建築設計海外転職記 #1 : 仕事を探す
前回の記事はこちら↓
1-1. キャリアを設計すること
中途採用ということばは、とてもネガティブな印象で苦手です。
日本においても、終身雇用が前提となって就職先を探す時代はすでに終わりを迎えているように思いますが、職場を変えながらキャリアのステップアップをしていく、というスタイルは、欧米圏では建築業界を含め一般的だそうです。給料を一気に上げるのは転職が一番手っ取り早い、とも聞きます。逆にいうと、転職するのは更によい待遇を求めるという前提条件があるとも言えます。
日本国内で、建築家の道を目指すというと「有名建築家の事務所に、決して良いとは言えない待遇の中、数年間揉まれて独立」というのが黄金コースというイメージがある(今の学生さんにあるのかはわかりませんが)と思います。しかし欧米だとそもそもそんな長時間低賃金労働なんてありえない、無給インターンなんてもっての他という声をよく聞きますし、こちらについては良い点も悪い点もあると思うのですが、インターン時代からいくつかの事務所での勤務を経験し、短い年数で転々としている人も多いです。(7年半、以前の事務所に勤務していたというと、長いねという反応が多いです)その背後には先ほど述べたような、自分でキャリアを設計していく考え方があるのかなと思います。いわゆるアトリエ事務所で修行して独立して建築家になる、というだけでなく、国内外、あるいはさまざまな業界も経験しながら、最終的に建築家としてキャリアを作っていくという生き方も、日本の建築界においても許容され、リスペクトされるといいなと個人的には思います。
待遇はまず第一前提として、どんなプロジェクトに関われるか、そして重要なのがその勤務を経た後どうしたいかといった内容まで考えて求人を探すのがよいかなと思います。
1-2. 求人の探し方
どこの設計事務所も、大体採用ページがあります。また、LinkedInなどのSNSで求人が出ていることも一般的です。LinkedInだと、募集ページごとに何人応募があるのかといった情報もオープンになっていたりします。また、最近だとinstagramの投稿に出てきたりもしますね。私の知る限り、日本の転職サイトのように斡旋業者がいて転職先と繋げてくれたり、レジュメなどにアドバイスをくれるようなことはないようなので、自分でアンテナを張るしかありません。(知らないだけで実はあるのかもしれませんが)
設計事務所に限ってい言うと、とくに大きめの規模の事務所だと顕著ですが、オフィスのロケーションや職務ごとにどのような人材を求めているか、細かく分かれています。参考にBIGのサイトではこのような掲載がされています。
アメリカだと州によっては給与レンジを示さないといけないそうで、想定レンジが記載されています。これについては書かれている方がクリアーですし、応募者のモチベーションにもつながるので良いことだと思いました。また、必要な経験年数、言語やソフトウェアスキルなども事細かに書かれています。ただ、厳密に全部満たしていないとNGということはないと思います。わたしも記載の経験年数に満たさない状態で応募しましたが、返答をいただけました。
1-3. アプライ先の選び方
海外インターン時の経験も踏まえると、仮に欧米の国で働くのであれば、日本人の採用実績があったり、日本で仕事をしている会社へアプライするのが現実的です。
まず1点、欧米は労働ビザの取得のために、会社がスポンサーになる必要があるなど様々な手間が雇用主に求められ、よほどのメリットがない限り欧米の会社からすると日本人を採用する理由がないからです。(*これは欧米諸国に限った話です。アジア圏等他エリアならもちろん話は別です。)
そしてもう1点、設計事務所で雇用されて働く以上、「この人でないと絶対できない仕事」というのは、正直ほとんどないからです。「いま自分がやってるデザインは自分しかできない」と思う方がいれば早く雇用されるのをやめて独立した方がいいです。つまり例えばアメリカで働こうと思っても、設計業務がそれなりにできて、英語が話せる人なんて世界中にいるのです。
なので私の場合、日本語を話せる実務経験者の求人をたまたま見つけ、応募し(結局一社のみでしたが)、採用にいたりました。こう言ってしまうと狭き門であるように聞こえるかもしれませんが、日本で仕事している設計事務所というのは意外と多いはずです。日本での実務経験があるとわかりますが、日本での設計実務は高度な語学能力(日本語の能力)そして施工者、行政、クライアント、業者など多くの関係者との折衝能力が必要になってきます。なので、どこか必要とされる場所は常にあるのではと思います。ただこれはソフトウェアのスキルなど、基本的なことができる前提ではありますが。
色々と長くなりましたが、気になる事務所の求人にアンテナを張り、自分が応募できそうなポジションがあれば応募してみるというのがいいと思います。
1-4. 色々な情報収集
日本でもあると思いますが、欧米ではGlassdoorのような、従業員や求人応募者による給与情報や福利厚生、面接時の内容に至るまで情報交換が盛んにされています。情報の正確性はなんとも言えませんが、それなりに有名な会社であれば情報はたくさん出てくるので、参考にしてみると良いです。例えば下記はApple社で検索してみた例です。
197K-298Kということは、今のレートで言うと2900万円-4400万円ということです。日本人の感覚からするととんでもない数字ですね。建築設計だと、残念ながら中々ここまで到達するのはむずかしそうです。(そういったこともGlassdoorなどを探索するとわかります)
その他、面接時や勤務時の体験談など、色々な話が出てきますがそこは話半分に見るのがいいかなと。辞める人がベタ褒めにして会社を去るわけないですよね。
以上、どのようにして仕事を探すかと言う内容でした。次回は提出書類や面接の内容などを書こうと思います。
続編はこちら↓
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