vol.145「ルールは自分で【勝手に】決めると楽しくなる。」
前回は、同じ「ルールが秘匿されている」状況で、意欲を増す場合と、意欲を低下させる場合がある、という話をしました。
原則として、ゲームの面白さを担保するのが「思い通りにいかないこと」「ルール(攻略法)がすべては解明されてないこと」である。ただし例外があって、会社の上司がハラスメント、かつその発生する法則性がわからないとき、人の意欲は低下する。
前者は、ルールを司っているのが市場や自然界。つまりフェアさ公平さが保たれている。後者は、ルールを握っているのが生身の人間で身内であるはずの上司。フェアさが損なわれているから。
という主張でした。
続きで、「自分でルールを決める」というテーマについて、考えてみます。
◆自分の評価を誰にしてもらうかという問題。
小学校に入学して、高校、大学と受験する。就活では、書類審査を受け、面接を何社か受けて、どこかの企業に入社する。働きはじめたら、業績評価や昇格試験を受ける。
共通するのは、「評価するのが他者である」という点です。
・学校:先生が採点する。全国の同級生の中での順位=平均値、偏差値で測定される。絶対値より相対価値が重視される。
・就活:20分か30分かの面接の出来栄えで、点数・順序をつけられ、合格か不合格かわかる。
・仕事:会社員の場合、上司か、人事部門か、とにかく他者に評価を受け、給与や役職が決まる。
もちろん、二人以上の集団でなんらかの営みがあるとき、互いに観察して何らかの見解を持つものだし、そもそも世界は「一人の自分と数十億人の他者」で構成されている。
特に学校や会社のようなシステムにおいては、"公式評価"は、常に他者が決めるもの。少数が多数の評点をつけるもの、と決まっています。
つまり、評価の1つめはすでに確定して動かせない要素です。
したがって、評価の2つめ、3つめを持てるかどうかで、自分の中でのバランス、受けとめが変わります。
2つめはたとえば家族。または勉強会やボランティア、いわゆるサードプレイスなどでの評価がそれにあたります。(例:今日は会社でさんざんだったけど、帰って家事をしたら感謝/賞賛された。また明日から頑張ろうという意欲がわいてきた)
3つめの評価、「自分で自分の評価をする」ケースについて考えてみます。
◆ルールを自分で決めると楽しくなる。
「自分で自分の評価をする」方法はいくつかあります。たとえば会社での、「今日の仕事を振り返って良かったところ、改善したいところを考える」等もそのひとつです。
より積極的に考えれば「自分の評価方法そのものを自分で決める」こともできる。
澤円さんが著書『メタ思考』でこんな話をされています。
澤さんの指摘、
「自分が勝てるルールを勝手に考えていい」「得意なこと・好きなことをやるとパフォーマンスが上がる」「会社は自分のアイデンティを丸ごと預ける場ではない」
は、強く共感できます。
私もある時期から、「会社に両足全体重を載せない」「できるかぎり得意なことだけやる」「自分の行動原理は自分で決める」と考えるようになりました。
会社というものはきわめて特殊なシステムで、役職や肩書は外の世界に出た瞬間に効力を失う。つまり「賞味期限付きの評価」です。その意味では「学歴」よりも脆弱なシステムです。
自分で自分の行動を決めて、その評価も自分で(勝手に)決めると、精神的にもかなり自由になります。(※もちろんそれだけ100%というわけにはいきませんが)
ふたたび澤さんの表現をお借りすると、『得意なこと=組織で定義された業務以外の部分で「ありがとう」といわれること』にフォーカスして『余人をもって代えがたい存在』になることです。
私の場合、トラブル事案の交渉、育成(成長、気づきの手伝い)、相手の話を整理してフィードバックすることがそれにあたります。
共通点は、
①あらかじめ指示されていないけど、禁止されてもいないこと
②外の世界に移動しても通用するもの、価値を失わないもの
です。
実際には、「話を整理してフィードバックする技術」で「トラブルの交渉」を解決して、その事例を「育成=気づきのきっかけ」に用いたりする。得意なことどうしが重なりあい、掛け合わさって、より効力が発揮される。
このとき、「会社で 給料をもらうかわりに労働している」という感覚はかぎりなく消えて、ほぼストレスを感じることなく行動しています。
この「自分の評価を他人に委ねるか、自分がするか」は、人生の質感にかなり影響すると実感しています。
評価を他人につけてもらうか、自分で勝手にやるかで、良し悪しは別にして、向く方角が変わります。どちらを重視しているかで、その人の基本的な価値観がわかる、とも言える。
最後までお読みくださりありがとうございます。
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