Paul Simon "Live Rhymin'"
今年の5月に、Paul Simon が新しいアルバム "Seven Psalms" 「七つの詩篇」をリリースした。今年の一番の感動だったかもしれない。
ポール・サイモンのことをいろいろ書いてみたいと思った。まず、最初は、私が生まれて初めて買ったレコード、"Live Rhymin'"。
中学校にあがったばかりのころだったと思う。貯めてたお小遣いを握りしめて、駅前の商店街にあったレコードショップに入って、この一枚を買ったのだった。家にあった家具調のステレオセットにセットして、それこそ擦り切れるほど聴いた。
今でも手元に残してある。これまで45年くらい私に寄り添ってきたわけだ。そして、きっとずっと手放すことなく持っていることだろう。
1974年リリースのこのライブアルバム、ギターの弾き語りで、まずは3曲、オープニングは「僕とフリオと校庭で」、S&Gの名曲「早く家に帰りたい」そして、美しい「アメリカの歌」。
続いて、南米のフォルクローレのグループをバックに「コンドルは飛んでいく」「ダンカン」「ボクサー」。最初にウルバンバの紹介をする。淡々としたMCにしびれる。
サイモン&ガーファンクルの名曲 "Boxer"は、長くライブで歌われていて、そのときどきで様々なアレンジで演奏され、豊かな表情で魅せるが、フォルクローレをバックにしたこの演奏はその中でもベストだと思う。
そして、B面はゴスペルグループの、ジェシー・ディクソン・シンガーズをバックに「母と子の絆」「サウンド・オブ・サイレンス」、ジェシー・ディクソン・シンガーズのソロで "Jesus Is the Answer" を挟んで、「明日に架ける橋」「母からの愛のように」。
こちらも短い紹介が冒頭にある。
もともとゴスペル調の ”Bridge Over Troubled Water" はもとより、レゲエ調だった "Mother and Child Reunion," S&Gの大ヒット曲のフォークロック "The Sound of Silence" まで、女性コーラスがばっちりと入った見事なゴスペルに仕上がっていて何度聴いてもいい。
観客から声がかかる。
コンサートであまりに素っ気なく淡々と演奏して、何一つ面白いことも言わないポール・サイモンに「何か言ってくれよ!」と声がかかったわけだ。軽妙な受け答えに観客がどっと沸く。
「何かおごってくれよ」と声がかかったことがあるらしい。その日のコンサートが終わったあと、観客全員に飲み物が振る舞われたということだ。そんなエピソードが大好きだ。
最後は弾き語りで「アメリカ」
今日、久々にこのアルバムを聴きながらこの記事を書いていた。そうなのだ。ポール・サイモンの歌は、いつでも私を励まし、癒し、確かに私とともにいた。
■ note
私のディクテーションは少々怪しいが、たぶん大丈夫だと思う。もし、間違っているところがあったらコメントにて指摘してほしい。
■追補
"Live Rhymin'" で歌われてる「ダンカンの歌」、「ボクサー」とよく似た構成の歌ではあるが、また違った味わいがある。
2011年のコンサートで観客の女性が「私はダンカンの歌でギターを習ったの!」と叫んだところ、ポール・サイモンは彼女をステージに上げてギターを渡したのだった。
舞い上がっている彼女を励ますように肩を叩き、演奏が始まると、笑顔で頷きながらリズムをとり、ときおりバックのミュージシャンに指示をして、見事に演奏を完成させたのだった。
心温まるシーンだ。
この人のファンでよかったと本当に思った。
■関連 note 記事
Paul Simon の記事は、アルバムごとに思いのたけを綴っていく予定だ。おそらく全記事、2500文字超、しかも語り足りない、そんな個人的な記事になるはずである。
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