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火曜日しばらく雑記帳・2024 CW37 Appendix
先週、うっかりと、「アウェーでの料理、というのはかなりチャレンジなものだ。次回は、私の浅い経験 - 出張ビストロしまむら- からちょっとそんな話を書いてみようと思う」と書いてしまった。
そこで7年前(2017年)フィンランドはオウルに出張に行ったときのエピソードを簡単に書いておこうと思う。
なお、最初に断っておくが、ヘッダの美しい写真はこの雑記帳に時々登場する ケイヨー (Keijo Salmivaara) のパートナー、パオラさんが9月20日に撮影したものだ。Sweet な2人は今 Lapland (ラップランド - Wikipedia) にいてキャンピングカーで過ごしているらしく、そろそろ彼の地の気温も 0 ℃前後となったので、南に移動するということである。
さて、2017年の4月末のフィンランドへの出張は 2週間程度、週末をまたいでちょっと長いものだった。
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ちょいと厳しかった仕事はさておき、このとき、nice buddy でなおかつ良き mentor でもあったヘッキ・マカライネンから「家へ来い」「日本で食べたオムライスが恋しい、家に来て作ってくれ」「娘も日本のファンだ。かつ丼が食べたいと言っている。土日にこっちにいるなら、とにかく来い。」とリクエストを受け、人をがっかりさせることが嫌で「八方美人」を座右の銘とする私は、仕方なく日曜日にお宅に伺うことを承諾したのだった。
なんと炊飯器があるというので、まず、米を炊いておけ、と水加減などを伝え、あとサラダオイルを1Lほど用意しておけ、と伝えた。他に何を用意しとけばいいか、と質問を受けて「ビールを1ダースほど」と答えておいた。
しかし、である。米が具合よく炊けてないリスクがある。土曜日の午前中にホテルの近くのスーパーを探し回ってようやく「寿司用」とある米を見つけた。びっくりするような値段だったが、仕方ない。サラダ用の水菜やジャガイモ、玉ねぎ、青梗菜、ネギなども購入。豚肉は厚めの具合のいいのが売っていた。醤油はあるが、みりんがない。出汁がとれない、出汁のもともない。探し回ったが、仕方がない。醤油と酒があれば、まぁ、なんとかなるだろう。
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とにかく日本のように、ちょっと材料が足りなかったら近くのコンビニに行けばいい、というわけにはいかない。しかもスーパーといえども、基本、土曜日は半日の営業、日曜日は休みである。
とにかく喘息持ちの私は緊張すると咳が出る。あーでもないこーでもない、とシミュレーションをしながら、ごほんごほんと咳をしながら落ち着かない気持ちで土曜日の午後を過ごした。
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平屋の広い家と、庭、それぞれ自慢のバーベキューグリルがある
もちろんサウナも
アウエーでの料理は難しい。調理器具が異なれば、フライパン一つとっても普段使い慣れているものと違うし、用意されている調味料も違う。そして、ヘッキの家のキッチンは、ガスでもIHでもなく、電熱だった。火力が弱い。
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しかも、ヘッキは奥さんに「よく見てメモしとけ」と調子よく言っている。ものすごいプレッシャーだ。
そして案の定、ご飯はお粥のように炊けていた。かつ丼はそれでも大丈夫だろうと思い、まずトンカツを揚げる。浅めのフライパンではあったが、油はたっぷり用意してもらっていたので油の温度さえ気を付けておけば大丈夫だ。ネギと卵と醤油で閉じて、なんとか出来た。ご飯がイマイチ・イマニ・イマサンで心が痛むが、味は大丈夫のはずだ。
オムライス向けはご飯をしっかりと炊かなければならない。リスクヘッジで買っておいた「寿司用」米を、玉ねぎ・鶏と一緒にオリーブオイルで炒めてから水を加えて、つまりはピラフの要領で炊いた。
その間、ジャガイモを茹でサラダを作った。
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なんとかうまく米が炊け、最後にケチャップでざっと炒めるようにすればチキンライスが予想以上にうまくできた。
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ここまででだいたい調理器具や火力の加減が掴めたので、卵を焼いてくるっと巻くのは比較的容易であった。
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普段自分で作るよりも、卵を贅沢に使わせてもらったので具合よく出来た。
ヘッキ・マカライネンは、2015年から2年ほど日本に来て私達を助けてくれた。麻婆豆腐の作り方を教えてほしいというので、会社の共通サーバーには密かに recipe というフォルダを作ってあり、私流の麻婆豆腐とハンバーグの作り方を Powerpoint でアップして共有しておいた。ハンバーグは好評らしい。
それにしても、やはり、レシピは難しい。日本の中であっても、入手できる材料や調味料も異なれば、家庭ごとに調理器具の違いもあるし、特に火力の違いの影響は大きい。第三者に伝えるというだけでなく、近しい人に伝える場合もとても気を遣う。近しい人ほど、がっかりしてほしくない。
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右下はお土産のサルミアッキ - 世界で最もまずいお菓子と有名なフィンランドの名物、私は大好きで彼の地の行くたびに買って帰る。
フィンランドは会社の本社もあるしRDの拠点もあるし、何度か出張で行ったのだが、仕事の役割が大きく変わったこともあり、この何年かはとんとご無沙汰している。また行く機会があるだろうか。
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4月末とはいえ最低気温が -3℃、雪に覆われたフィンランドでなんとか課せられていたミッションをこなして日本に帰ってみれば、初夏の陽気だった。