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ラウ・ノア:Lau Noah "Que Pasen Cosas"

先々週に、シンガーソングライター Lau Noah (ラウ・ノア)を初めて聴いた。スペインの女性ボーカルのSÍLVIA PÉREZ CRUZ (シルビア・ペレス・クルス (*1) )とのデュエットで "Que Pasen Cosas" を聞いてノックアウトされたのだった。

あまりに美しい。独特の浮遊感のある調性とメロディ、弾き語りのガットギターの伴奏の流れるような美しさ。0'57" あたりからの二人の美しいハーモニーにも震える。1'30"あたりからのフレンチホルンを加えたアンサンブルも鳥肌ものだ。

スペインのバルセルナの近くカタルーニャ州 Reus 出身で、ニューヨークに住んでいるということだ。2019年にNPRの Tiny Desk Concert でソロで演奏しているのがYouTube で視聴できるが、これが最初に公に出てきたものではないだろうか。

ガットギターの端正な演奏での弾き語り、どれも短い曲ばかりだが通常のポップスの構成に従わず、構造を掴みにくい。高く伸びる表情豊かな声が魅力的、ギター演奏も見事だ。それにしてもなんと幻想的な詩と歌だろうか。

この YouTube の概要欄に履歴が書かれているがそれには驚かされた。ちょっと長いが引用しておこう。

Lau Noah's journey as a songwriter and guitarist occurred by happenstance. She was born in Reus, Spain barely a few hours drive from Barcelona. She speaks and now sings in Catalan, Spanish, English and sometimes Hebrew. She'd played piano growing up (never guitar) and left Spain for New York City five years ago while in her late teens.

On a visit to Montreal in 2016, Lau hoped to go to a Patrick Watson concert with friends. But the performance sold out and she was left alone in an apartment while her friends went to the show. Then a snowstorm ensued. The apartment had two guitars and, with nothing else to do, she picked one up and began to play. She wrote her first song, "Pequitas," which means "Little Freckles." Now, not too many years later, her creativity on both classical guitar, her narrative poetry and the singing of that poetry make the musician Lau Noah a unique spirit.

Lau Noah: NPR Music Tiny Desk Concert

彼女はカタロニア語、スペイン語、英語、時にはヘブライ語で歌うという。2016年にひょんなことからギターを手にとるまではギターを弾いたことはなくピアノを弾いていたのだという。

こんなエピソードを読むとさらに惚れてしまう。

そして、その2年後の2021年にソロデビューアルバム "3" をリリースしている。1分30秒弱から3分弱の長さの曲ばかりで、8曲いりで17分40秒という短いアルバムだ。どの曲も彼女独特の複雑なメロディと構成を持つ楽曲で、不思議な魅力が満載だ。

NPR Tiny Desk Concert でも演奏された "El Jardinero (The Gardener)," "La Realidad (The Reality)," "La Belieza (The Beauty)" も、収録されている。特に "La Belieza (The Beauty)"はコーラスが加えられ、より印象的な曲に仕上がっている。

2021年のガテマラの Paste Studio でのライブ配信されたのも魅力的だ。


今年に入ってから 3分台後半の長さの曲を作曲し、様々なミュージシャンと共演したシングルをリリースしている。

イギリスの若手マルチミュージシャン Jacob Collier (ジェイコブ・コリアー - Wikipedia) との共演も美しい。

ウルグアイのミュージシャン、Jorge Drexler (ホルヘ・ドレクスレル - Wikipedia)との共演は "Libertad"

そして3曲目が、冒頭に紹介したシルビア・ペレス・クルスとのデュエットだ。

幻想的で浮遊感あふれる不思議な楽曲でありながら、曲の構造はアルバム "3" に比べて分かりやすいものとなっているので、多くの人に聴きやすいものとなっていると思う。

おそらく、このシリーズでさらに何曲か出てくることだろう。そしてアルバムとしてまとめられるものと期待している。

これから新しい感覚の音楽をどんどん切り開いていってくれるだろう。本当に楽しみにしている。


■注記
(*1) シルビア・ペレス・クルス。この人もスペイン・カタルーニャ州出身のシンガー・ギター、フラメンコ、ジャズ、クラシックを歌い、女優でもある。

この人をフォローしていて、ラウ・ノアが引っかかったのだ。



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