ジャズピアニスト最前線:オマール・ソーサ
キューバ出身、エクアドル、スペイン、アメリカと拠点を変え、現在スペインはバルセロナ在住のピアニスト、オマール・ソーサ。今年になって、ひょんなことから出会い、よく聴いている。
出会いは今年、この YouTube 動画だった。
同じリズムと単純なメロディが繰り返されるその上にノリノリ、最初からテンション高くもりあがる、トランス感と躍動感あふれる楽しい演奏だ。
この曲は、2021年にリリースされたばかりのアルバム " An East African Journey" のセッションの一曲だ。
このアルバムは、アフリカの種々の弦楽器やパーカッションの音色、コーラスが自然にブレンドされている心地よい音づくりだ。そして一曲一曲がバリエーションに富んでいる。マダガスカルの感じ(*1)いっぱいの6曲目 "Veoma E" 、広大な草原のなか風を感じながら旅しているようなゆったりとした 3曲目 "Elrababa" 、素朴で楽しい5曲目 "Che Che"、など、リラックスして楽しい演奏ばかりで何度聴いても、どこから聴いても飽きない。
このアルバムの参加ミュージシャンへのインタビューが YouTubeにアップされている。
アフリカの音といえば、西アフリカはセネガルのコラ(*1)奏者、セク・ケイタとのデュエットのアルバム 、2017年リリースの "Transparent Water" も美しい。
最近のアルバムでもっと、ジャズ・ポピュラーっぽいものなら、ヴァイオリン奏者/ヴォーカリストのジィリアン・カニサーレスとの2018年の共演盤の "Aguas"が、しっとりと落ち着いていていい感じだ。
ソロアルバムの、”Senses"も最高だ。こちらは、いい解説を見つけたのでリンクを貼っておこう。
ピアノの演奏は派手ではないし弁が立つという感じではないけれど、朴訥という感じでは決してなく、しなやかでスマート、とても明るい音で、時折、和音が不思議な響きをしたり、和音やフレーズの進行があれ?という楽しさもあるが、あまりに自然で気がつかないかもしれない。それから、あまりキューバ色は感じないようにも思うけれど、どうだろうか。
・・・というか、私の耳がイマイチよくないからそのように聞こえるだけかもしれない。
私はどちらかというと、ピアノは、ハービー・ハンコック (*1) のような少し暗めのトーンでゴツゴツした感じのほうが好みなのだけれど、今年の私の一推しはこの人。
すでに重鎮とか司祭とか崇められているようだが、これからのますますの活躍も楽しみな素晴らしいミュージシャンだと思う。
■注記と関連 note 記事
(*1) マダガスカルのヴァリハや、マリやセネガルのコラ、それからハービーハンコックについても触れた記事はこちら。