火曜日しばらく雑記帳・6:アラン・パスクァ Alan Pasqua "Michele"
■ ゴールデンウイークは月曜と金曜を休みにして10連休にさせていただき、京都の自宅に帰ってのんびりと過ごした。後半の3日間は、気温も上がって天気もよく、娘と婿に孫娘の家族3人が泊まりにきたので、バタバタと賑やかに過ごした。孫も 2歳と2か月半となり、前回正月に会ったときと比べても、順調に成長著しく、保育園に行っているせいか、言葉にしろ、遊び方にしろ、いろんなことが早いような気がしてならない。
今回、驚いたのは、自分を外から見る視点、そして他人の中の自分を見る視点をすでに持っていることだった。妻が髪をちょこんと結ってやれば「見て見てー」と言いながら自分の後頭部を指さす仕草、「ほっぺたにご飯粒がついているよ」と言われて自分のほっぺたをさわる仕草、「公園に行って遊びたい」とウソ泣きをし、「公園遊びに行こうか」と妻が抱き上げたときに「ほんとう?」と顔を見上げて問う言葉などなど、いつから、人は、自分が自分であり、世界の中に自分を位置づけるようになり、周りの人が自分と同じ心を持っていると思えるようになり、周りの人の心に映っている自分の姿を思うことができるようになるのだろうか。
それは誰も教えなくても経験によって自然に獲得する後天的なものなのか、それともあらかじめア・プリオリ(先験的)に持っている認識の枠組みなのだろうか。
宝が池公園 子どもの楽園 | 京都市都市緑化協会 (kyoto-ga.jp)
娘一家は、日曜日の午後に賑やかに帰って行った。私は、連休明け初日の月曜日の9日と10日の夜まで京都の自宅からリモートワーク、この2日間はバタバタしながらも天気がぐずついて寒い日になり、文字通り、急に火が消えたようでもあった。
■ 先週に私のアンテナにひっかかってきたミュージシャンとその関連ミュージシャンについて書いておこう。
1.米国のジャズピアニスト、Alan Pasqua (アラン・パスクァ) のシングル "San Michele" がよかった。先週リリースされた新着でひっかかってきたのだが、録音自体はだいぶん前のものではないだろうか。
テナーがマイケル・ブレッカー、ドラムスがポール・モチアン、ベースがデイヴ・ホランドと私が愛してやまないミュージシャンばかりがサイドを固めていて、どんなに聴いてもうっとりと止められない。
1993年リリースだという初リーダー・アルバム Milagroでは、同様の編成でドラムスはやはり私が大好きなジャック・ディジョネットだ。美しいアルバムに仕上がっている。
アラン・パスクァについては、すでにフォローしているわりに、実はあまり知らなかったのだけど、今、調べてみて驚いた。ドラムスのトニー・ウイリアムスのバンド・ライフタイムに参加、その後、ボブ・ディランのバンドに参加して、キリスト教3部作(*1)直前の1978年の「ストリート・リーガル」、1979年のライブ盤「武道館」、で演奏しているとのことだった。
2.「ストリート・リーガル」も大好きな一枚だが、「武道館」はとくにいい。新しいコンセプトを始める前の総決算のツアーという感じなのか、新旧の有名ヒット曲ばかりのセットリストでどれを聴いても素晴らしいアレンジと演奏ばかりだ。このころのディランのバンドは、女性コーラスやホーンも入ってアンサンブルもゴージャスで華がある。ディランの雷のような声も若々しい力強さがあり、リラックスした感じがあって聴きやすいと思う。
3.トニー・ウイリアムスは、もちろん、ハービー・ハンコック、ウエイン・ショーター、ロン・カーターとのマイルス・バンドが好きでたまらないが、自身のバンドもいい。私のイチオシは、ジャケ写も美しい 1988年の"Angel Street"。
1985年のForeign Intrigueもいいし、この中の Sister Cheryl は素晴らしい一曲だ。ドラムスだって歌うことが出来る。
アラン・パスクァは、リーダー作はあまり多くないようだ。もっと聴いてみようと思っている。
4.フランス出身のギタリスト Gwen Cahueのリリースされたばかりの最新アルバム、Louise Parret との "Melkoni Project" も美しいアルバムで、惚れた。
5.パキスタンの映画サウンドトラック、Momina Mustehsanと Bilal Saeed の歌声が聴ける、Khudaya Vey 。カッワーリーでおなじみのハルモニウムとパーカッションが全編心地よく、ゆったりと聴ける。
2年前の Uchiyaan Dewaraanから、同じ二人のデュオのサウンドトラック。ロマンティックだ。
Momins Mustehsan はRahat Fateh Ali Khanの記事中で選曲した Coke Studio Live の "Afreen Afreen"でデュエットしていた女性シンガーだ。
■自宅に帰ると、私が夕食を担当するときもある。いろいろ腕をふるいたいところではあるが、家族が変わったものをあまり好まないこともあって制約が多い。結局、「お父さんはパスタ、しかも凝らずにシンプルなのがいい」となるので、好評なメニューといえば、オイル系でバジルやエルブ・ド・プロヴァンス(プロヴァンス地方風のハーブ・ミックス)のスパゲティという超シンプルなものとなる。
やはり人に出すのは緊張するものだし、あれやこれや計画して、手間暇かけて作っても、一人ぶん自分のためだけに用意するのと勝手は違うし、結局は思い描いていた通りにはなかなかいかないものだ。
まぁ、そんなときでも心優しい家族ばかりなので「馬鹿にもせず、軽蔑もせず、無視もせず、かといって妙に慰めたり、ほめたりもせず、適当にかまってくれるのがいいのである(東 理夫「ミステリ亭の献立帳」p.39)。」
■連休中、ハメをはずしたところはなく、珍しくルーチンはたんたんとこなせた。新しい知識の獲得という点では、量子コンピュータについて一歩足を踏み入れることができたし、読書も予定どおり進んだ。
残念ながら、先週末のジョギングは1回スキップせざるを得ず、5月7日時点で計画比:91.8% ( -19.2km) となったが、9月末までにはリカバリできると思う。
note 記事は普段のペースで書けたが、8日の「宇宙論への招待」は、いつもに増してちょっと雑な文章になったな、と少々反省している。ただ、貴重なコメントもいただき、こうして書いていてよかったと思うことは多い。気になるところは、これからちょこちょこ修正していくつもりだ。
あっという間だったけれども、まあまあの連休だったと思う。
■注記
(*1) ディランのキリスト教シリーズは、1979年の Slow Train Coming, 1980年の Saved, 1981年の Shot Of Love だ。ディラン流のゴスペル曲ばかりで、セールスはたぶんイマイチだったはずで、批判的な意見も多かったと思うが、素直に聴いてみるといい曲ばかりだし、Slow Train Coming は特に好きな一枚だし、Saved も折りに触れてよく聴く。ライブは、教会の演奏会のようで、その熱量は凄い。YouTubeを見てもアマチュアバンドや聖歌隊によって教会で歌われているようだ。
後々、再評価されているようで、当時のライブの音源がリリースされたりしている。たとえば 2017年リリースの "Trouble No More"、サンフランシスコでの1979年のライブらしい。
ただ、このアルバムは8枚組で100曲以上(複数の会場でのライブを収録したものなのでかなりダブっている)の長尺モノなので熱烈ファン以外はちょっとアレかもしれない。
マリアンヌ・フェイスフルについて書いたときにやはり注記で触れている。
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