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ボーダーレスなベトナムのボーカリスト: フオン・タン (Hương Thanh) "Fragile Beauty"

ベトナムのサイゴン出身の Hương Thanh (フオン・タン)について知ったのは、グエン・レと度々共演しているからだった。

2008年に二人のアルバム "Fragile Beauty" がリリースされている。こぶしの効いたコントロールのよい明るく高い声がベトナム情緒たっぷり、グエン・レのギターの伴奏は楽曲にピッタリだ。リズムセクションやシンセサイザーを含めたアレンジは現代的なフレーバーで全体的に泥臭さはなくソフィスティケイトされた仕上がりが好感触だ。

1曲目の "Drifting on the Water" はボーカルとギターだけの共演でゆったりとした演奏がいい。さらに、6分近い曲だが、2曲目の "Weaving  & Awaiting" を聴いてみるとその魅力に取りつかれること請け合いだ。グエン・レの独特の音色のウネウネ・ソロも聴かせる。

Wikipedia (Hương Thanh - Wikipedia) によれば、フオン・タンは1976年 16歳でベトナムでデビューし、1977年にパリに移住した。1995年に、やはりパリで活躍しているグエン・レと出会い、これがジャズとの最初の出会いだということだ。

3曲目の"Faithfulness" や 4曲目の "Plantation Song" には箏もアレンジされている。フランスで活動している箏奏者・みやざきみえこの演奏だ。

みやざきえみこといえば、グエン・レの記事で紹介した Saiyuki Trio (グエン・レ(g), みやざきえみこ (箏), プラブー・エドゥアール (タブラ)) の演奏が印象的だった。


5曲目の "The Five Calls of the Night" で聞こえるトランペットは、イタリアのパオロ・フレス (Paolo Fresu)、ここでも私のひいきのミュージシャンを見つけてしまった。

タイトルソングの "Fragile Beauty"では、他にも竹の笛など、様々な楽器がフィーチャーされていて楽しく聴ける。


グエン・レ、パオロ・フレスが参加したアルバムといえば、1999年の"Moon and Wind" や 2001年の "Dragonfly"も Spotify で聴くことができる。

それぞれ、声も明るく発音や抑揚がはっきりしていて、笑顔が思い浮かぶようだ。それほど多作ではないが、"Fragile Beauty" のあと、数枚のアルバムがリリースされている。

そして、2023年、彼女のリーダーアルバムではないが、ついこの間にリリースされた Guo Gan (グオ・ガン) のアルバム"Three Perfumes"もなかなかよかった。

グオ・ガン (Guo Gan) は中国の二胡奏者で、着物の女性は箏の日原史絵だ。メインのボーカルはフオン・タンだが、他の二人もそれぞれ楽器の演奏だけでなくボーカルも披露していて、なかなか楽しい演奏ばかりだ。9曲目はおなじみ "Sukiyaki" (上を向いて歩こう) だ。この3人ならではのアレンジを楽しむことができる。

なかでも"The Black Horse of Hue"が印象的だった。


フオン・タンも、ベトナムのルーツを大事にしながら、フランスを中心に活躍しているミュージシャンとのつながりのなかで、ジャズや箏や二胡など東アジア中心に様々な音楽を幅広く取り入れながらも、現代のポピュラー音楽に仕上げているのが好感触だ。

共演しているミュージシャンのつながりについて、つまみぐい的に触れてしまい雑多になってしまった。しかし、これもボーダーレスなミュージシャンならではのことだろう。最後にフオン・タンについて、どんなミュージシャンでどんなアルバムを出しているか、もっと興味ある方のために、Disk Union の記事を貼っておく。

HUONG THANH / フン・タン商品一覧|PUNK|ディスクユニオン・オンラインショップ|diskunion.net


■追補

雑多な記事ついでにグオ・ガン、みやざきみえこ、日原史絵について、追記しておこう。

二胡の奏者の グオ・ガン は YouTube で検索するといろいろ音源が見つかる。

Guo Gan .Duplessy Crazy Horse Band --(3) China TV live 2017が面白かった。

中国のCCTVの映像だが、まるで、America's Got Talent のような番組みたいだ。

グオ・ガンと箏のみやざきみえこの共演もある。

そして、グオ・ガン と フオン・タン とみやざきみえことの演奏はYouTubeで14年前のものも見つかる。

みやざきみえこについてオフィシャルサイトは閉鎖されているようなので、disk union の紹介ページをリンクしておく。


箏・三味線の奏者の日原史絵についてはオフィシャルサイトをリンクしておこう。


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