彩魚
大鳳 万
ある処に川があり、そこには「彩りの魚」と書いて字の如く、とても色鮮やか魚、彩魚(サイギョ)という魚がおりました。すらりとした身に纏う鱗は一枚一枚が煌びやかな光を放ち、彩魚が泳ぐだけで濁った川底も澄み渡るような輝きに満ちるのでした。
しかし彩魚はその豪華で美しい見た目とは裏腹に、お日様が高いうちは岩の間や古い瓦礫の暗い影にじっと身を潜め、日が沈んでようやく出てきたかと思えば餌をこそこそと食べるような生活をしていました。
ここから先は
8,561字
¥ 300
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?