マジック・タッチ8 スライド/ボトルネックギター1:ライ・クーダー Ry Cooder "Crossroads"
ブルースやカントリーについても残念ながら語る言葉を持ってないし、こういうちょいかみ的な投稿はコアなファンからは顰蹙ものだとは理解している。
私自身は、分厚い銅製の重いスライドでファズを効かせたギターの弦をひっぱたき、ギャコン・キューンと傍若無人な演奏を得意とする、これまたブルースやカントリー、あるいはジャズといった音楽の深みを無視した下手なアヴァンギャルド系(*1)なので、そういう点からも語る資格はないとも思う。
と、散々エクスキューズをつけたところで(*2)、私が好きでよく聴いているスライド・ボトルネックの名手について2回か、あるいは3回になるかも、にわたって書き散らかしておきたい。
スライド・ギターといえば、まずはライ・クーダーであろう。
ただ、私にはどちらかというと世界各国の民俗音楽を積極的に探究して自身の音楽に昇華した、そういうミュージシャンだという印象が強い。以前にアリ・ファルカ・トゥーレの記事で少し触れた。
キューバのミュージシャン、マヌエル・ガルバンとの共演で、2003年のアルバム、Mambo Sinuendo (マンボ・シニュエンド)もなかなか楽しくも不思議な感覚の曲が揃っていて面白いインスト・アルバムだ。
どこが不思議か、まぁ聴いてみるのがいちばんかもしれない。
私が初めて聴いたアルバムは、1976年のChicken Skin Musicだった。リアルタイムではなく1990年ごろに手にとって聴いたのだと思う。このアルバムはテックス・メックス風そしてハワイアンの要素もあるリラックスした粒ぞろいの楽曲を楽しめる。
もっとポピュラーな感じだと、1979年の "Bop Til You Drop" だろう。音づくりは泥臭いところやエスニックな感じも薄く、楽しいR&Bが揃っていて軽く楽しめる。ただ、そのぶんライ・クーダーの持ち味が薄いかもしれない。
5曲目の"Down in Hollywood," 8曲目の"Don't You Mess Up a Good Thing" ではチャカ・カーンが参加している。
映画のサウンドトラックも数多くてがけ、"Paris Texas", "Cross Road"など有名だし、エレクトリックギターでの泣かせるスライド・ギターとメローな響きがいい感じだ。
そして圧巻なのは、スティーヴ・ヴァイとのバトル。ギターでお話ができる二人の壮絶なつばぜり合いは見もの聴き物だ。
さて、2022年の今年になって、タジ・マハールとの共演による新作アルバムをリリースした。まだ聴きこんでいないけれども、渋い。
HMVで紹介されているのを引用しておこう。ライ・クーダーとタジ・マハールの50年を優に超えるつながりもコンパクトにまとめてられている。
次回「スライド/ボトルネックギター2」は、この "Get on Borad" つながりでタジ・マハール、ジョニー・ウインター、ステファン・グロスマン、最近評判の若手:姉妹の二人組のランキン・ポー、浅いながらも好きなギタリストを数人、ちょっとバラバラかもしれないけれども、それぞれ、よく聴く 1-2曲・1-2アルバムずつ書いておこうと思う。
■注記
(*1)
たとえば、こういうやつだ。1990年だったか大学のころの録音だ。
安藤郁也詩集「明度と童話」より「鬼」
(作詞:安藤郁也、作曲:島村、arr. syn, programing, perc: 中村文隆、g. vo. 島村)
(*2)このようなエクスキューズは私の音楽の記事全般に適用しなければならないのだが、コアなファンが多そうなこのジャンルではちょっと強調しておこうと思う。ちょいかみ、さらっとなめただけ、わかった気になって偉そう、は一番嫌われるタイプだと私も思うが、許してほしい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?