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西アフリカのコラの響き 2:バラケ・シソコ Ballaké Sissoko "Les Égarés"
西アフリカの楽器、コラについてはいくらか書いて好きなミュージシャンについてもかなり書いてきたように思ったけれども、意外に個別にとりあげて書いていないことに気付いた。まとまった記事にしたのはガンビアの女性コラ奏者、ソナ・ジョバルテくらいだ。その記事の中で紹介した、ソナ・ジョバルテとマリのコラ奏者バラケ・シソコの動画を再掲しよう。
コラがどんな楽器か知らない人でもこの動画を見れば楽器の外観や造り、そしてどう演奏するのかよくわかる。
そのバラケ・シソコが最近リリースしたアルバム "Les Égarés" がまたよかった。
エミール・パリジャンのサックス、ヴァンサン・ペイラーニのアコーディオン、ヴァンサン・セガールのチェロにバラケ・シソコの4人の編成で作り出すアンサンブルは心地よく不思議な魅力のあふれる一枚だ。
ヴァンサン・セガールとは前からよく共演していて、2009年にはデュオのアルバム "Chamber Music" を出している。
NPRの Tiny Desk Concert でも演奏していた。
異色の組み合わせだが、不思議とよく合う。きっとヴァンサン・セガールはバラケ・シソコのコラの演奏がとても好きなんだろうな、と思う。楽しそうな演奏だ。
Baba Sissokoとの2019年の共演アルバム Sissoko & Sissoko も面白い。もう一人のシソコさん、Baba Sissoko はパーカッションと、ン・ゴニという西アフリカの弦楽器を弾いている。ン・ゴニはヤギの皮を張って作られた細い共鳴胴を持ち、長さの異なる3本の弦を張ったギターのような弦楽器だ。彼の土地では、大きさや構造が若干異なる似たような弦楽器がいくつかある。
二人の2021年のイタリアのライブが動画で上がっていた。
素朴でいい演奏だ。コラの澄んだ音色もいいが、すこし濁ったンゴニの音もいい。後半で一人づつソロを聴かせて最後はテンポのいい曲で盛り上がって終わる。
2005年のアルバム Tomora は、多くのゲストを迎えてバラエティに富んだ曲が詰まっていてこちらもいい。
8曲目は、私の大好きなマリの女性ミュージシャン、ロキア・トラオレとの共演だ。バラフォンの音も心地よい。
このアルバムの4曲目は、やはり著名なコラ奏者、トゥマニ・ジャバテとのデュオだ。二人のデュオで”New Ancient Strings”も1999年にリリースしている。
派手なアンサンブルより自然を感じさせる内省的な音づくりのほうがいい。2021年のアルバム"Djourou" から、 Cammile との共演が "Kora"、そんな魅力がたっぷりだ。
最後に、冒頭に紹介した、最新アルバムから "Esperanza"
■関連 note 記事
コラがどんな楽器か、この記事で書いておいた。
コラは西アフリカのハープのような弦楽器だ。半分に割った大きいカラバシという名のひょうたんに牛の革をはった共鳴胴と長いネックと2本のハンドルを持ち、21本のナイロン弦がネックから張られている。
他にもマダガスカルのヴァリハ奏者ラジェリと、モロッコ出身のウード奏者 ドゥリス・エル・マラウミと、コラはバラケ・シサコの、"3MA (Madagascar, Mali, Maroc)"というユニットがある。