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vol.183「道を尋ねられる男:韓国からのお客さま編 〜役に立ち、意味があった話〜」

街中で、道を尋ねられやすい人、そうでもない人、濃淡があるように思っています。
皆さんはいかがでしょうか。私はときどき話しかけられて、聞かれるほうです。

◆「道を尋ねられたら 謙虚に聞け」

先週末の、2024福岡国際マラソン。12月の初旬(第一日曜日)に開催される、師走の博多の風物詩です。



博多駅前・バス停周辺で応援すべく待っていると、横から話しかけられました。

「スミマセン わんがんいちば は どう行ったらいいですか」
見た感じ、また発音からすると、外国からの観光客の方のようです。

見せてくれたスマホ画面には
 湾岸市場
(その韓国語 たぶん 만강시장 )
と表示されていました。

「わんがんいちば にはどう行ったらいいですか」
「99番 でいいですか」

「99番」は西鉄バスの路線番号。確認すると「博多ふ頭行き」です。

はじめ、私も連れも、長浜鮮魚市場のことかと思い、「ながはまいちば ではないですか?」と確認。長浜市場なら方面が違います。観光スポットでもあります(※)。
※お隣の中央区、天神の北西にあるリアルな市場です。一般来場者向け見学デーもあり。

「わんがんいちば です」
「99番でいいですか」

男性の奥様らしき人も会話に参加です。

二、三往復、問答したあと、ふと、自分たちの初歩的な考え違いに気づきました。

相手は韓国の人。まず日本語の地名(行き先 固有名詞)を日韓翻訳アプリにいれるか、ハングル語で行き先をすでに把握したうえで、日本語の発音で「わんがんいちば」と読み上げているはず。
言い換えると「長浜市場」と「湾岸市場」を混同することはない。日本語ネイティブの人の脳内でなければ起こらない間違いです。

とすると、この人たちは「湾岸市場」に行きたいということになります。
あらためてこちらのスマホで検索します。
あった。ありました。博多ふ頭に「湾岸市場」という商業施設があります。

外国からの観光客だから。ここは日本だから。地元住民だから。思い込みで判断してはダメですね。
『人の話は先入観をもたず、フラットに聴きなさい』という教訓です。

「オーケー!湾岸市場 ですね。99番で合ってます。オーケーです」
バス停の路線図を指さしました。

◆親切にしたいのなら最後までする。

ほっとした様子の相手。
念のため、西鉄バスアプリで調べます。駅すぱあと等と違って、「いま、どの便がどのあたりを走行して近づいてきているか」が検索できます。

99番はちょうど 1停留所前を通過していました。
見ると交差点をまがって近づいてきています。

「もうすぐ来ますよ!」
「あれです、来ました」

もうまもなくマラソンの先導車が近づき次第、バスは運行中断です。


博多ふ頭は99番。

まだ走っていた。ラッキーです!!

乗口の待ち行列をジェスチャ。二人は「ありがとうございます」と言って並びます。
バスが停まって、乗客が降りてきました。まもなく乗る番です。

すると、降りた一人が、乗り口の行列に近よって、なにか話しかけています。

「このバスはここまでです」

(え? あと15分ほどは運行してるはずでは )

確認するとこうです。

1.各路線のバスの「博多駅前」までは、ぎりぎりまで運行し、そこで全ての乗客を降ろして運行を停止する
2.博多駅発、または博多駅前通過の便(たとえば99番 博多ふ頭行き)は、1時間ほど前からすでに停止している

急いで、今度は翻訳アプリを開きます。
「マラソン大会 → 韓国語」
で変換して、声をかけ、画面を指さします。


「ええっと、
フクオカ インターナショナル マラソン。
All bus will stop, 13 to 14.」

何度か繰り返しているうちに、私の英語というよりは画面で通じたようです。

「マラソン、***」(ハングル語の会話)
「マラソン、***、***」

納得してもらえたようで、バス停から離れ、駅ビルに向かう交差点のほうへ歩いていきました。
近隣でうまく時間をすごしてくれていればよいと思います。

◆役に立ち、意味があった話。

こんな次第で、はじめて自分用以外でDeepLが役に立ちました。

「スマホに入れた多国語翻訳ソフト」は、山口周さんの定義をお借りするなら「役に立つ」の代表格だと思います。

だけど私の感覚では、道具として「役に立った」プラス 個人として「意味があった」出来事でした。
すくなくとも「人に話せるネタがひとつできた」。経験エピソードが増えました。

街中で、道を尋ねられやすい人、尋ねられない人、の傾向があるのかどうか分からないけど、私は話しかけられるほうかもしれません。
東京在住時:インド(2回)、スペイン、福岡:韓国、日本。インドの人のうち1回はその人も東京在住で「歯科医院に行きたいけど違うビルを訪ねてきた人」でした。今度書きます。

話しかけられるということは、すくなくとも声をかけづらくはない(悪人悪相には見えない)ということだと、良いように考えています。




その場でスマホ検索して調べようとする習慣(年配の方や子どもならスケッチするためのノートと水性ペンを持ち歩く習慣)があってよかった。
ほんのちょっとしたことだけど、「そのワンアクションを起こす壁があるかないか」で、人生の質感が変わってくると考えています。すくなくとも「自分にしか話せない話」が1つ手に入る。

ほどなく先導の車、放送局の車両に続いて、先頭集団がやってきました。
よく言われることですが、テレビ中継の正面から観ているイメージよりはるかに速い。あっというまに通過していきました。

※優勝した吉田祐也選手。2020年の箱根駅伝、青山学院大学4区の区間賞。この時点では先頭を捉える前でしたが、目の前で見ることができてよかった。


右ゼッケン5番は優勝した吉田祐也選手。



以上、「道を訪ねられる男」シリーズでした。

最後までお読みくださりありがとうございます。

ベイサイドプレイス博多「湾岸市場」


長浜鮮魚市場



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