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vol.179「ギフトの循環:子どもとマネジメント(2)失敗できる場づくりがすべて。」
BOOKOFF社の商品券(一口株主の配当)をチームメンバーにプレゼントしてみたら、「こんな本を買いました」と貸してくれた話の続き。
当時の読後メモがいまでも役に立っている。子育ての話だけど、仕事上のマネジメントや育成の参考になっている、という話、続きです。
彼ら彼女らは「無記名アンケートをやってみた事件」のメンバーでもあります。
◆折れない心を育む。
『いま、世界のエリート校が最も注目していると言っていい分野が レジリエンス(折れない心)』
どんな親も、また教育者も、いちばん育みたいのがこの「折れない心」でしょうか。自走する強さ、と言い換えてもいい。
なにか嫌な目にあったり挫折しても、自力でそこから立ち直って回復する能力。回復して、自分で意欲を持って学ぶ意欲。継続する力、みたいなことです。
親が子どもを世の中に、たとえば小学校や中学校に送り出すときの願いに「いじめられないように」があると思います。いじめられたとしても交わす視野の広さ、抱え込まずに相談やシェアができる柔軟さ、逃げる選択肢を持ってほしい、いろいろ考える。「折れない心」に集約されるのかもしれません。
『適切な訓練を重ねることで高いレジリエンスを後天的にも獲得できることがわかってきた』
「訓練すれば後天的に獲得できる」というのは、なにか学ぶときもっとも重要視していることです。才能で決まるのではない、技術だということです。
『大切なのは汚しても叱らないこと。その空間だけは子供に与えたものだから自由に使っていい』
子ども部屋で「落書きしてもいい壁(または模造紙など)の環境をつくった」例だったと思います。「自由に描いていい」と決めたら、その約束を守る。
仕事も、または大人でも同じことで、一度「任せる」と言ったら任せる。前言撤回しない。責任再分担したら領空侵犯しないということです。
※「任せるということ」については別途記事を書いてみます。
◆才能を引き出す、伸ばす。
『子供の「出る杭」を発見し、育てるには、絶対的情報量の多い親の介入(intervention)が不可欠ということ』
「自由に任せる」イコール 放任/無関心、とは違うと思っています。コントロールする必要がある、というと子どもを管理するようだけど、すくなくとも計画を立てること。
対象が大人も同じで、なにしろ関わっていくこと。質問する、覚えておく、記録を取る、フィードバックする。そういったことを面倒がらずにやることです。
『子供がこちらの期待するものに興味を示さなかったとしてもがっかりせず、心をオープンにして観察することが大切だという教訓』
習い事やなにかで、親の期待する行動を取らなくてもがっかりしないようにする。前述の「落書きしていい壁」も同じで、「思ったようにのびのび落書きしてくれない」としても落ち込んだり、プレッシャーをかけたりしない。言うのは簡単ですけどね。
同じく大人に置き換えるなら、「一度教えたら覚えるはず」「こちらの熱量は伝わるはず」「自分が重要視している価値観を理解してくれるはず」といった「こちらの都合」をいったんおく。
こちらが期待する方向で思うように伸びなかったり、やってみたら適性がなくても、我慢していろいろ仕事を振ってみる、といったことでしょうか。
◆安全な場を提供する。
『安全とは、リスクを取っても大丈夫だと思える、脅かされず、自分の好きなことを探せる場所。失敗できる場所です』
「レジリエンス」も、自走するのも、学ぶ習慣も、成功体験で作られる。と思う。結果を勝ち取る成功のことではなく、「実施した」という体験。リスクを取ってもいい、失敗していいのだと思えること。
これはわかりやすい。仕事における上司と部下の関係(リーダーとメンバーの関係)とまったく同じ。「心理的安全性の確保」と呼んでいるものです。
『学校の4つのルール「尊敬する」「責任を持つ」「嘘をつかない」「親切にする」をもとに考えます』
いずれも人に関わる態度を言ってるけど、「尊敬する」「親切にする」→他者に対する行動、「責任を持つ」「嘘をつかない」→自身に対する宣言、という二つに分けられるように思います。
そして「責任を持つ」「嘘をつかない」は日本的、「尊敬する」「親切にする」はアメリカ的(は単純すぎるけど)というイメージを持ちました。
『「あなたにとって成功の定義は?」「失敗から学ぶこと」』
失敗から学んで、次の行動にうつる。すると、(完璧な仕事はこの世にない以上は)また次の失敗をする。「同じ失敗をしない。新しい失敗をする」ことが、成功する唯一の方法だとも言える。
二つを整合すると、「失敗からしか学べないのだから、失敗していい環境を提供することが上司の最大の任務のひとつ」ということになります。
はじめて読んだとき、「全米最優秀女子高生の教育法」と聞いて、根拠もなく「アメリカンドリーム的な自慢話」を勝手に想像してしまってました。深く反省。
科学的な態度。エビデンスを示そうとする姿勢。参考になりました。
「口を開くのは質問をするとき」
「手伝わない、見張らない」
「伝える力は「技術」。訓練すれば上達する。」
「褒めるときは必ず具体的に」
「レジリエンスは後天的にも獲得できる」
「育てるには、絶対的情報量の多い介入が不可欠」
「安全とは、失敗できる場所」
「成功とは、失敗から学ぶこと」
大人の人材育成にそのまま当てはまる。子どもと動物は嘘がつけない。つまり、こちらの都合に迎合しない。小さな子どもを"マネジメント"できたら、大人のマネジメントは楽勝だ、という仮説を立てています。
同時に、子どもは変われる、何十年生きてきた大人が変わるのは、まして他人を変えるのは困難である、のも一面の真実です。
最後までお読みくださりありがとうございます。
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