カムイミンタラ初日 メインイベント 対龍造寺彩菜戦後のタイガーニーナJoKerのマイク
試合後、視点の定まらない眼をしながらニーナは座り込み、レフェリーに声をかけられ、自分の勝利を告げられるまで、現状の把握に時間がかかっていた。マイクをうながされ、手に持ち、ゆっくり言葉を紡ぎ始めた。
「か……勝ったんですか……私……。
途中、なんかガツンと、視界が真っ暗……? 真っ白……になってからよく覚えていなくて……。
そっか……勝てたんですね……。
とにかく龍造寺さんの目が怖かったのは、心に刻まれています……。
何を言ったらいいんだろ……まだぼーっとしていて。
あ、そうだ……龍造寺さん、私と友達になりたいって言っていたのを、何度か耳にしたし、読んだし、人づてにも聞きました。
でも、やっぱり私、友達を思いっきり蹴ったり、投げたり、そういうの分からなくて、私の思う友達と、龍造寺さんの思う友達ってなんかちょっと違うんだろうなって思います。
でも、試合が決まってから今日まで、私、龍造寺さんのことをずっと考えてました。映像でも何回も見ました。とにかく頭が龍造寺さんでいっぱいでした。今日も、向かい合って、闘って、何をしてくるだろうとか、何を返そうとか、自分のできる限りを龍造寺さんにぶつけました。
その時間は、友達では得られない、また別の、とても濃密な時間でした。
だから、友達ではないけれど、とても、深い、深い何かを築けたんだと思います。
その関係をどう呼んだらいいかはわからないけれど、私にとって、深く刻まれた人になりました。私のハジメテをたくさん受けとめてくださって、本当にありがとうございます。
明日から私と龍造寺さんがどういう関係になるかはわかりませんが、これからもよろしくお願いします。
Impuctさんは、私にチャンスを、目標をくれた団体です。経験をくれた団体です。結果をくれた団体です。ここはとても大事な場所になりました。
大好きな場所になりました。
ひとつ、いいですか……?
(息を大きく吸って)ほっかいどぉーーーーー!!
こないだのJK-1で、北海道に初めて来ました。空が大きくて、ご飯がおいしくて、空気がきれいで……。それ以来の北海道ですが、今回も、いっぱいの宝物を得ました。
私、私……北海道がなまら好きだべさ。
今日は、ありがとうございました!
バックステージにて
「今日はありがとうございました。
龍造寺さんは私と持ち味が似ていると言われていますが、多分、闘いへのモチベーションやアプローチは全然違うと思うんです。
前も言いましたけど、私は闘うのがずっと怖いので。
けど、こうして大きな大会のメインを任せていただいて、素晴らしい相手に向かい合わせていただいて、本当に嬉しいです。
有名な方がたくさん集まって、女の子がメインの試合でこれだけできるって見せられた、んなら本当に嬉しいです。
けど、地元だったり、Impuctのファンの人が、私がこうして勝つ姿に悔しいって思ったりもすると思うんです。もちろん選手も。
なので、このまま勝って終わるとは思えないので、どんな形でも、またここに帰ってくる時が来ると思います。
もちろん別の場所でも。
私はまだまだ、挑戦されるような立場ではないですが、私の名前を出してくださる選手が多団体にもいると聞きます。そんな話を聞くたびにおびえる毎日ですが……KRFという団体にいる限り、逃げられません。その時はまた、私の思い切りをぶつけられたらと思います。」