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火曜日しばらく雑記帳・19:冗談と創造力

その事象が知性からはみ出るからこそ、似たもの同士をむすびつけ繰りかえしをみとめこれを生産までする能力をこえるからこそ、それは疑いもなく創造的なのである。  (ベルクソン「創造的進化」 p.78)


■ 物事がうまくいくことになかなか慣れない。今日 (2022/8/9) の夜 8時すぎに、それまで2-3週間取り組んできた懸案事項が一つうまくいった。お盆前には片づけたいな、と思いつつ、ちょっと難航していたが、中国や日本の同僚たちの強力なサポートのおかげでなんとか出来た。

あまりの嬉しさに喜びを分かち合おうと、京都の自宅にいる妻に電話したが出ない。「電話にでんわ!」とちょっとがっかりした。

・・・・ところで、私の冗談が通じない、というのは悩みの一つではある。私が冗談で口から出まかせにしゃべっていると、妙に説得力があるのか、相手が「ふんふん、なるほど」と真剣に聞いているので、どこかで「ごめん、口から出まかせです」と言わざるを得ないことが多々ある、そんなことに会社に入って10年目くらいの今から20年ほど前に気が付いた。あまり面白がって悪ノリするとよくない。大学のときの呑気な仲間 3-4 名のようにそこで面白がってくれる人、さらに冗談を冗談でのせて思わぬ方向にアイディアが発展していくような人はいいが、やはり、多くの人は、小バカにされたように感じることだろう。

とはいえ、冗談には裏があるわけで、その冗談を言うことによって「実は言いたいこと」が別にあるというのが普通である。ストレートには言いにくいことを冗談にして話すことで楽になることも多いし、愚痴をこぼすより笑いに紛らしたい人も多いだろう。わかる人にだけわかってくれればいい、あるいは自分だけがわかればいいということもあると思う。それなのに、文脈や行間を読まずに、字義通りに読み取ったうえ、さらには私にはまったく関係ない自分の思いや意見をかぶせて、まったく違った風に捉える人もいるし、おせっかいな暇人も世の中には多いので、やはり注意が必要だ。

自分が感じた面白さを分かち合いたい、そのアイディアを発展させたい、不連続な進化をさせたい、と思ってもなかなか思うようにはいかないものである。

仲間内には通じるはず、といっても、いろいろ考えていると、「仲間内」というのも難しいことに気付かざるを得ない。油断したときが危ない。

まぁ、何があっても受け取る人の勝手でもあるし、放っておけばいいのだが、だいぶん以前にプロジェクトのスコープについて依頼元の事業部の技術部長と打ち合わせをしていたときのことだ。ちょっとした冗談をきっかけに「お前の態度はなっとらん、どういうつもりなんだ!」とその方が突然烈火のごとく怒りだしたのにはびっくりした。その場をさらに荒立ててはいけない、ととにかく冷静に冷静に、なるべく穏やかな顔で、と会話しようとすればするほど「こんなに大変なことなのに、ヘラヘラ笑いやがって!馬鹿野郎!お前の母ちゃんデベソ!」とさらに激高して収拾がつかなくなった。

やはり、自分を第三者の視点で見る目、ちょうど、肩の斜め上あたりから見ている感覚を、常に持っておきたいものである。


■ ミョウガをさっと茹でてお酢につけておくと鮮やかな赤色になることを、最近になって知ったので、夏になった今、チャンスを狙っていた。

豚の冷しゃぶ、大根おろしをたっぷりと添え、カイワレにレタス、ゴーヤのピクルスにビーツ、そして見事に綺麗な赤色となったミョウガを刻んで散らした。

2022/8/6 夕食
ワインはシチリアのオーガニックの赤ワイン
実は白ワインを買ったつもりだったのだが、酢につけたミョウガの鮮やかな赤のことばかり考えていたせいか、間違って赤ワインを買ってしまったのだった。
2022/8/6 夕食の下ごしらえ
ビーツは先々週にビーツのカリーを作ったさいに茹でたのを残しておいた。
ミョウガは本文に書いたとおり。
ゴーヤのピクルスは、スライスしたゴーヤをさっと茹でて、みりんと酢を合わせた汁に鷹の爪を加えて、漬けておいた。サッパリして美味いものだ。

ビーツは美味い。フィンランドの開発拠点の社員食堂でランチの付け合わせに、ヨーグルトだろうかクリームだろうか、に漬け込んだビーツがあって大変よかった。出張で訪問したときによく食べた。

2022/8/4 夕食
ビーツ、万願寺唐辛子に、激辛の青唐辛子を、らせん状のパスタ・フジッリと合わせ、オリーブオイルとバルサミコで合わせた冷たい一品。トマトと香菜がこれも合う。



■ 先週に耳に残った音楽を少々。

1.メキシコの女性シンガー、Pahua の新しいシングルがとてもよかった。アン・パセオに似たテイストで、もっともそれほど複雑ではない感じだが、なかなか聴かせる。

2021年のシングル "Caramelo" もキーボード主体のシンプルな音作りと独り言の繰り返しのような歌でなかなかいい雰囲気だ。


アン・パセオについては、つい最近に記事にした。今年、大変に推している素晴らしい女流のドラマーだ。是非、地球上の人に聴いていただきたい。


2.ブラジルのジャズシンガー Luciana Souza (ルシアーナ・ソウザ) が参加した、ダフニス・プリエトの新着シングル "Houve um Tempo" もよかった。

ルシアーナ・ソウザは1966年7月生まれ、グラミーも受賞しているベテランシンガーだ。2007年リリースの "The New Bossa Nova" はとてもいい。一曲めからノックアウトだ。2曲目はジェームズ・テイラーがデュエットしている。 


3.トランペットの Maik Krahl (マイク・クラール) のシングルもとてもよかった。現代ジャズギターの帝王とも言われるカート・ローゼンウィンケルを迎え、元気のいいジャズが聴ける。こちらも先週から何度もヘビーローテーションだ。

柔らかく少し暗めのトランペットの音色がいい。2020年のアルバム "Fraction" もじっくりとなかなか聴かせる。


9月9日にニューアルバムが出るということで、これは先行シングルということらしい。1991年生まれの若手、ということでこれからが楽しみだ。

4.職場で冗談が生きるためには、職場の "Psychological Safety" が必要でないといけないし、"Fearless Organization" でなければ難しいよなぁと思う。一番最後に笑うのは自分さ、とばかりにお互いに笑い合っている(*1)ようでは、冗談は生きない。  

などとぼんやり考えていたら、偶然に、Lari Basillo (ラリ・バシリオ) "Fearless" という曲がひっかかってきた。ブラジルのサンパウロ出身だという若手女流ギタリスト、ラリ・バシリオ。この人もアイバニーズのギター、ジョー・サトリアーニやスティーヴ・ヴァイからクセを抜いて、男前の美女成分と笑顔をたっぷりと入れた感じだ。

明るい紫のギターにリップにネイルがトレードマーク、明るいディストーションに余裕を感じさせる正確な演奏、ファッションと同様に、お洒落にまとまりすぎている感があるところが、少し私のテイストから外れるが、安心して身をゆだねて聴ける明るいインストはいい。惚れた。

スティーヴ・ヴァイについても以前に記事にしたので、こちらも参考までに。


5.ふと、ビリー・ジョエルの歌が耳に飛び込んできた。先週1990年のライブ音源がリリースされたようで、懐かしい "You May Be Right"だ。

オリジナルは 1980年の "Glass Houses"に収められている。ガラスがガシャンと割れる音から始まるこの曲は、中学2年のころのはず、当時よく聞いていた FEN (*1) で流れていた。

だみ声のDJの口上もかっこよく、「ビリー・ジョー」としか聞こえなかったので、しばらくはビリー・ジョーと憶えていた。

金曜日にパーティをぶち壊しにして、土曜日に謝った、けど、日曜日にまたやっちまったよ。君が多分正しくて、俺がたぶん狂っているのさ、けどそれが俺なんだし、君はそんな俺に惚れてるんだろ?

("You May Be Right"、私の適当な訳)

ビリー・ジョエルがロック?と評判だったが、やはりロックというよりアダルト・コンテンポラリとしかいいようがないまとまりと完成度だ。ビリー・ジョエルは他に好きな曲もたくさんあってよく聴いたが、あまり熱心なファンではなかったと思う。


6.今日 (2022/8/9)オリビア・ニュートンジョンが亡くなったと知らせが入った。私が一番好きなのは、"Xanadou" 「ザナドゥ」。オリジナルは映画のサントラ、ジェフ・リンの ELO との共演で、そちらがもちろんおススメだが、ビデオクリップではオケをバックに従えた後年のライブがよい。声も姿も円熟した感じで艶やかな感じいい。

他に "Magic"も好きだった。同じライブの動画から。


R.I.P …. 


2022/8/9 昼食後、新横浜の事務所の周りを散歩。白のサルスベリも綺麗なものだ。


■ 毎回、どうも書きたいことの 20% も書けないでいるのが悩みの種だが、人生は有限だ。本日はこれくらいにしておこう。




■注記

(*1) FEN; Far East Network, 在日米軍向けのAMラジオ放送。現 AFN (American Force Network)

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