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マダガスカルの調べ:ラジェリ、デ・ガリ、ラコト
1980年後半から1990年にかけてのワールドミュージックブームの中で、私がとくに気に入ったのがマダガスカルの音楽だった。どこで見つけたのか忘れてしまったが、マダガスカルの音楽を集めたコンピレーション・アルバムだった。
ふと昨日、あのときに買った LP が出てくるかも、と思ってダメ元で Spotifyを検索してみたら、何度か試行錯誤の後に、なんと出てきた。2008年リリースとあるが1986年にリリースされたLPの復刻版だ。
全編アコーディオンの音色が魅力的だ。ソディナという竹笛、私の好きなヴァリハの音色、そして特徴ある合唱。それぞれ名手を集めたというレコーディングは粗削りで素朴だけど、マダガスカルの音楽の要素でいっぱいなのだ。
私はこのアルバムを聴いてマダガスカルの音楽の魅力に取りつかれたのだった。
ヴァリハは、竹の筒のまわりに弦を張った琴みたいな楽器だ。名手の Rajery (ラジェリー)が有名だ。小柄な身体で片手が不自由だけど、そんなことは感じさせない。BEDIA (voyage) という曲のビデオクリップは是非見てほしい。
何度見ても飽きない。
ライブ演奏もいい感じだ。
コラや箏、あるいはハープ、とも違った素朴な音色が魅力的だ。
以前にも触れたが、モロッコ出身のウード奏者 ドゥリス・エル・マラウミと、コラはバラケ・シサコの、"3MA (Madagascar, Mali, Maroc)"、こちらも愛聴盤だ。
動画でライブ演奏を見ると、3人が楽しく音楽を通じて交流する様子が伺え、なんとなくほっとする。
インタビューはフランス語で字幕がオランダ語(?)なので、さっぱり内容は聞き取れないが。なんとなく言っていることがわかる気がするのはほんとに気のせいだろう。
今回この記事を書くのに先週から少しネット検索をしていたら D'Gary (デ・ガリ)という凄いギタリストもいることを知った。またまた迂闊なことに、これまで知らなかった。
やはりマダガスカルの民俗音楽の色が濃厚な歌とバッキングではあるが、ギターの奏法や音色にフレージングは、マダガスカルを含む他のアフリカの弦楽器の影響を感じないように思う。どちらかというとスタンダードなギターの演奏スタイルにマダガスカルのフレーバーが入っているという感じだと思うがどうだろう。
Dama & D'Garyのギターデュオも素朴で素晴らしかった。
上質な音だ。
あのころの、いわゆる「ワールド・ミュージック」で世界に売り出されたマダガスカルのミュージシャンというとRAKOTO(ラコト)だ。自身の名前を冠したアルバムがリリースされたと知って、すぐに探し求め、よく聴いた。ただ、それ以来、新作リリースの話は聞かなかったように思う。ローカルには出ていたのかもしれない。
2020年になって新しいアルバム "Vonona Hitety Lalana" がリリースされ、2021年にも "Pensily Hazo & Kahie" が立て続けに出て、これらはSpotifyで聴くことができる。
2020年のアルバムのビデオクリップも、とてもいい雰囲気だ。
どの曲も、ラコトのギターのバッキングを中心にしたゆったりとした音作りで、マダガスカルの田舎で風を感じる雰囲気だ。
次のビデオクリップもいい雰囲気だ。
発声法が少し違うのだろうか、音作りが現代的なポップスであっても、ヤギ声の要素のある男性ボーカルとコーラスを聴くと、なんだか「あー、やっぱりマダガスカルだな」と思う。
マダガスカルは、アフリカ大陸の音楽とインド洋を渡って来た東南アジアの音楽が混じり、音楽の宝庫だとも聞いている。一度聴くと、なんだかふるさとに帰ったようなほっとした感じがないだろうか。そして、じわっと、いつの間にかその魅力のとりこになっていることであろう。
マダガスカル、一度は訪ねてみたいところだ。
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