんです!!
というか、骨組みだけ鉄だったりコンクリートなだけで、木を使っていない建築って日本ではありえないのではないかなって思っています。
こちらは鉄骨の白蟻被害
床下の断熱材が被害受けてますし、フローリングも食べられているようです
こちらは玄関周りの木材ですね
鉄骨の家だからシロアリ被害なんてない!
それは勘違いです。
あり得るのでキチンと防蟻処理ってしておくべきなんです。
じゃあ、鉄筋コンクリートはどうなの?
見事な蟻道ですね💦
RC造のコンクリートを溶かして侵入するとかはありません。
なので、実際は被害が少ない方になります。
ですが、鉄筋コンクリート乾燥によるわずかな隙間から侵入してくることはあるようです。
詳しくはこちらのHPを参考にしてください。
シロアリというのは古い建物によく潜んでいます。
その古い建物が解体される際に、住処を奪われたシロアリたちが飛んで行ったり、土の中に潜って次の住処を探しにいきます。
なので、建物が解体されるという話を聞いたら、防蟻処理の保証期間内であっても行ってもらうほうが個人的にはおすすめです。
炭酸ガス(CO2)
最後は炭酸ガス(CO2)
二酸化炭素のことですね
二酸化炭素が建築物の構造とか寿命に関係している??
どういうこと?って思われるかもしれませんが
「コンクリートの中性化」というものがあるんです
そう、木造ではなく鉄筋コンクリート造(RC造)に関係してくることなんです
コンクリートの中性化とは?
コンクリートの内部って元は「アルカリ性」なんです。
ですが、大気中のCO2を吸収して表面から少しずつコンクリート内部が中性に近づいていきます。
そしてやがて、鉄筋にまで到達すると・・・?
このように鉄筋が錆びて大きくなり、コンクリートの表面が割れてくるんです
RC造だから我が家は一生安全!!
とはいきません
RC造にも欠点があります
これは、RC造だけでなく住宅の場合は基礎部分がRCなので、基礎の表面には中性化を防ぐ為の塗料を塗ったりすることも大事になってきます
(その塗料も注意した方が良いことはありますが)
〇まとめ
このような
●カビだらけになってしまっている
●シロアリの被害を受けている
●コンクリートが剥がれている
ような建築物だった場合、地震に強いって思えますか?
災害に強いって感じられますか?
可能な限り、建物の寿命や耐久性を持たせる為には注意が必要です
知らないじゃ済まされない「腐らない構造」で建てるようにしていきたいものですね
本日は以上です。
参考になりましたか?
次回は
「住の教科書」黄no+e 災害・防災編 第一章 災害に強い建築物の条件
Vol.4:木造が一番弱い?木と鉄とコンクリートの特性
に続きます!
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