考えるサッカーは色褪せない~あるクラブの Homecoming Day
もうかれこれ20年ぐらい前、息子が小学生だった頃です。
私は、小学校のサッカーチームで「お父さんコーチ」をやっていました。
「お父さんコーチ」というのは、完全無給のボランティアなのだけれど、子どもたちの頑張る姿に刺激され、随分エネルギーを注いだものでした。
そのサッカークラブが、年に一度、OB/OG、それから私のようなかつてのコーチなんかも迎えて、ホームカミングデーをするのです。
現役のコーチに声をかけてもらい、2年ぶりに参加しました。
今年は、私が6年生の監督をしていた時から、ちょうど10年になります。
圧倒的成績で一部に昇格したそのチームは、今や語り草になっています。
というのも、このクラブが一部に在籍したのは、後にも先にもその一度しかないからなのです。
これから書くことに、自分のコーチとしての手腕が、と言うつもりはサラサラありません。
そうではなくて、彼ら彼女ら(そのチームには女の子も混じっていたのです)が、スーパーでスペシャルだったんだ、ということを言いたいのです。
それは、高校生のOBとのゲームで際立っていました。
現役サッカー部に所属している高校生というのは、おそらく人生で最高にサッカーが上手い時期です。
もちろん、プロを目指し、大学でもガチの体育会でトレーニングを続けているなら別ですが、アマチュアのサッカー選手のピークは高校生だと言ってしまっても、99%ぐらい正しいです。
で、対するは、大学4年になって、そろそろいろんなところがポニョポニョし始めているこの連中(私の教え子たち)。
そりゃまあ、普通に言えば敵う訳ない、というか、けちょんけちょんにやられるトコロです。
予想どおり、最初は、キレッキレでスタミナがあって個人技でも勝る高校生に、振り回されていました。
ところが次第に、持ち直してきたのです。
アタマを使い、球を散らし、大きな展開で前後左右に高校生を揺さぶって走らせ、大声でコーチングしながら完璧に崩しきり、最終的には何と逆転勝ちしてしまいました。
どんどん連携が良くなり、何より、とても楽しそうに仲間と戦っている彼らの姿に、周囲で見ているコーチ連中も舌を巻きました。
そう、この連中は、サッカーの何たるかを知っているのです。
アタマを使って課題に挑み、失敗すればまた修正し、それを仲間で共有する。
そういう自立的でクリエイティブな作業を、プレーの中で自然にやれるのです。
私が10年前に
と教えたことを、まさに体現してくれたのでした。
例によって、近くの銭湯でひとっ風呂浴びた後、OBがバイトしている飲み屋で終電まで飲みました。
大人になって、すっかりこっち側になった彼らとも飲めて、無茶苦茶嬉しかったなぁ。
私は、彼らと一緒に、かけがえのない日々を過ごせて、つくづく幸せだったよ。