火曜日しばらく雑記帳・20:大文字送り火
製作は周辺から中心に向うのであり、あるいは哲学者風にいえば、多から一にすすむのである。これに反し、組織化の仕事は中心から周辺に向う。
ベルクソン「創造的進化」p.122
■多くの日本の会社では「お盆休み」というのがあると思う。会社から特別に休暇が付与されたり年次休暇を半強制的に合わせてとることで、土日も合わせて5連休や7連休、場合によっては10連休という会社もあるかもしれない。工場の稼働の効率を考えたときに会社全体で一斉に休みとしてしまったほうがかえって効率がいい場合もあると思う。
私が勤めているNOKIAではカレンダー通り、あとは各人が年次休暇を適切に使って周囲と都合をうまくつけて休めばよく、これは日本だけでなく世界のどの国でも基本的には同じだ。ヨーロッパの国々というとバカンスというイメージがあると思う。夏休みということになると、フィンランドだと7月いっぱい 4週間程度休暇をとる人が多いし、ドイツやポーランドは8月から9月のなかで2-3週間程度の休暇をとる人が多い。
私は8月11日の祝日から土日をはさみ8月17日まで、一週間の休みとすることにし、京都の自宅に帰ってのんびりしている。以前にも書いたが連休の過ごし方は難しい。
8月16日の今晩は、京都では大文字の送り火があった。けっして「大文字焼き」ではない。20時ごろに京都御所から向かって右の「大」が点火され、5分くらいおきに「法」「妙」「船」「大(左大文字)」「鳥居」と、右から左へ順番に点火されていく。全部を見ようと思うと京都タワーなど限られたところしかなく街中では一部しかみえない。自宅の近所では幸い、右の大文字、そして「法」を見ることが出来る。
19時ごろになって雷とかなり強い雨がざっと降ってどうなることかと思ったが40分ほどで止んで、20時すぎ、無事に点火された。大文字山(如意ヶ嶽)の中腹にある大の字の一点が点火され、大の字の何か所かでチカチカと光がちらつくのが見えてから、少しづつ全体が浮かび上がるように燃え始める。
毎年大文字が過ぎると、それまでの厳しい暑さのなかにすっと風が吹いて涼しくなる気がする。そして、これで夏が終わってしまうというわけではないけれども、夜の空に燃えている大の字とたなびいて流れる煙を見ていると、1年の中での大事な節目を送っていく感慨がある。
■ 夏といえば鱧(はも)、そして鱧はカツが美味しい、と先々週の雑記帳で書いたが、鱧皮というのも売っていて実に美味い夏の味だ。
つまむのにいいちょっとしたもの、というと、キュウリの古漬けを薄く切ってショウガをまぶしたものもいい。普通のキュウリでも美味い。
■ 先週ひっかかった音楽を何点か。
1.ジンバブエの Oliver Mtukduzi (オリヴァー・ムトゥクジ) について、先々週の雑記帳で触れた。
"Mai Varamba" の Remix が印象的だった。単調な電子楽器のリズムが繰り返す上に載る歌とコーラスが楽しい。ただし、後半、極低音の長音が入るのは意図的なのだろうけど、少し不快に感じる向きもあるかもしれない。
オリヴァー・ムトゥクジのオリジナルはこちら。
2.一世を風靡したスーパーギタートリオの1980年の名盤"Friday Night in San Francisco"の続編というべきか、当時の録音をさらに8曲収めた "Saturday Night in San Francisco" がリリースされた。アル・ディメオラもかなり入れ込んでいたと思われ、Facebookでも事前に何度も告知していた。
アルバムの装いもオシャレだし、ファンには待ち遠しかったリリースだ。
上に貼っておいた2週間前の火曜日の雑記帳 18 でも書いておいたが、ここ最近、パコ・デ・ルシアへのトリビュートだったり、マッテオ・マンクーゾとの共演だったり精力的にツアーもこなしている。日本にもこの10月に来るということだ。
3.そのうちきっと、アントワーヌ・ボワイエとサムエリートとマッテオ・マンクーゾの3人でスーパーギタートリオ、というのがあるかもな、と夢想したりするのだが、どうだろう。上で紹介したアルバムも新しい録音ではないしファン以外にはちょっとアピールが難しいかもしれない。、あのころは新鮮ではあったけれども、今となっては懐メロとしてのコンテンツのような気もする。
そんなふうに思っていたところ、アントワーヌ・ボワイエとキム・ヨレの新しいシングルがリリースされた。
和音で奏でる幻想的なギターの演奏とわびしげなハーモニカの旋律が落ち着いていていい感じだ。
二人のアルバムは2021年の "Tangram" がある。全体的に少し不思議な響きの連続で実験的な香りもする。
また新しいアルバムがリリースされるかもしれない。楽しみだ。
4.コートジボワール出身でフランスを拠点に活躍しているという女性ミュージシャンのDobet Gnahoré を知った。まだ、それほど聴いてはいないが、なかなかいい感じだ。
たとえば、2014年の "Na Afriki" 。バックでいろいろな楽器が作るリズムがミックスして面白く、よくのびる素直な明るい声とよくマッチして、ゆったりとしたいい感じだ。
2021年のアルバム "Couleur" もいい感じだ。
5.マレーシアの歌姫、シーラ・マジッドの新しいシングルは映画のサントラ、見てもいない映画の一場面が浮かんでくるような気がして、やはりアジアの歌謡はいい。
シーラ・マジッドについては以前に記事にした。
■ 私は、年に3回の大型連休のときは、小学生のように毎日の予定を表にしていて、項目ごとにできたかできないか ○ × をつけて毎日を有意義に過ごそうとしている。この夏は、どちらかというとほぼ計画通り、つまりは読書と飲むのと仕事ちょい、という感じであった。つまり新しい取り組みはなかったということだが、まぁよしとしよう。
今年も気が付いてみれば、もう立秋もお盆も過ぎ、なんとも速いことだろうか。まだまだこれから、年末に向けて何か新しい展開がほしいところだ。