火曜日しばらく雑記帳・2023 CW05
先週の木曜日の晩に京都の自宅に帰り、月曜日の晩の新幹線で新横浜の事務所に戻ってきた。月曜日の晩は、21時02分発の新幹線まで若干余裕あったので、京都駅に向かう途中、四条木屋町に寄り道して馴染みのスナック MICK に15分ほど寄ってアイリッシュウイスキー Jameson をロックで2杯ほど楽しんだ。
先客がいたが、ついつい「宇宙際タイヒミュラー理論」と「力と交換様式」について熱く語ってしまい、そうして場をしらけさせておいて、10分の予定よりも少し長居となった15分後にバタバタっと店を出たものの、あれ?上着の内ポケットにあるはずの財布がない、と慌てて戻り、しかし、カウンターにも忘れていない、床や階段や道路にも落ちてない、鞄にも入ってない、落ち着け落ち着け、きっとちゃんと持っているはず、もう一度二度とズボンのポケットとシャツのポケットを確認するが、やっぱりない、探す間に1分、2分、4分と時間が刻々と経過して冷や汗をかいた。
実際には、上着の右側の内ポケットにちゃんと入れていて忘れてはいなかったという失笑のオチだった。
要するに、私は右利きなので普段は左側の内ポケットに財布を入れているし、右側の内ポケットの存在は忘れている。だから、財布が見つからなかったのだ。
考えてみれば、10分ほどしかなかったので、段取りよくしておこうと、席についた直後に支払いをすませておいたのだが、その際に脱いだジャケットの内ポケットに財布を戻したのだった。つまり向かい合ったもう一人の自分のジャケットのポケットに財布を入れるような動作となり、そんなわけで自然に左右を逆にしてしまったわけだ(*1)。
このときに、向かい合ったもう一人の自分が、鏡面対称な自分であったならば、問題なかったわけだが、まぁ、仕方あるまい。鏡像は並進と回転によって作ることができないのだ。
鏡像について以前ちょっと書いたことがある。「鏡像の敵」というフレーズは気に入っているので、続編を書こうとしつつ3年以上放ってある。
鏡像を考えると、操作の対称性について考えることになる。対称性、対称性の破れ、このような概念は大変重要だ。「宇宙際タイヒミュラー理論」や、もっと基礎となる「群論」、そして量子力学や現代物理学でのキーになる概念だ。ズッコケてボケているのは仕方ないとしても、もっと気をつけていきたいものである。
なお、こうして財布は無事見つかり、笑ってごまかし、少し路地を走って河原町通りに出たところで運よくすぐにタクシーがつかまり、無事、予約していた新幹線に乗ることができた。
■先週、酒かすを入れたカリーを作った。濃厚なかす汁とスパイスでとても美味しくなるだろうとアイディアそのものは当該分野の専門家ならば容易に想到できる範囲ではある。
牛スジ酒かす麦酒カリー。
適当に作ったわりにはとても美味しくできた。
弁当は相変わらず、いつも同じといえば同じだが、先週の木曜日の弁当のメインは地中海風ではなく和風・肉じゃがにした。
■先週にひっかかった音楽を少し。
1.まずはカーリー・サイモン。1995年のニューヨークのグランド・セントラルでのコンサートがついにアルバムでリリースされた。
YouTubeに公開されているトレーラーはこちら。ホールでもライブハウスでもなくグランド・セントラル、映像も美しい。
ヒット曲がずらりと並んでいるし、素晴らしい歌声で、やっぱりいい。
たとえば、Like a River。緩急がつく曲の構成がまさしく川の流れのようだ。
そして私が一番好きな Coming Around Again。
そして、やはりカーリー・サイモンの笑顔だ。この人の笑顔にかなう人はなかなかいないと思う。
2.ブラジルのミュージシャン、エグベルト・ジスモンチの Água E Vinho (水とワイン)、1972年の有名な曲だが、先週、ピアノのインストのみでシングルがリリースされていた。ジャケットも美しく、もの悲しい旋律がピアノで奏でられる。ところどころ不思議な響きの和声が宙をただようような感覚をもたらす。
YouTubeでは視聴できないようだったが、いろんな方がカバーして演奏している。そんななかから、ミシェル・カミロとトマティーノの演奏を貼っておこう。
3.ベトナム出身のグエン・レ。先週リリースのシングルの "Onety-One"、グエン・レ・トリオということで、かっちりしたリズムの固めの音作り、最近の作品とは趣がかわって、フュージョン・クロスオーバーにかなり寄せた楽曲に仕上がっているが、ベトナムの伝統楽器のように思える独特のウネウネ感を感じさせる縦横無尽なギターソロで聴かせる。
たぶん、フルアルバムも出るのだろう。半年後くらいだろうか、かなり楽しみだ。
4.35年ほど前に買いあさった民俗音楽のレコードはフランスの OCORAレーベルのものが多かった。フランスが植民地支配していた地域の音楽が中心だったが、聴いたことのなかったいろいろな国の音楽に心を躍らせた。
ひょんなことから、先週末にOCORAレーベルの曲を全2348曲もあつめた Public の Playlist を見つけた。まだ、とてもではないが全部を聴けてはいないが、あまりに驚いたので貼っておこう。
5.イチローが打席に立つときのテーマ曲が石川さゆりの「天城越え」だという話は有名だ。今まであまり気にもとめていたなかったのだが、ひょんなことから、経緯が語られている記事を見つけて熱心に読んだ。石川さゆりご本人のインタビューであり、妥協を許さない二人のプロの交流がとても面白かった。
石川さゆりといえば、Pepsiのコマーシャルが記憶に新しい。いや、TVは見ないので、私自身はコマーシャルそのものを見たわけではないが、YouTubeで見て知っていた。
自分の枠を超えてどんどん挑戦していく姿は好きだ。むしろガチガチの演歌の世界のほうがそのような人を多くみかけるような気がするのは気のせいだろうか。ちなみに私は同窓会には興味はない。過去を懐かしんでいる暇などないのだ。
■ Chat GPTが話題だ。例えば次の記事には笑わせてもらった。
そこで、私も sign up して、ちょっと試してみた。
まぁ、仕方ないか。ちなみに期待していた答えは、1時間くらいの間だったか、私もちょっと深刻な影響を受けた次の障害だ。
Microsoft cloud outage hits users around the world | Reuters
もう一つ。
軽く一般的な知識をひけらかしながら、自分で探してね、と言っているだけの、ごく平凡な会話である。自分がよく知っていることを訊いてもしょうがない、そういうことだ。
さらにもう一つ試してみた。
最後の質問に答えるのに数分かかっていた。どの回答ももっともらしく見えるが、見当違いの知識のツギハギになっていてメチャクチャである。不得意な分野もかなりありそうだ。
ちょっと試してみたものの、機知もトンチもないような質問をしてしまった。他の人の遊んでいる事例を見ながらもう少し試してみようと思う。
■先週の週末は京都の自宅に帰っていたので、土曜日の午前中は京都で 11.2km 走ってきた。先週の頭からの寒波で雪が降っていて、金曜日の晩にも降ったようで、場所によってはかなり雪が残って北国のようだ。
子供たちは大はしゃぎで雪合戦にソリ、あちこちで雪だるまを見かけ、楽しい気持ちにさせられる。青空と厚い雲とめまぐるしく変わる空模様で、それにつれて光の具合が変化する。そんな綺麗な景色を楽しみながら、コケないように身体のバランスと足の感触を意識しながらゆっくりと走った。
やはり頭と身体のバランスは大事なのだ。
■注記
(*1) 実際には、席を立って上着を着てから支払いをすませてポケットに財布を戻せば間違えることはなかったということだ。