火曜日しばらく雑記帳・7:"One Too Many Mornings"
ゴールデンウイークに娘の一家が2泊3日で遊びに来たことは、先週に書いた。孫娘は元気いっぱい、小さい子の成長を見ているのは楽しいものだ。
ところで、孫娘が少しぐずったときに抱き上げて、私が口ずさんだのは、"の、もー、ろんりーないつ"、そう、ポール・マッカトニーの名曲だった。
ポール・マッカトニー、なぜだろう。ちょうど、アメリカの人種差別やカラリズム、がテーマになっている小説 "The Vanishing Half" を読んでいる途中で、スティーヴィー・ワンダーとの "Ebony and Ivory" やマイケル・ジャクソンとの "Say Say Say" を聴いていたからかもしれない。"My Love" もいいし、"Band on the Run" も好きだし、七色の声の魅力たっぷりの "Comin' Up" もいい。不思議な歌詞と曲構成の "Jet" も大好きでよく聴く。
No More Lonely Nights - そういえば、明日、昨日、過去と未来、永遠は、歌でもよく取り上げられるテーマだ。時間軸をはずして、何かを語り、共感を得、人を動かすことは難しい。
ボブ・ディランの "One Too Many Mornings"、1976年のローリング・サンダー・レビュー・ライブが最高にいい。ライブ・アルバム "Hard Rain"に収められている。
自分のなかで酔いしれているフレーズ、One Too Many Mornings, と言っても、No More Lonely Nightsと言ってみても、過去の姿・現状・あるべき姿、換言すれば空間と時間軸と因果関係という認識の枠がお互いに合わなければ共感を得ることは難しく、コミュニケーションが成り立たない。パンチ・ラインがウケない、思い出話をしても未来の夢を語ってもなかなか響かない、という経験を持つ人は多いことだろう。
仕事で「自分がこんなに困っているのに誰も助けてくれない」とか、「こんなに困って助けを求めているのに、トンチンカンな答えしか返ってこない」とか、「議論がいつも些末な細部に入って盛り上がるわりには、当人たちの都合が悪くなるととたんにダンマリになって結論が見えない」などと悩んでいる方は、自分の抱えている問題そのものよりも、自分の認識の枠組みと相手の認識の枠組みを意識し、それをどう解消しようか、と考えるのがいいかもしれない。
つまり、部下や同僚、あるいは上司と、チーム内や部門間で、あるいは顧客と、話をうまく進めようと思うなら、まずスケジュール表を共有して話をすることが大事だ。
「それが上手く出来ないから困っているんじゃないか」という声が聞こえてきた気もする(*1)が、聞こえなかったことにしておこう。
■おとといに投稿した「バートランド・ラッセル」で、デカルト、カント、ショーペンハウアー、の3人を「デカンショ」と並び称されると書いた。ショーペンハウアーをそこまで評価するか、というのが問題ではあるが、ニーチェに至る道として 1ステップ置くということなのかもしれない。そのうちにわかって来ることだろう。
この「バートランド・ラッセル」を書いているとき、「デカンショ」というのがどの程度の範囲で通用するものなのか、「ナボナはお菓子のホームラン王です」のように、全国に通じると思っていることが実は関東ローカルだったりすることがあるので、チェックしてみようと思ってネットで検索をかけてみた。
すると、デカンショ節というのがあるらしい。驚いた。そう言われてみれば、そういうものがあると聞いたことがあるような気もするが。。。
ちゃんと公式サイトもあれば YouTubeでもあがっている。
七十五年史から見る語源 - デカンショ祭 (dekansho.jp)
世の中は広い。私たちは、真理の大海が横たわる海辺で遊び綺麗な貝殻を見つけて夢中になっている子供にすぎないのだ。
■ 先々週の「火曜日雑記帳・5」でアンゴラのシンガーについて触れた。
火曜日しばらく雑記帳・5:Anna Joyce "Puro"|Shimamura, T.|note
アンナ・ジョイスともう一人がロビト出身のヨーラ・セメード。Shiominさんにコメントで教えていただき、キゾンバというジャンルを知った。こういうのが嬉しい。
さらに Shiomin さん、ロビト市とロビト港の思い出を2回に分けて投稿いただき、いつもながらの驚くべきエピソードや写真・動画を紹介してくれている。内容がリッチすぎて見切れない。何度も楽しめる。
もうすでに読まれている方も多いかもしれないが、未読の方は是非。
こういうところが、note に記事を書いていてよかったと思うところだ。
■麻婆豆腐、あるいは麻辣豆腐
ちょっと贅沢して「ピー県豆板醤」( https://www.amazon.co.jp/dp/B01GT3FG4Q ) を購入したので、先週、さっそく得意の麻辣豆腐を作った。
中国で食べたのももちろん美味かったが、ドイツのハンブルクのチャイニーズ・レストランで食べたのが、辛いながらもコクのあるリッチな味わいでトロミ加減もちょうどよく、メチャメチャ美味かった。ボソボソのご飯によく合った。
私はどちらかというと中国の味に近いイメージに寄せる。とにかく花椒と八角をビシバシきかせるのが好みだ。
陳健一の動画を一部参考にしている。
ピー県豆板醤にすることで、味が一段レベルアップ、深みのある本格的な味わいが出たような、そんな気がして大変満足している。気のせいかもしれない。
■ 先週にひっかかった音楽をまたいくつか簡単に記しておこう。
1.イタリア出身の凄腕ギタリスト、パスクァーレ・グラッソのシングル "A Night In Tunisia" が出たが、これが素晴らしくいい。
https://open.spotify.com/track/37EFbwrCE5qA0o42J6HJep?si=92d362894a654391
YouTubeでは、先月、若手のジャズ・ピアニストのエメット・コーエンとの共演で同じ曲のスタジオ・ライブがあがっていて、視聴できる。
エメット・コーエン official site
インストものもいいけど、歌がないとなぁ、と思う向きには、去年のリリースだが、次の曲がおすすめだ。 "Solitude"。
共演しているサマラ・ジョイは新進の女性ボーカリストらしい。彼女のデビューアルバムにも、パスクァーレ・グラッソが参加している。デューク・エリントンの曲を演奏した 2021年の"Pasquale Plays Duke"に収められている。
このアルバムには、7曲目にはシーラ・ジョーダンとの Mood Indigo もあってこちらもいい。シーラ・ジョーダンはチャーリー・パーカーをして「百万ドルの耳を持つ歌手」と言わしめたという、今年の11月で94歳になるはずの大御所のなかの大御所だ。
以前に取り上げたが、すごいギタリストだと思う。
2.アヴィシャイ・コーエンのピアノトリオ、新しいアルバムもいい感じだ。
3.GWに京都の自宅に帰っていたときに、大学のときにちょっとだけ聞いたスーダンのレコードを引っ張りだしてみた。
このあたりの音楽も、もうちょっといろいろ聴いてみようと思う。
最近の曲が聴ける Playlist: Sudan Sounds
まだ、聴きこめていないところだが、エジプト、エチオピア、スーダン、ナイル川周辺の音楽を集めたコンピーレション、Le Niil - The Nileもよかった。
■先週の土日は、乃木坂46が10周年記念ライブイベントを、日産スタジアムでしていたということで、新横浜の街角もも久々のにぎわいだった。
15日の午前1時に、横浜上空に謎の光が見えたそうだ。
I'm one too many mornings, and a thousand miles behind.
■ 注記
(*1)相手、あるいはこちらが、スケジュールなどいっさいコミットしたくない、という場合もあるだろう。お互いに解決策・落としどころとスケジュール表を懐に隠し持ったまま探り合い、にらみ合ったまま、肝心のところの周りをグルグル回っていることもあるだろう。様々なうまくいかない構図が考えられる。つける薬はない。